2009年3月 2日

3・29三里塚へ全国から総決起しよう 白川賢治

週刊『前進』08頁(2381号7面1)(2009/03/02)

3・29三里塚へ全国から総決起しよう
 “農地死守・実力闘争”の原則貫き市東さんの農地収奪・北延伸阻止を
 白川賢治

 資本主義の終わりを告げる世界大恐慌の中、闘わなければ生きられない労働者・農民、人民が革命に向かって決起を開始している。43年間、農地死守・実力闘争の原則を貫き勝利してきた三里塚闘争がその真価を発揮する時が来た。暫定滑走路北延伸を破産に追い込んでいる勝利の地平に立ち、三里塚闘争の新たな発展を切り開こう。労農連帯の力で市東孝雄さんの農地を守りぬこう。その勝利をかけた重大な決戦が3・29全国総決起集会だ。圧倒的な大結集をかちとろう。

 第1章 全世界で労働者・農民が「生きさせろ!」の闘い

 昨年のリーマンショックから6カ月。情勢は激変した。サブプライム危機に端を発した金融大恐慌は今や1929年を上回る世界大恐慌に発展しつつある。資本主義の終わりの始まりだ。
 アメリカの自動車ビッグ3や巨大銀行は、もはや公的救済なしにはやっていけない。日本でも2兆円を上回る利益を得ていたトヨタが赤字に転落し、電機大手7社もすべて赤字だ。
 資本は一切の矛盾を労働者人民に押しつけ、大幅賃下げ、大量解雇をもってのりきろうとしている。1月26日アメリカで発表された首切りは、その1日だけで7万5千人。日本でも非正規職の失業は3月末までに40万人と言われている。
 「変革」を掲げて登場したオバマがやろうとしていることは、この金融大恐慌の危機を労働者への階級戦争と外への侵略戦争で突破しようというものだ。「バイ・アメリカン」条項はむき出しの保護主義、大資本救済であり、戦争への道だ。
 オバマ打倒のアメリカ労働者の闘いを先頭にして、「生きさせろ!」の闘いが世界中で何十万人、何百万人の労働者人民のストライキ、デモ、暴動として燃え広がっている。その勢いはとどまるところを知らない。このひと月だけでも、ロサンゼルス1万5千人、パリ3万人、ダブリン(アイルランド)10万人とデモが闘われている。
 労働者が権力を取る時代だ。今こそトヨタ、キヤノンをぶっ飛ばし、麻生政権を打倒しよう。
 農民も労働者と同様に生きるすべを奪われる状況にたたき込まれている。この間、新自由主義政策のもとで農業切り捨てが激化してきた。日帝は300万農家を40万にするという農業切り捨て政策を極限的に追求している。
 そしてついに、今通常国会で農地法の改悪を強行しようとしている。「農地はこれを耕すものに権利がある」を趣旨とする農地法第1条そのものを削除して、農民から農地を奪い、資本が都合良く使えるようにしろというのだ。また「減反選択制」なる政策がにわかに登場してきた。コメの自由競争を激化させるもので、米価のさらなる暴落を引き起こしかねない。これらは農家に死を宣告するものだ。
 農民にかけられた攻撃は労働者にかけられた攻撃と同じだ。闘わなければ、もはや農民も生きていけない。29年大恐慌の時も、日本の農民は数々の実力決起に立ち上がった。29年以降、毎年数千件の小作争議が闘われ、警察権力による弾圧や右翼、暴力団による闘争破壊と実力で対決して地主と闘いぬいた。小作料の値上げや農地への立ち入り禁止を打ち破って、実力で農業をやり抜いた。
 金融大恐慌の中で、07年参議院選でみられた農民の総反乱が「生きさせろ!」の実力決起としてかちとられる情勢だ。農民は闘いの水路を求めている。労働者と農民ががっちりと手を握ってひとつの敵を倒すときがやってきた。プロレタリア革命に向けた労農同盟の戦略的重要性をあらためて確認しよう。

 第2節 北延伸は空港破産の象徴だ

 2009年三里塚現地攻防の焦点は、暫定滑走路北延伸10月完成=来春供用開始による闘争破壊との闘いだ。市東さんの農地を守る闘いがこの中軸にある。
 政府権力と成田空港会社は、とにもかくにも北延伸で暫定滑走路を2500㍍にしようと突進している。市東さんの農地を強奪するためのでたらめな裁判に血道をあげている。そのうえ「年間30万回離発着」「24時間空港化」や「成田新高速鉄道」をぶちあげている。
 だが、北延伸こそ空港建設の破産の象徴だ。平行滑走路は北にずらされ、誘導路は「へ」の字、保安区域に高速道路が走るなど、その欠陥をあげたらきりがない。
 そして世界金融大恐慌が実体経済に波及した今日、日本航空や全日空は政府に公的支援を求めるまで経営危機を深刻化させ、路線の縮小・撤退に走っている。それが空港の存続にかかわる大問題となりつつある。成田空港の昨年1年間の輸出下げ幅は前年比13・3%。輸入も9・2%減。昨年12月に限った輸出額は、前年同月比で実に48・6%減である。
 北延伸計画はすでに要らなくなっている。“空港ではなく農地! コンクリートを引きはがせ!” 農地法による農地取り上げは不正義であり、農地を守る市東さんの闘いは圧倒的正義である。これこそ農地死守・実力闘争と労農連帯が闘いとった三里塚の圧倒的な到達地平である。

