2009年2月 9日

農地死守裁判第1回弁論 市東さん“この土地こそ私の畑だ”

週刊『前進』06頁(2378号6面2)(2009/02/09)

農地死守裁判第1回弁論 不当提訴直ちにやめよ
 市東さん “この土地こそ私の畑だ”

 第1章 「農地死守」を訴え市内デモ

 「市東孝雄さんの農地を守りぬくぞ!」
 三里塚反対同盟の呼びかけにこたえ、2月3日千葉地裁で開かれた農地死守裁判第1回弁論の傍聴・支援に150人の労働者・農民・学生・市民が駆けつけた。成田空港会社(NAA)の違法・脱法の限りを尽くしての農地強奪提訴攻撃を必ず緒戦で粉砕するという決意と闘志で、全員が燃え立ちこの日に臨んだ。
 午前9時、千葉中央公園で総決起集会が始まった。北原鉱治事務局長が「農地取り上げを許してはならない」と千葉市民に向け第一声。
 続いて市東孝雄さんがマイクを握った。「待ちに待った決戦の時が来ました。今日のデモで千葉地裁を圧倒しましょう」
 簡潔明瞭な決意表明が全員を奮い立たせた。全学連の織田陽介委員長は「人生をかけた市東さんの闘いは、京品ホテルや韓国の実力闘争と一体だ。世界を変える力は労働者と農民の団結した力にある」と呼びかけた。直ちに戦闘的な市内デモに打って出た。市東さんの「農地を死守するぞ」と大書されたプラカードを先頭に、デモは千葉市民に強くアピールした。

 第2章 NAA、求釈明に答えられず

 裁判所の周りにはいつにも増して大量に機動隊・警察官が配置された。厳戒の中、11時に開廷。
 市東さんが用意した陳述書を読み上げた。
 「この裁判は、千葉県の不当な決定に基づく不当な提訴です。まったく認めることができません。祖父が切り開いた時から親子3代にわたって精魂込めたこの土地こそ私の畑です」ときっぱりと宣言し、原告NAAを圧倒した。反対同盟顧問弁護団は空港建設が違法行為積み重ねの歴史だったことを断罪し、「提訴を直ちに取り下げろ」と鋭く迫った。
 NAA側の訴状提出に弁護団がすかさず、「NAAと市東さんはいつ賃貸借契約が成立したのか」と求釈明を行った。つまりNAAがいつ賃貸人の地位を受け継いだのかが、どこにも書かれていない。NAAの代理人弁護士らは「書いてあるはずですが……」などと自分で出した書類を慌ててめくるが、無駄な努力。うろたえ、立ち往生したままだ。
 当然にも、「ちゃんと答えろ!」という声が傍聴席から次々上がり、廷内は騒然となった。この窮地を見かねた堀内明裁判長が、反対同盟・萩原富夫さんに退廷命令を発した。廷内の怒りが一気に爆発し、追及の声が裁判長を突き刺した。裁判長は「次回期日は追って指定します」と言うや閉廷を宣し、逃げ出した。
 終了後に弁護士会館で記者会見が開かれた。

 第3章 3・29全国集会へ総決起を!

 市東さんの勝利感あふれるあいさつ(別掲)に続き、葉山岳夫弁護士を始め弁護団による解説が行われた。
 今回の提訴は、NAAが「地主」の顔をして「賃貸借契約は終わりだから出ていけ」と起こしたもの。現闘本部前の土地のみならず、居宅前の耕作地、作業場、離れ、農機具置き場、ビニールハウス、鶏小屋までも「明け渡し」を求めている。専業農家である市東さんの耕作地の8割方を奪う許しがたい攻撃だ。
 だが、千葉県・堂本知事の違法な許可決定に基づいた「解約」それ自身が違法である。しかも旧地主から畑の底地を買収した時期を偽っていたから、市東さんと賃貸借契約を結んだ時期について特定できず、求釈明で絶句するという失態を演じた。こんなずさんでデタラメな提訴で農地を強奪しようとは、恥知らずにもほどがある!
 また、すでに回を重ねている二つの農地裁判(耕作権裁判と行政訴訟)との併合を弁護団が申請したことについて、説明が行われた。記者から熱心な質問が続いた。
 続いて開かれた報告集会で、北原事務局長の「正義と真実は三里塚にある」との確信に満ちたあいさつに続き、市東さんの農地取り上げに反対する会の三角忠さん、群馬・市東さんの農地を守る会の高階ミチさん、北総農民、全関西実行委の永井満さん、動労千葉の田中康宏委員長が連帯の発言を行った。田中委員長は、「労働者・農民を殺す政治を終わらせるため、続々と決起が始まっている情勢だ。全力で闘う」と決意を述べた。
 萩原進事務局次長がまとめの発言に立ち、「航空需要も落ち込み、航空会社も大赤字の大恐慌の時代に、法をも無視した空港建設を進め、農民の権利、生活を剥奪(はくだつ)し、尊厳まで奪おうとしている。裁判闘争を徹底的に闘いぬいて、3・29全国集会の大結集をかちとろう」と訴え、熱烈な拍手で迎えられた。
 最後に伊藤信晴さんの音頭で団結ガンバローを三唱し、裁判闘争の勝利を誓い合った。
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 第4章 市東さんの決意(記者会見)

 今日は気合の入る一日だったと思います。
 この裁判は、収用法が失効したにもかかわらず、農地法をねじ曲げて土地を取る、空港を造る、そういう卑劣なやり方であり、絶対に認めるわけにはいきません。
 陳述書の中にも書いたとおり、空港会社の違法とか、農地法の悪用とか、そういうことまでされて、自分が代々守ってきた畑を取られようとしているという理不尽さに腹が立っています。土地を明け渡せと言われて「はい分かりました」などという気持ちには絶対にならない。
 これからさらに、裁判闘争も現地闘争の一環として闘っていきます。みなさんのご支援をよろしくお願いします。
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 三里塚・市東さん裁判傍聴を
 ○耕作権裁判
 2月16日(月)午前10時半 千葉地裁
 (開廷の1時間前に集合)