三里塚耕作権裁判 “メモ”でNAAは破綻した
三里塚耕作権裁判 提訴を即刻取り下げよ
“メモ”でNAAは破綻した
三里塚反対同盟・市東孝雄さんの耕作権裁判第10回口頭弁論が2月16日、千葉地裁で開かれた。成田空港会社(NAA)が市東さんの畑の一部を「不法耕作」と決めつけ、明け渡しを求めて起こした裁判だ。反対同盟を先頭に85人の労働者、農民、学生、市民が支援・傍聴に駆けつけ、市東さんと怒りをともにして闘いぬいた。
裁判の争点は「南台41—9」の土地。NAAはここを市東さんの賃借地だと決めつけて提訴したのだが、実際には市東さんがここを耕作したことは一度もない。耕していたのは反対同盟元副委員長の石橋政次であった。この一点でNAAの提訴はデタラメであり、即刻取り下げられなければならない。
反対同盟と顧問弁護団の厳しい追及を受けて、NAAは前回の第9回でついに「1984年段階では」という留保条件を付けながら、「南台41—9」が石橋の耕作地だったことを渋々認めた。
ところが、今回NAAは、市東東市さん(孝雄さんの父)が「南台41—9」をもともとの自分の契約畑と認めていたとされる「証拠」として、旧地主の藤崎政吉の手書きの「メモ」なるものを持ち出してきた。このずさんでいい加減なメモをほぼ唯一の根拠として、この土地は「もともとは市東家の契約地だったが、石橋と土地を交換した」との主張で押し切ろうというのだ。
だが87年当時に空港公団が千葉県収用委員会に提出した裁決申請書(三里塚農民の農地を強制収用するために2期工事区域の土地の権利関係などを調査したもの)という決定的な「公的」文書にまで、「南台41—9」は石橋の契約地で、市東さんの契約地は別であることが明記されていることが明らかになった。
弁護団は求釈明を行い、原告の代理人弁護士を追いつめた。NAAよ、見苦しい取り繕いをやめ提訴を取り下げよ!
閉廷後、弁護士会館で記者会見と報告集会が開かれた。最初に市東さんが「裁判は佳境に入ってきたが、向こうの言っていることはすべてデタラメであることがますますはっきりした。弁護士さんとともに私もがんばります」と決意表明をして大きな拍手を浴びた。
葉山岳夫弁護士を始め弁護団が詳細な解説を行い、記者、参加者との熱心な質疑応答が続いた。
北原鉱治事務局長は「この裁判の行方に全国の農民の未来がかかっている」とさらなる傍聴・支援を訴えた。さらに市東さんの農地取り上げに反対する会の井村弘子さん、動労千葉の滝口誠さん、関西実行委の安藤眞一さん、群馬・市東さんの農地を守る会の青柳晃玄さんが次々と連帯のあいさつを行った。滝口さんは「昨日定期委員会を開き、春闘ストに立つことを決定した」と力強く報告した。
最後に事務局の鈴木謙太郎さんがまとめを行った。「2月3日に市東さんの農地を農地法を悪用して取り上げようとする裁判が始まった。今日の耕作権裁判、千葉県を訴えた行政訴訟とあわせ、三つの裁判を全力で闘おう。農地を農民から取り上げ企業に引き渡すための農地法改悪が行われようとしている。NAAは北延伸10月完成、来春供用開始を計画している。農民切り捨てを許さず、労農連帯の力で3・29全国集会への大結集をかちとろう」
この提起に参加者一同、3・29大結集の決意を込めた拍手で応えた。次回の耕作権裁判は5月11日。4月21日には行政訴訟が開かれる。全力で傍聴に駆けつけよう。