 第2章 「耕す者に権利あり!」日帝の農業収奪許すな

 この地平の上で市東さんの闘いは、資本による農業からの徹底収奪、農業・農民切り捨て攻撃との闘いの先頭に立っている。「農地法による農地取り上げ」という市東孝雄さんへの攻撃は、農地法の解体と収奪攻撃そのものだからだ。
 「(農業の)日本経済に対する最後の貢献は、企業に農地をさしだすこと」(日本経団連会長・御手洗冨士夫)
 「小規模農地を維持しているだけの農家は退場してもらう」(経済財政諮問会議元議員・本間正義)
 彼らが考えていることは何か? 大恐慌下における農業・農地の徹底収奪だ。
 世界大恐慌突入の中で、各国帝国主義は急速に保護主義とブロック化の動きを強め、争闘戦を激化させている。WTO(世界貿易機関)が決裂を重ねる中、FTA/EPA(自由貿易協定/経済連携協定)を強力に推進している。07年日本経済調査協議会・高木最終報告に始まる農政改革の方向は、農地法改悪と企業の農業参入、「攻めの農業」と称するグローバル化の攻撃だ。FTA/FPAがその中軸だ。
 産業資本が優良農地(巨額の税金を投じて土地改良された)を標的にして直接的に農地を取り上げ、農民を農業から排除している。2月1日、東京新聞が暴露したトヨタ子会社の愛知陸運などによる大規模優良農地の直接的破壊(農地を転用し倉庫群を造った)は、こうしたことが農地法改悪に先立って行われていることを浮き彫りにした。
 しかも日帝ブルジョアジーは、この農業破壊を「攻めの農業」「輸出型産業への転換」「雇用創出」などと称して経済危機脱却のための路線としている。
 農業切り捨て政策によって離農を促進し、不可避に発生する耕作放棄地(38万㌶超。埼玉県の面積に匹敵)を「土地流動化」の名のもとに取り上げようとしている。資本は賃金労働者からの搾取を強めるとともに農民・農業からの徹底的収奪に向かっている。

 第1節 農業切り捨ての道州制攻撃

 戦争国家化と国・自治体の丸ごと民営化を狙う道州制攻撃は、労働者の首切りと農業切り捨てを一体的に進めるものだ。戦後革命敗北の中、地方自治とともにもたらされた農地法は、農民自らが選ぶ農業委員会(農業会議)と知事に農地をめぐる権限を与えている。道州制はこれを解体し大資本の独裁に置き換えようとするものである。
 戦後の農地改革と農地制度も認める「耕す者に権利あり」の正義に立ちきり農地を守る市東さんの闘いは、全国農民・労働者の闘いそのものである。その闘いを、市東さんと三里塚反対同盟は、闘争の基本原則である徹底非妥協・農地死守として闘っている。
 大恐慌情勢下、実力闘争が切り開いた勝利の地平の上に、動労千葉とともに築き上げた「労農同盟の萌芽(ほうが)」を豊かに発展させる闘いが、現下の三里塚闘争だ。

 第3章 3・20?3・29の爆発を日本革命への突破口に

 待ちに待った闘いの時は来た。3・29はボロボロになった麻生内閣を打倒し、3・20イラク反戦6周年・世界一斉行動の爆発と一体の闘いとして日本革命を切り開く突破口である。3・29の大結集をかちとるために、あらためて3・29はいかなる集会かを確認したい。
 なによりも、市東さんの農地を守り、10月暫定滑走路北延伸完成攻撃を粉砕する総決起集会である。
 市東さんの闘いに、なんとしても勝利しなければならない。2・3農地法裁判における市東さんの気迫の意見陳述に断固応えようではないか。裁判闘争を現地闘争と一体のものとして徹底的に闘い、政府・空港会社の不正義を社会的に暴き出す中で、市東さんの農地を守る強固な陣形をつくり出そう。この闘いで10月完成攻撃を粉砕しよう。農地法改悪による農業破壊攻撃を粉砕する反対同盟の決起に応えて、今通常国会での農地法改悪策動を粉砕する闘いに全力で決起しよう。
 10月完成攻撃の真の狙いは、反対同盟つぶしにある。これを打ち破るものこそ、43年間不屈非妥協の闘いで貫き通した「農地死守・実力闘争」の原則だ。この原則を貫いて、反対同盟が圧倒的な勝利の地平から新しい闘いに突入しようというその時に、塩川一派はなんと「第4インターへの自己批判」を行った。なんたる闘争破壊策動か。三里塚闘争に敵対し、闘いの歴史を汚すものだ。満身の怒りを込めて、徹底的に断罪し粉砕する。
 さらに、労農連帯・国際連帯を高々と宣言する場である。「われわれは全世界の労働者・農民に連帯を積極的に働きかける。成田・北総地域に限定しないで日本の農民を獲得する」(萩原進さん)。動労千葉とともに闘いとった労農連帯・国際連帯の発展をさらに豊かに発展させよう。階級的労働運動路線のもと、労農連帯の発展を軸に、全国の反戦闘争、住民運動、市東裁判闘争を全力で支援する市民運動との幅広い連帯をかちとろう。空港絶対反対、農地死守・実力闘争の路線を断固として貫こう。
 日米政府は共同作戦計画の「抜本的」見直しに着手した。朝鮮有事を想定し、米軍が使う民間空港(その第一は成田)・港湾の選定、空港管理、科学・生物・放射性物質・核兵器攻撃への対処など十数項目におよぶ。成田における国民保護計画、習志野基地への新型ミサイル配備など具体的な攻撃が進められている。成田空港の軍事化と闘い、侵略派兵を阻止しよう。
 3・29三里塚への大結集を実現する最大の鍵は、青年・学生を先頭とした3・20渋谷デモと3・29を文字どおり一体のものとして闘いとることである。3・20「生きさせろ!」の闘いに立ち上がった労働者の怒りが3・29で農民の闘いと結合した時、どれほどブルジョアジーを震撼(しんかん)させる力になるか。3・20?29の大爆発を、全世界にとどろかせよう。