〈焦点〉 民営化絶対反対へ 「かんぽの宿」超安値売却
〈焦点〉 今こそ民営化絶対反対へ
「かんぽの宿」超安値売却
労働者の徹底的な犠牲の上に、民間大資本が郵政の財産を分捕る——このような郵政民営化の正体がますますあらわになった。「かんぽの宿」売却問題だ。用地取得・建設費に総額2400億円を投入した全国の「かんぽの宿」70施設と社宅9施設を、日本郵政(JP)は昨年12月末、わずか20分の1の超安値109億円でオリックス不動産に一括譲渡することを決めた。国会などで大問題となり、一括譲渡は白紙に戻されたが、大資本が郵政事業を食い物にする本質が変わるわけではない。
これは政府・自民党、日本郵政、そしてオリックス会長・宮内義彦が結託して進めてきたことだ。オリックスに超安値で譲渡するために、日本郵政は9月の時点で施設の資産価値を計123億円と超低額に査定した。さらに10月の最終選考1回目の入札では、別の会社がオリックスよりも高い額を提示したところ、日本郵政は入札条件を変更してやり直し、最終的にはその1社が辞退してオリックスへの譲渡が決まった。日本郵政社長・西川善文は、初めから宮内と結託していたのだ。
資本家による郵政資産の略奪はこればかりではない。民営化前の07年3月に、鳥取県の「かんぽの宿」がわずか1万円というただ同然の価格で売りに出され、「レッドスロープ」という不動産会社が購入した。同社はこれを半年後に6000万円で転売し巨利を得た。さらに鹿児島県指宿の「かんぽの宿」も同じく1万円で同社が買い受け、短期間で東京のリゾート会社に転売し多額の転売益を得た。レッドスロープ社は正体不明の幽霊会社であり、旧郵政公社から一括して18物件の払い下げを受けている。社宅など7物件の土地・建物の売却価格は、それぞれわずか1000円だ。
この宮内や西川こそ労働者階級の敵だ。宮内は、日帝・小泉政権のもとで総合規制改革会議議長などを歴任し、竹中平蔵と一体となって民営化、規制緩和、労働法制の改悪を進めてきた張本人だ。製造業への派遣労働の解禁、タクシー業界の規制緩和、公的医療機関の崩壊状況をもたらしている医療制度改悪——これらは全部、宮内が日帝・小泉の先兵となって進めたことだ。郵政労働者の団結と闘いを解体し、巨大な郵政利権を金融独占資本が強奪する日帝の民営化攻撃の正体が、今やさらけ出されているのだ。
しかもこうした憎むべき事態は、体制内労働運動のJP労組中央が積極的に資本の先兵となることで進行している。今回のオリックスへの一括売却も、JP労組中央が同意することで初めて可能になったのだ。そこで働く労働者の「雇用継続」を合意の条件としたというが、まったくのごまかしだ。宮内に売り飛ばしたら、やがて大量首切り、賃下げ、非正規雇用化が強行されることは、火を見るよりも明らかだ。
郵政職場は、民営郵政の破綻と矛盾が、極端な労働強化を伴って噴き出している。誤配・遅配、労働災害が激発している。労働者を食い物にして金もうけに走る日帝・資本家と自民党政府、そして資本の手先=連合・JP労組本部を打倒し、郵政民営化絶対粉砕へ決意も新たに闘う時である。