3・29三里塚大結集を 空港絶対反対・農地死守”の原則 斉田 猛
労農連帯かけ3・29三里塚大結集を
北延伸阻止・市東さんの農地守れ
世界の労働者と農民に展望示す“空港絶対反対・農地死守”の原則
斉田 猛
3・29三里塚全国集会まで2週間を切った。北総大地を埋める労働者・農民・学生の大結集を実現しよう。資本主義の命脈が尽き、世界大恐慌をプロレタリア世界革命に転化する階級情勢において、三里塚闘争の位置は決定的だ。何よりも43年間「農地死守」の原則を貫いてきた地平が全国・全世界の労働者・農民に闘いの展望を示している。3・20渋谷大デモと3・29三里塚全国総決起集会を大成功させ、市東さんの農地を守り、10月北延伸工事完成—来春開業の攻撃を粉砕しよう。
第1章 日帝を追いつめた三里塚43年の地平
世界大恐慌の深まりはとどまるところを知らない。金融大恐慌から実体経済の崩壊へ、帝国主義は自らの新自由主義政策が招いた破局に深々とはまりこんでいる。
われわれは、資本主義の歴史的生命が終わりを迎えたという時代認識をはっきりさせ、「革命」を掲げ猛然と闘いぬいてきた。昨年11・2労働者総決起集会の大成功以降、労働者・農民・学生の闘いの前進は特にめざましい。国鉄分割・民営化=新自由主義攻撃を根幹で打ち破った動労千葉は、今日その勝利の地平を堅持しながら全世界の闘う労働運動の国際連帯の中心に位置している。森精機ストをはじめ動労千葉に続こうとする全国の労働者の闘い。処分・弾圧を恐れず法大当局の暴力支配を打ち破る学生の闘い。国鉄1047名解雇撤回闘争の新たな出発をかちとった2・16国鉄春闘集会。西郡の2・26住宅追い出し強制執行実力阻止闘争。道州制決戦の突破口を切り開いた3・6大阪府庁前行動など。
反対同盟は09年、1・11団結旗開きを皮切りに、市東孝雄さんの農地を守りぬく闘いを前進させてきた。3・8動労千葉結成30周年のつどいでは、韓国、アメリカの闘う労働運動の代表とともに、「車の両輪」として労農連帯のきずなを圧倒的に確認した。
今こそ3・20渋谷デモを道州制粉砕を掲げ爆発させよう。「ストライキとデモで戦争とめよう」の闘いを圧倒的に実現し、3・29三里塚の勝利へ前進しよう。
三里塚闘争の勝利の地平を確認したい。
その第一は、新自由主義攻撃を粉砕し、日帝の空港政策を追いつめたことである。
第二は、日帝権力・空港公団(現成田空港会社=NAA)の反対同盟破壊を許さず、脱落派をたたき出して、絶対反対路線のもと、反対同盟の不抜の陣形を守りぬいたことだ。三里塚は「農地死守・実力闘争」の原則をあくまで貫き、ついに土地収用法を粉砕したのだ。
第三は、動労千葉を先頭とする階級的労働運動と団結することで労農同盟の地平を切り開いてきたことである。この三里塚闘争の魂が、今日職場生産点から立ち上がった労働者と共鳴し結合しているのだ。
第2章 裁判闘争と現地闘争陣形の強化を
3・29闘争の第一の課題は、市東さんの農地を死守する闘いを一層強固につくり出すことだ。
日帝・国土交通省、NAAは市東孝雄さんに対して農地法を使っての農地収用という前代未聞の攻撃に訴えてきている。現在、市東さんの農地をめぐっては三つの裁判が闘われている。
①06年10月にNAAが市東さんを「不法耕作」と称して提訴した耕作権裁判。②07年6月に市東さんが、農地の賃貸借契約解除に許可を与えた千葉県を提訴した行政訴訟。③08年10月にNAAが市東さんを不当提訴した農地法裁判。
市東さんが祖父の代から90年にわたって額に汗し耕してきた耕作地を奪うために、NAAはおよそ考えつく限りの違法・脱法、デタラメを使って襲いかかってきた。
