2009年2月16日

道州制推進の自治労本部 岡部委員長のあいさつ暴く

週刊『前進』06頁(2379号2面2)(2009/02/16)

3・6道州制粉砕大阪府庁前行動へ
 「地方分権」=道州制推進の自治労本部を打倒しよう
 岡部委員長の中央委あいさつ暴く

 第1章 交流センター総反撃を訴え

 1月29日〜30日、東京で自治労第137回中央委員会が開かれた。労組交流センター・自治体労働者部会に結集する闘う労働者は「道州制攻撃をぶっ飛ばせ!」「労働組合をよみがえらせ、職場から反撃を!」と訴えて闘った。また、世界大恐慌の世界革命への転化を真っ向から提起し、革命に向かって「生きさせろ!」ゼネストを実現しようと呼びかけた。その一大突破口が道州制反対・橋下打倒の3・6大阪府庁前行動だ。
 この鮮明な時代認識と路線提起は多くの自治労中央委員・傍聴者の心をとらえた。
 一方、2003年の「自治労21世紀宣言」採択で階級闘争・階級対立の概念を放棄し体制擁護派に転落した連合・自治労本部は、資本主義とともに命脈が尽きていることを示した。岡部謙治委員長の冒頭あいさつに始まり、本部の議案、報告、答弁のことごとくが金融大恐慌を悲しみ、資本主義を救済し、体制を擁護する立場から発せられた。彼らは自治労組合員に資本・当局への協力と屈服を強い、絶望を組織しようとしたのだ。しかし逆にこれらは、闘う現場労働者に自分の職場で闘う意志と本部打倒の決意をあらためて呼び起こしている。

 第2章 応募者極少の緊急雇用対策

 岡部はあいさつで、1月15日に高木剛・連合会長と御手洗冨士夫・日本経団連会長とが労使首脳懇談会で採択した「雇用安定・創出に向けた労使共同宣言」を賛美した。
 「労使共同宣言」は、大恐慌下の資本による大量解雇攻撃を前提にした失業者救済を唱えている。「労使一丸」となって労働者反乱をたたきつぶすという宣言だ。
 600万人を組織する労組ナショナルセンターなら、金融大恐慌の危機を労働者の解雇や賃下げでのりきろうとする資本に対してゼネストをたたきつけるべきところだが、まったく逆なのだ。
 本来、資本・国家と労働者・労働組合とは非和解的に対立しているはずだ。労働組合とは、資本・国家と日常的に闘いつつ、究極的には賃金制度の廃絶と階級的解放を成し遂げるための労働者階級の武器、大衆的組織形態だ。「労使共同」など絶対にありえない。
 派遣切りにあって路頭に投げ出された労働者は、資本の身勝手に怒り、解雇撤回の闘いに立ち上がる誇り高い存在だ。労働組合に組織してともに闘うべき仲間だ。政府・資本、体制内労組の慈悲によって救済される対象ではない。
 ところが労使共同宣言は階級闘争の原則、労働組合の原点を投げ捨てて、資本・国家とともに労働者救済の慈善事業をやろうと言っている。
 この立場から岡部は、緊急雇用対策として市町村の臨時職員募集を当局とともに各県本部、各単組が取り組んだと報告した。本部は中央委員会出席者に、1月末現在での全国の256自治体と労組の取り組みの詳細な一覧表を配布した。
 これはあくまで臨時職員募集であって正規職員募集ではない。労働者反乱を抑え込むための救済運動だ。ところがそれさえも破産した。救済にさえならないからだ。
 自治体の臨時職員募集の実態は、4週間から長くて3月末までの短期間、時給800円程度で食いつなぐこともできない。そのため募集人員の1割しか応募・採用がないありさまとなった。
 岡部はまた、連合が昨年10月23日に発表した「希望の国日本へ舵(かじ)を切れ」なる提言を賛美し、この路線で自治労運動を進めようと提起した。

 第3章 御手洗に倣い希望の国日本

 「希望の国日本」とは何か。07年1月1日に出した日本経団連の提言の表題「希望の国、日本」と同じではないか。1月15日の労使共同宣言を待たず、連合は身も心も日本経団連と一体化していたのだ。
 「希望の国日本」提言は、昨年9月のリーマンショックで世界金融大恐慌が本格化したことに対応して出されたが、大恐慌下の大量解雇・賃下げ攻撃にゼネストで闘うことを呼びかけたものではない。プロレタリア革命に反対する改良主義、体制擁護論だ。
 提言は「安定した雇用システムや安心できる社会保障の仕組みの再構築、内需主導型の経済システム、経済・財政運営への転換」で「希望の国日本を実現すべきである」と言う。日本の資本主義を福祉国家モデルに再建することが可能であり、そうすれば延命できるという幻想だ。
 それだけではない。闘いの圧殺者としての正体を現し始めた。
 提言は「一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である」という国際労働機関(ILO)のフィラデルフィア宣言を引用し、労働組合が体制の安全弁、革命の圧殺者となるべきだと押し出している。この言葉は岡部のあいさつでも引用された。粉砕あるのみだ。

 第4章 日本経団連と同じ道州制論

 実践的に問題なのは、中央委員会の「春闘方針」「当面の闘争方針」全体をつうじて、道州制・民営化攻撃粉砕、橋下大阪府知事打倒が提起されていないことだ。
 当面の闘争方針では、道州制について「拙速な議論」に反対しているだけで、「地方分権」につながるならOKという見解を述べている。
 政府の道州制ビジョン懇談会座長・江口克彦は「地域主権型道州制」は地方分権とは違うと主張するが、経団連提言は地方分権改革の推進をとおして道州制を導入する立場だ。自治労本部は本質的に道州制賛成なのだ。
 道州制攻撃は、公務員360万人のいったん全員解雇・選別再雇用、国・自治体の全面的民営化、強権的・中央集権的な戦争国家化、改憲の反革命クーデター攻撃である。国鉄分割・民営化はカクマルを先兵に国労・動労千葉—総評・社会党を壊滅しようとした攻撃だった。道州制攻撃は単純に計算しても国鉄攻撃を10倍する大量解雇攻撃であり、自治労・日教組—労働運動全体の壊滅を狙う反革命攻撃だ。
 大恐慌下、日本経団連など大資本と自公政権は絶望的に反革命化して道州制・民営化攻撃をしかけてきている。その先兵が橋下徹・大阪府知事だ。道州制攻撃との対決は、第2次国鉄決戦と並ぶ最大の階級決戦だ。
 連合・自治労本部を始め体制内労働運動との党派闘争を貫徹し、階級的労働運動の力で道州制・民営化攻撃を打ち砕こう。3・6大阪府庁前行動に総結集しよう。
---------------------

 第4章 労使共同宣言を賛美する岡部委員長


▽現状の厳しい雇用関係を打破するために労使共同宣言を確認した。直ちに政府・各政党に要請行動を行い、雇用関連のセーフティネットの整備について取り組んだ。
▽連合は「希望の国日本へ舵を切れ」との提言を行った。それは構造改革路線からの決別、新しいパラダイムシフトが必要であることを内外に呼びかけたものだ。
▽非正規雇用労働者の雇用対策については……自治労としても各県本部に緊急な取り組みをお願いした。