2009年3月16日

反対同盟は訴える(上) 事務局長北原さん、天神峰市東さん

週刊『前進』06頁(2383号4面2)(2009/03/16)

反対同盟は訴える (上) 事務局長 北原鉱治さん、天神峰 市東孝雄さん

 第1章 労農・国際連帯で闘う 事務局長 北原鉱治さん

 三里塚闘争は43年目の春を迎えた。振り返ってみるとさまざまな思い出が胸に去来する。この地は国策としての空港建設の強行が行われるまでは豊かな緑野だった。今はその場所に所狭しと滑走路・誘導路やいびつな施設が立ち並び、航空機は殺人的な騒音をまき散らしている。警察・機動隊はわが物顔に闊歩(かっぽ)している。
 かつて数え切れぬほどの多くの労働者、学生がこの地で闘い、負傷し、命を落とした者もいる。ここにはその血がしみこんでいる。そしていわれなき罪名を着せられ、今もって獄につながれている者もいる。反対同盟・農民とそれに連なるおびただしい数の人びとの執念が空港の完成を阻んでいるのだ。
 第1次代執行、第2次代執行、岩山鉄塔の攻防、横堀要塞(ようさい)における開港阻止決戦、2期工事阻止決戦、成田治安法との闘い——三里塚で大小の実力闘争が展開されてきた。私自身も地下壕戦に率先して立ち、生死の境を生き延び、つねに反対同盟の先頭で闘ってきた。
 時代の状況は、青年労働者が理不尽に首を切られ路頭にほうり出され、生きることさえままならないという大変厳しいものだ。青年が自分の未来を描けない。三里塚においても農地法を悪用して農地を収奪しようと、NAAと県、裁判所らが一体となって襲いかかっている。「有事」の名のもとにこの成田空港には米軍50万人が飛来する態勢がつくられようとしている。戦争への道が再び敷かれていることを見過ごすことはできない。
 私の「青春時代」は第2次大戦のさなか海軍においてだった。多くの人の命が失われるのを目の当たりにした。闘いの中で若い人びとの笑顔を見るたびに思う。このような戦争を二度と繰り返してはならないと。
 かつての3・8分裂において、金と暴力の脅しに屈して反対同盟に悪罵(あくば)を投げて反対同盟から去っていった者がいた。こうした試練をのりこえて、われわれは今動労千葉との連帯、国際連帯の強固なきずなを一層固めて闘っている。私は今でもつねに「これでいいのか」と自問自答しつつ闘っているが、三里塚が代償を求めず、国家権力と非妥協で闘い続けてきたことは、かけがえのない財産だ。
 3・29全国総決起集会は、市東さんの農地を守る決定的な闘いだ。全国の心あるすべての人がこの大地に立ってともに闘うことを切望します。

 第2章 権力の農地強奪と対決 天神峰 市東孝雄さん

 私の農地問題での裁判に毎回多くの人が駆けつけてくれて、お礼を申し上げます。NAAが私の耕作地を卑劣な手段で取り上げようとしているわけだが、土地の位置の特定が間違っていたということをこれだけはっきり突きつけてやったのに、居直っている。これは許せない。現闘本部裁判、一坪共有地裁判とともに、これからも私の土地の裁判闘争に全力で取り組む。裁判所は反動判決を狙っているだろうが、徹底的に闘います。
 NAAは躍起になって暫定滑走路を伸ばし、「へ」の字誘導路をまっすぐにしようとしているわけだが、この世界的な経済の落ち込みで航空需要も激減しているし、これ以上便数を増やそうなんて本当におかしな話だ。実際に韓国の仁川空港を利用する方が海外に行く人にとっては安いし便利みたいだね。
 このたびの農地法改悪の動きは「高齢化」「後継者不足」「耕作放棄地」などの問題を出して「集落営農」などということをうたっているが、結局今の家族経営の農家を切り捨て、企業が参入しやすくして利益をあげろということだろう。だが経営規模を大きくしたからうまくいくとか食糧自給率が上がるとか、そんな小手先の問題ではないと思う。
 もともと農家は利益がうんぬんというよりも、「食っていければいい」というものだった。だが「売り上げだ、もうけだ」などと言いながら農業で食っていけない現実をつくってきたのが今の自民党政府・国家権力ではないか。何より、空港建設のためにじいさんの代から耕してきた農地を奪うようなことを平気でやるのが、権力の本質だ。
 動労千葉結成30周年の集会に出たが、多くの人びとが参加しすごい熱気だった。韓国の民主労総もそうそうたるメンバーが来て口々に三里塚と動労千葉をたたえていて、あらためて労農連帯の大きさを感じた。動労千葉で若い人たちががんばっていることはすばらしいことだ。また学生たちも多く参加していたことはうれしい。私たちも若い農民を育てなくてはならないね。
 今労働者も、賃金を下げられ、職を奪われ、多くの人が食べていけないところに追い込まれている。その一方で「給付金」と称してお金を配ろうという。今の政治がおかしい方向に行っているのは誰の目にも明らかだ。そう気づいたら、すべての人が3・29にこぞって集まってほしい。ともに闘いましょう。