特に③は、現闘本部先の畑のみならず市東さんの居宅前の畑、離れ、作業所など生活・営農基盤を根こそぎ奪う凶暴なものだ。この攻撃を粉砕するために、3・29三里塚現地への大結集をかちとろう。
市東さんの農地を守りぬく圧倒的な陣形をつくらなければならない。
まず裁判闘争である。現在、市東さんと反対同盟は、現闘本部裁判などを含め、月に1回以上の裁判闘争を闘っている。NAAが苦しまぎれに民法や農地法による提訴を乱発した結果だ。だから裁判員制度—司法制度改悪の最先端で激突が始まっている。3・12現闘本部裁判での忌避された仲戸川裁判長によるビデオリンクによる証人調べ、反対同盟証人の不採用、「結審」の強行は、その最大の攻撃だ。弁護団を先頭とした法廷内での闘いに全力を挙げると同時に、司法反動の先兵・千葉地裁を包囲・圧倒する傍聴闘争を毎回やりぬこう。
そして現地実力闘争陣形の圧倒的強化である。市東さんの畑を十重二十重にとりまく労農学人民の結集力の強化である。
市東さんはNAAの買収攻撃を根本的に拒絶し、「1億8千万円の金より、1本100円の大根を作り続ける」と決意を表した。
市東さんの敢闘精神は、反対同盟43年の闘いと団結のたまものである。動労千葉との40年以上にわたる労農連帯の成果でもある。これに比して、4者4団体派は、国鉄分割・民営化以来22年にわたり「解雇撤回・原職復帰」を掲げて闘われてきた国鉄1047名闘争をわずかの金で売り渡し、屈服・解体へと導こうとしている。どちらに大義と勝利の展望があるかは明らかだ。
第3章 日帝の国策=成田空港完成は絶望的
3・29全国集会の第二の課題は、暫定滑走路北延伸攻撃を打ち破ることである。闘う労農学人民は、北延伸攻撃の凶暴性と破綻性を見すえ、全力で打ち返そう。
北延伸は、今年10月完成—フライトチェック—来春3月開業という日程に合わせて工事が強行的に進められている。成田新高速鉄道などの付帯工事が農家の目と鼻の先で行われており、「北延伸開業」のキャンペーンも始まった。
だが、北延伸はすでに破産している。欠陥はなんら解消されないどころか矛盾が拡大されるだけだとNAA自らが認めている。滑走路の長さが2500㍍では短くてアジア近距離便にしか使えない。誘導路は天神峰現闘本部と市東さんの畑の存在によって「へ」の字に曲がったままだ。南側飛行直下を2度もくぐる欠陥新誘導路や高速道路をまたぐ進入灯も「世界に例を見ない」と報道されるありさまだ。
何よりも三里塚反対同盟自身が北延伸攻撃にびくともせず、むしろ空港建設計画を破産に追い込んでいることに勝利感を持ち自信を深めている。02年の暫定滑走路開業と今回の北延伸により、平行滑走路は本来の位置から大幅に北側へと追いやられてしまった。暫定滑走路を2500㍍に延長してジャンボ機を飛ばすぞ、という脅しはすでに打ち破られている。
しかし、絶望的であるにもかかわらず、成田空港の「完全空港化」は、日帝にとって他に代えることのできない死活のかかった国策だ。成田からの撤退や成田の現状維持・固定化などの選択肢はありえない。
2月23日、国交省は羽田空港に関して5本目の滑走路の検討に着手することを明らかにした。「空域が過密」「騒音問題が深刻化する」など、マスコミからも実現性が危ぶまれているが、攻撃を躊躇(ちゅうちょ)していられないほど日帝の危機は深い。
その直後に国交省とNAAは、2010年以降の成田空港の発着回数を今より25%増しの年25万回に引き上げる方向で検討を始めたことを明らかにした。(3月7日「『アジアのハブ』へ競争力」とマスコミが報道)
これらの意味するものは何か。崩壊の危機にある日帝の延命戦略は、道州制による国・自治体丸ごと民営化・戦争国家化と労働組合運動解体、アジア侵略・勢力圏化攻撃以外にはありえないということだ。この勢力圏化を「アジア・ゲートウェイ戦略」として策定した安倍内閣は打倒されたが、この延命戦略は国交省や農林水産省、日本経団連によって準備され、推進されているということだ。
