2009年1月26日

〈焦点〉 ガザ封鎖継続を許すな! 戦争の再激化狙う「停戦」

週刊『前進』06頁(2376号3面4)(2009/01/26)

〈焦点〉 ガザ封鎖継続を許すな!
 戦争の再激化狙う「停戦」

 1月17日夜(日本時間1月18日未明)、イスラエルは「作戦の目標は達した」として「一方的停戦宣言」を行い、ガザへの攻撃をいったん停止した。だがこれは、米帝とイスラエルが開始した今回の侵略戦争の中止を意味するものでは断じてない。暴虐の限りを尽くしてパレスチナ人民の解放闘争の圧殺をもくろんだにもかかわらず、虐殺を重ねれば重ねるほど、逆に米帝とイスラエルの側が危機に陥り、戦争体制の立て直しを迫られたからだ。「停戦」は21日の米新大統領オバマの就任式に合わせて演出されたに過ぎず、一層凶暴で絶望的な攻撃への突進と、新たな大激突は不可避である。
 昨年12月27日から始まったイスラエルのガザ侵略は、世界金融大恐慌の爆発によって没落と崩壊のふちに立たされた米帝が、イスラエルを先兵としてしかけた中東での新たな侵略戦争だ。金融大恐慌は、イラク戦争の敗勢にあえぐ米帝を直撃するとともに、米帝の中東支配の最大の柱であった軍事基地国家イスラエルを存亡の危機にたたき込んだ。しかも大恐慌下で各国による石油資源の争奪戦は一挙に激化した。追いつめられた米帝とイスラエルは、むきだしの暴力による中東の軍事的再制圧をかけてガザ侵略に突っ込んだ。
 それは、パレスチナ人民への無差別大量殺りくそれ自身を目的とした攻撃だった。第2次大戦時の広島・長崎への原爆投下や1937年のナチスによるゲルニカへの空爆同様に、皆殺しの戦争をやってその恐怖をテコに屈服を迫るものだ。実際に、人体に触れると5000度の高熱で骨まで焼き尽くす白リン弾のような残虐兵器が、住宅密集地域にばらまかれた。国連施設など住民の避難所が意図的に攻撃され、救急車や病院も標的にされた。パレスチナ人の死者は1月17日までに1300人、負傷者は5300人に達した。その大半が女性と子どもだ。
 だが、これほどの大虐殺も、パレスチナ人民の抵抗の意志をくじくことはできなかった。ガザの人民はあらゆる攻撃に耐え抜いて徹底抗戦の決意をますます固め、その闘いはパレスチナ全域に拡大している。さらに、全世界の労働者階級がこのパレスチナ人民に連帯し、米帝とイスラエルを弾劾するデモに数百万の規模で決起した。とりわけイスラエルの国内とアメリカ国内で、侵略戦争に真っ向から反対する大規模な闘いが爆発したことは決定的だ。まさに戦争の内乱への転化だ。これが米帝・オバマ新政権に打撃を与え、「停戦」へと追い込んだのである。
 したがってこの「停戦」はまったく表面的で一時的なものに過ぎない。オバマは大統領就任演説でブッシュ同様、米帝の世界支配に敵対する者を「必ず打ち負かす」と宣言し、新たな戦争準備を開始した。イスラエル軍はなおも大軍がガザの境界線に陣取り、ガザの再占領をあくまで狙っている。封鎖も解かずガザへの兵糧攻めを一層強化して、ガザの人民を疲弊させた上に再度の大攻撃に打って出ようとしている。
 ガザ情勢は今や世界革命情勢の重大焦点に押し上げられた。不屈に闘うパレスチナ人民と連帯し、3・20へ、労働者階級の全世界的な一斉決起をつくりだそう。