2009年3月 9日

道州制と対決し日教組本部打倒へ 教育労働者

週刊『前進』06頁(2382号4面1)(2009/03/09)

道州制と対決し日教組本部打倒へ
 「日の丸・君が代」不起立を 教育労働者は訴える

 2月24日の大阪府立高、3月1日の都立高を皮切りに、全国各地で教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争が闘いぬかれている。今年の不起立闘争は、教育労働者全員を非公務員化する道州制攻撃に真っ向対決し、青年労働者を先頭とした「生きさせろ!」ゼネストに大合流していく闘いである。そして、全国教研をとおして文科省の手先としての姿をさらけ出した日教組本部を打倒する教育労働者のうねりをつくり出す闘いである。不起立闘争で教育労働者の団結をつくり出し、都教委が策動する「分限指針」による不起立解雇を打ち砕こう。青年労働者が先頭に立って闘おう。宮城と大阪から寄せられた教育労働者の訴えを紹介する。(編集局)

 第1章 言いなりになると思うな 「40秒のスト」楽しく闘う 宮城 飯島香織

 毎年、卒業式と入学式を前にして「日の丸・君が代」のことが議論される職員会議に臨むにあたっては、「今年は何を議論しようか」「同僚に何をどう訴えようか」と悩みます。
 私は教育労働者になってから「日の丸・君が代」の歴史を学びました。そのことをとおして、戦争のむごさと、その中で「日の丸」の旗が果たしてきた役割、「君が代」の歌の意味がつながりました。
 そして、教育の場で強制するということの危険性。学校へ「日の丸・君が代」を持ち込むことは、どう考えても納得がいきません。
 1999年に「国旗・国歌法案」が国会審議された時は、街頭でもチラシ配りなどの宣伝活動をしたり、公聴会の会場で抗議の声を上げたりしました。あの時の強引な成立のさせ方を目の当たりにして、「絶対反対」の意思はさらに強くなりました。
 私がこれまで「日の丸・君が代」強制に反論してきた主張の柱は、日本の戦争責任の問題でした。広島や沖縄の思い、「軍隊慰安婦」とされた在日朝鮮人・宋神道さんの思い。特に宮城県在住の宋さんの裁判の陳述書は、いつも職員会議で配る資料にしています。読めば涙が出ます。
 こうして、「卒業生、新入生に私の思いは伝わるだろうか」という重い決意を込めて、卒業式、入学式で不起立をしてきました。
 東京で「10・23通達」が出て以降の根津公子さん、河原井純子さんの処分攻撃に屈しない不起立の闘いを知ってからは、議論の中で東京都教委の攻撃と、そのもたらす教育の危機を訴えました。「不起立」は少し気持ちが楽になりました。心の中で「根津さん、河原井さんに連帯します!」と宣言しながら、式場で不起立をしました。
 昨年は、11月労働者集会に参加して知り合ったアメリカの教育労働者アーリーン・イノウエさんから学んだアメリカの学校の実態を資料にして、新自由主義によって進む「教育改革」の行き着く先の話をしました。同僚からは「貴重な資料だね」という反響がありました。
 今年は、教育を民営化しようとしている道州制について、議論の柱に入れました。道州制については組合からの情報でも一切触れられていないので、おそらく初めて聞く同僚がほとんどだったと思います。しかし、私自身の問題意識が足りなくて、十分な議論ができなかったのは心残りです。
 それでも、毎日忙しくて「定時退勤」は掛け声だけ、評価票提出を強制され、さらに賃金カットに差別賃金制の導入と、仲間と分断されることばかりの職場には、怒りが積もっています。
 その上で、丸ごと民営化、教育労働者は全員解雇=非公務員化という組合つぶしの攻撃である道州制が導入されようとしているのです。これは本当に許せません。
 「なんでも言いなりになると思うなよ!」。怒りいっぱいの「君が代」不起立は40秒のストライキ。これなら、楽しくできそうです。
 職場に団結をつくり出す不起立です。卒業式までの間、さらに仲間に声をかけていこうと思っています。

 第2章 組合の執行部と激突して労働者の団結つくり出す 大阪高教組 野々宮翔

 日教組全国教研をめぐる闘いの報告が広島から届き、いよいよ日教組本部—各単組本部との激突が切迫しています。そのただ中で、2月24日、大阪府立学校の卒業式が始まりました。
 2月1日、関西労組交流センター教育労働者部会が「ぶっとばせ!橋下/2・1全関西教育労働者集会」を開きました。(写真)
 ここで私たちは、①ブルジョアジーによる公務員全員解雇・民営化の大攻撃=橋下「道州制」攻撃と真正面から闘うことが、労働者階級の最大の課題であること、②今春「日の丸・君が代」闘争をこの観点から徹底非妥協、不起立で闘うことを確認しました。
 さらに、③世界金融大恐慌が実体経済に及び解雇攻撃が激化する中で、「免許更新制度」「非正規(有期)雇用」「評価制度」「分限免職制度」などとどう闘っていくのか、その中で最大の課題となる日教組(組合)本部=体制内組合指導部との対決、ストライキのできる労働組合をどうつくっていくのか、ということを討論しました。
 3月13日には、大阪府で「教務補助員」などの非正規職員346人が(学期ごとの雇用契約打ち切りという形で)解雇されようとしています。「一人の首切りも許さない」闘いが必要です。
 2月1日の討論を受けて、私は自分の職場で、労働者の団結をつくり出すために「日の丸・君が代」闘争を闘うということを考えながら、職場闘争に取り組みました。関西の教育労働者の中でも真剣な討論が進みました。
 卒業式前日に管理職から、「職場名の入ったビラを配るな」という攻撃が2度にわたってありました。「職務命令」が出るのではないかと決意して臨みました。一人でしたが徹底非妥協の姿勢で対決し、「やめろ」「いや、配る」とやり合って決裂しました。3年生の担任は一人ひとり呼びつけられ、「起立せよ」と執拗(しつよう)に迫られました。
 しかし、教育労働者は苦闘しながらも、このような攻撃をはねのけています。式場に入った約半数の教育労働者が「不起立」を貫きました。クラスの生徒がびっくりして見ていたのが印象に残っています。
 革命情勢が進行する中で、「日の丸・君が代」攻撃が、教育労働者の団結を破壊するものであり、労働組合の解体攻撃であることが、非常に鮮明になりました。それは、「職場の労働者が現場を動かしている」という現実も否定し破壊する攻撃として現れています。さらに今年は、労働者の団結破壊を直接の目標とするという本質をあらわにしてきました。
 私は、崩壊していく資本主義をしっかりと革命情勢として認識し、今こそ労働者が階級的団結を固め、革命を目指して進む時だと思います。
 そのために教育労働者はどう闘うのか? 今、職場にかけられる攻撃はすべて団結の破壊、労働組合の解体攻撃です。
 だからこそ、職場にある具体的な課題を革命の戦略の中に位置づけ、労働者の団結をつくり出していくことに執着しなければなりません。
 労組交流センター教育労働者部会で激しく討論して得た結論は、闘いを避けて労働者を絶望させる組合執行部と徹底的に対決し、分岐・激突し、そのことをとおして情勢認識と路線を鮮明にして職場・労働組合で階級的労働運動を推進する、ということです。