そして日帝は、「アジアのハブ空港」の座をめぐる韓国・仁川空港や中国・上海空港、香港空港などとの争奪戦に勝ちぬくことをあらためて国家目標として据えようとしている。
3・29全国集会は、日帝のこのような延命戦略そのものとの対決点となっている。
第4章 農業・農民切り捨てと農地強奪許すな
3・29集会の第三の課題は、農業・農民切り捨て、農地破壊と対決し、労農連帯の闘う陣形をつくり出すことだ。
麻生内閣は2月24日、農地法改悪案を国会に提出した。その核心的内容は、農地法の命である第1条「耕す者に権利あり」の破壊である。「所有から利用へ」と称して農地を農民から奪い取り、企業・資本の手にゆだねることが狙いだ。
この農地強奪は、公務員360万人の首を切る道州制攻撃と連動している。2月13日に発表された日本経団連の「農地制度改革に関する見解」は農地法改悪を「道州制の基盤を作るもの」と明記した。
何よりもWTO(世界貿易機関)ドーハラウンドが決裂を重ねる中で、成田はFTA/EPA(自由貿易協定/経済連携協定)の推進を軸としたアジア・ゲートウェイ戦略の重要な柱をなす。安価な農産物を輸入し、工業製品を輸出するためのFTA/EPAで国内農民・農業は絞め殺される。
農民の間では「このままでは生きられない」という危機感と怒りが充満しているにもかかわらず、既成の農民組織は1952年農地法制定以来のこの大攻撃に対し「農地法改悪反対」のスローガンすら掲げられないのが現状だ。
労働運動と同様、農民の闘いにおいても、体制内派の屈服を突き破って300万農民の怒りを解き放つ闘いは待ったなしだ。反対同盟は、日本農民の先頭で農業・農民切り捨て攻撃と闘い、300万農民に檄(げき)を飛ばすことを決意した。それは、今回の農地法改悪との真正面からの対決であり、さらに、労農連帯、労農同盟の地平を農民の側から大きく飛躍させる闘いでもある。
第1節 党派闘争貫き青年の獲得へ
3・29大結集と一体の闘いとして、三里塚現地攻防に全力で勝利しよう。3月2日、千葉県知事・堂本暁子が敷地内東峰部落に潜入し、「国やNAAとの仲介の労をとりたい」などと言いつつ空港反対農民宅を突然訪問した。当然にも跳ね返されたが、この切り崩し策動を断じて許すことができない。これを合図とした地域反動の組織化がたくらまれている。飛行回数30万回化などに怒りを強める周辺地域住民と合流・連帯しよう。
また、成田の軍事空港化、巨大補給基地化との闘いを一層強化しよう。反対同盟が一貫して日帝の戦争政策と対決し、「軍事空港阻止」を掲げてきたことの決定的意味が、米軍再編、自衛隊派兵情勢のもとで一層明らかになっている。
さらに、この3・29大結集への過程が激烈な党派闘争としてあることを確認しよう。83年の3・8分裂において反対同盟は闘争破壊、条件派化攻撃と激烈に闘い、脱落派と決別した。塩川一派の「第4インターせん滅戦への自己批判」は、自らが転向の道を選んだだけでなく、不屈の反対同盟をあわよくば脱落派、条件派、4者4団体=体制内運動におとしめ変質させようとする悪質な策動である。これと徹底的に闘おう。
闘争の創成期である60年代、70年代には生まれてもいなかった青年労働者、学生が次々と三里塚の闘いに触れ、決起する情勢だ。日本プロレタリア革命の勝利、労農連帯を基礎にした三里塚闘争の勝利は若い諸君の双肩にかかっている。
援農・現地調査に訪れ三里塚の大地を踏みしめよう。3・20—3・29に全力で決起し、不屈に闘う市東さんの農地を絶対に守りぬこう!