2009年3月 9日

〈焦点〉 アフガン侵略戦争の激化 オバマ施政演説と新戦略

週刊『前進』06頁(2382号3面2)(2009/03/09)

〈焦点〉 アフガン侵略戦争の激化
 オバマ施政演説と新戦略

  米大統領オバマは2月24日、施政方針演説を行い、世界大恐慌の深まりに対し、アメリカの「再建」「再生」「米国はこれまで以上に強くなる」「将来に責任をとる」などと強調し、金融と経済の安定化に全力を挙げると表明した。
 しかしオバマは、膨大な公的資金を投入して繰り出す金融安定化策や景気対策、自動車産業や住宅ローンの救済策にすでに市場から早々と「ノー」を突きつけられ、シティグループの公的管理化や、AIGへの追加支援策の発表などを余儀なくされている。実体経済の降下、収縮も激しい。27日発表の昨年10〜12月期の実質GDP成長率は年率換算マイナス6・2%で、27年ぶりの低水準だ。
 またオバマは「4年の任期で1兆㌦規模の財政赤字を半減させ、10年で2兆㌦節約できる」「無駄な歳出を徹底的に削減する」と述べた。労働者階級へのリストラ・解雇、賃下げ、社会保障制度の徹底的な解体攻撃を強めるということだ。しかしすでに巨額の金融・景気対策費と戦費により、09年度財政赤字は1兆7521億㌦(約171兆7000億円)、前年度の3・8倍に急増している。「半減」などオバマには不可能だ。
 安保・外交面では、「新たな関与の時代」「アフガニスタン問題で包括的戦略を策定」「テロリストが米国人に攻撃を計画することを許さない」などと述べ、アフガンを軸に侵略戦争政策をむしろ激化する方針を表明した。
 イラク政策については、施政方針演説で「イラクの戦いを責任ある方法で終える道を近く発表する」とし、27日の海兵隊基地演説で駐留米軍のイラク撤退の「新戦略」なるものを打ち出した。それは①駐留米軍を現在の14万人余りから、10年8月までに戦闘任務を終了し、部隊を9万人以上減らし、すべての旅団戦闘団を撤収させる、②残る移行部隊3万5千〜5万人はイラク治安部隊の訓練やテロ掃討作戦などに従事、11年末までに撤退するというものだ。
 移行部隊は、イラク治安部隊の訓練のほか、顧問団としてイラク治安部隊に同行し、助言や支援を行う。「少数の」米特殊部隊はゲリラ掃討作戦を継続する。「戦闘任務終了」は看板だけだ。11年末を期限とする「完全撤退」なるものも、現地の状況次第で必要なら見直す可能性があることを、ゲーツ米国防長官がオバマの「撤退」計画発表と同時に表明した。
 だが、そもそもこのオバマの「新戦略」自体が、昨年末にブッシュがイラク政府との間で締結した米軍駐留協定を、基本的に実行するものに過ぎないのである。
 アフガニスタンについては2月17日に米軍1万7千人の増派を決定した。今年後半までに総数で6万人を超す部隊を駐留させ、侵略戦争を激化させようとしている。「イラク撤退」は同時にアフガン侵略戦争の激化政策なのだ。
 だが、アフガンが逆に「オバマのベトナム」となり、米帝発の世界大恐慌の本格的進行とともに、米帝の没落と体制崩壊の歴史的な引き金となることは不可避である。欧州帝国主義や日帝との「同盟強化」で、アフガンを最先端としての侵略戦争を激化させる米帝オバマを、3・20全世界一斉反戦デモの大爆発で迎え撃とう。