〈焦点〉 「海賊法案」の成立阻止へ 歴史画する侵略法
〈焦点〉 「海賊法案」の成立阻止へ
戦後の歴史画する侵略法
麻生政権は3月13日に海上警備行動を発令し、護衛艦2隻を東アフリカ・ソマリア沖に派兵して、「海賊対策」と称する商船やタンカーなどの「護衛」に乗り出す方針を決定した。14日には広島県の呉基地から護衛艦「さみだれ」と「さざなみ」2隻の派兵を、抗議闘争のただ中で強行した。これは海外派兵と日帝の侵略戦争政策の歴史的エスカレートであり、徹底的に弾劾しなければならない。
中東海域という遠洋での「海上警備行動」は、政府自身が「脱法的行為」と認めるほど、現行憲法の枠を決定的に踏み破る攻撃だ。政府はこの既成事実を先行させることで、今国会に「海賊対処法案」=ソマリア沖派兵新法を今後直ちに提出し、その成立を突破口に、さらに自衛隊を常時海外に展開させる派兵恒久法の制定を狙っている。絶対に粉砕しよう。
日帝・麻生政権は、「中国が(ソマリアに)軍艦を送った」(麻生首相)ことに激甚に反応する形で、現行自衛隊法の「海上警備行動」を脱法的に拡大解釈し、ソマリア沖派兵を強行した。世界大恐慌が日々進行し、他方でイラク・アフガニスタン侵略戦争の泥沼的敗勢で米帝の中東支配・世界支配が崩壊的危機にある中で、今や海上交通路(シーレーン)の要衝であるソマリア沖には、中国などを含めて米欧日の全帝国主義国が、「海賊対策」を口実に艦船を勢ぞろいさせつつある。これは中東石油権益とシーレーンをめぐる帝国主義間・大国間のすさまじい争奪戦、争闘戦そのものである。
日帝の改憲攻撃はこの間、安倍政権の崩壊で一定の「足踏み」を余儀なくされてきた。安倍・福田のぶざまな破産を引き継いだ麻生政権も、大恐慌に直撃されつつ、統治能力は解体状況で政権最末期の危機にある。だが日帝・麻生は政治危機が絶望的であればあるほど、外への侵略戦争政策を激化させている。この間の「日米同盟強化」の動きや、海上警備行動を発令してのソマリア沖派兵、それに続く「海賊対処法案」の提出と成立策動は、その激しい表現だ。実際、「海賊対策は警察活動」と強弁して、自衛隊法82条の海上警備行動を拡大解釈する日帝・麻生のやり方は、強引極まりない。
「海賊対策」で自衛隊を出すとは、かつて日帝の中国侵略で、帝国陸軍が「匪賊(ひぞく)討伐」と称して中国人民の抵抗運動を武力で弾圧し、盧溝橋事件(1937年)を口実に全面的に中国侵略戦争を拡大していった手口と同じだ。「海賊対策」を理由にすれば、中東石油やシーレーンの支配を狙う侵略戦争に、いくらでも突っ込めるということなのだ。
ソマリア沖派兵の強行に続く「海賊対処法案」は、「武器使用規制の緩和」で「海賊船」=相手船舶の船体射撃を「正当防衛」でなくても可能とし、さらに日本船だけでなく外国船舶も「護衛」できる内容だ。それは、米軍や英独仏軍とも共同行動が可能ということだ。これは公海上での集団的自衛権の行使そのものでもある。
ソマリア沖派兵を徹底弾劾し、「海賊対処法案」を絶対に粉砕しよう。さらに派兵恒久法制定を断じて許すな。イラク反戦6周年の3・20渋谷大デモの爆発で、労働者階級の勝利を切り開こう。