〈焦点〉 侵略戦争拡大 オバマの安保・外交政策
〈焦点〉 同盟強化で侵略戦争拡大
オバマの安保・外交政策
米帝オバマ政権の軍事・外交政策の基本的方向が明らかになりつつある。2月7日のミュンヘン安保会議でのバイデン副大統領の演説や、9日のワシントンでのオバマの記者会見がそれである。
結論的に言って、オバマやバイデンは、ブッシュ時代からの転換と「国際協調」や「対話」をうたっているが、実際には「テロリストとの戦い」を強調しつつ、アフガニスタン・イラクやパレスチナへの侵略戦争を、他帝国主義の一層の動員をもって激化させることに全力を挙げようとしている。
オバマは就任前からアフガニスタン侵略戦争の激化を米帝の軍事・外交政策の最優先課題としている。この「大きな挑戦」に向け、「軍事と外交と開発を組み合わせ、同盟国と密接に協調する」方針なるものがオバマの基調だ。しかし「アルカイダやタリバンの隠れ家を一掃する」ための「テロリストとの戦い」は「いつまで続くか、日程表はまだ持ち合わせていない」と認めざるをえず、何の成算もなく、アフガニスタン駐留米軍を3万人増派(倍増)し、さらに独仏帝や日帝から一層の協力をとりつけようとしているのだ。
国防総省は、08年のアフガニスタンでの武装勢力の攻撃は前年比で33%も増加したと議会に報告した。2月11日にも首都カブールは大攻撃を受けている。イラクからの撤退も簡単でないばかりか、アフガニスタン侵略戦争の激化は、実際、かつての大英帝国や旧ソ連のように、危機と没落の米帝の決定的な命取りになりかねない。
またオバマ政権は、すでに1兆㌦(約92兆円)以上の財政赤字を前政権から受け継いだ上に、恐慌対策と戦争激化で、さらに天文学的に財政赤字を積み重ねざるをえず、大恐慌下のドル暴落やインフレ爆発の面からも、絶望的破綻をきたすことは不可避である。
こうした中でオバマ政権は、アフガニスタンを新たな先端とする侵略戦争に、「スマートパワー」とか「同盟強化」「国際協調」の名をもって、独仏や日帝をさらに最大限に動員しようとしているのだ。それは同時に、帝国主義間争闘戦の激化政策でもある。これに対し、すでにアフガン国内に大量派兵している欧州諸国は、一定の「慎重姿勢」を示しており、日帝に対して大型輸送ヘリの派兵要求などが強まるすう勢にある。
イランについてオバマは、「建設的な対話」「直接対話」を打ち出し、ブッシュ時代から方針転換する動きを見せている。だが「テロ支援」や「核開発」の動きは容認しないとの強硬姿勢に変わりはなく、「対話」と戦争発動は米帝にとって常に一体なのである。
ロシアは2月3日、キルギスに20億㌦の融資を約束した。これを受け、キルギス政府は米軍が使用するマナス空軍基地の閉鎖を宣言した。アフガン駐留米軍への陸上補給ルートが武装解放勢力に次々と破壊される中で、マナス空軍基地の喪失は、新たにアフガニスタン侵略戦争に全力を挙げようとしている米帝オバマにとって大きな打撃となる。ここでもオバマ政権は早くも危機に直面している。
国内での階級戦争と外への侵略戦争を激化させる米帝オバマ反革命政権の打倒へ、労働者階級の国際的団結を強化して闘おう。