「経労委報告」に反撃を 賃下げも大量解雇も狙う
「経労委報告」に反撃を
賃下げも大量解雇も狙う
「労使一丸」叫び連合とり込み
昨年12月16日に日本経団連は、春闘に向かって経営側の対処方針を示す09年版「経営労働政策委員会報告」を公表した。その内容は労働者階級に対する賃下げと解雇という階級戦争の宣言だ。この攻撃と真っ向から対決し、「生きさせろ!」ゼネストの実現をめざし、1〜4月決戦を戦闘的に闘いぬこう。1・29第2波デモを始め、日本経団連に怒りの連続デモをたたきつけよう。
第1章 “雇用よりも株主優先だ”
今回の「経労委報告」は、タイトルに「労使一丸で難局を乗り越え、さらなる飛躍に挑戦を」とうたっている。それは労働者階級に賃下げと大リストラを押しつける宣言だ。また、連合中央、全労連中央を取り込んで労働者階級の怒りと闘いをなんとしても抑えつけようとしている。「労使一丸で」とは、そのような意味だ。階級的労働運動に対する攻撃宣言だ。
金融危機を引き金に世界的な大恐慌に突入した中で、日帝資本家階級は生き残りに必死になっている。労働者階級にすべての犠牲を押しつけること以外に、国際的な資本間の死闘戦に勝ち抜くことができない。「経労委報告」は、そうした日帝支配階級の危機感をもろに押し出している。「恐慌」という規定は意図的に避けているものの、「世界経済はかつてないほどの危機的な状況に直面」「未曽有の金融危機による世界同時不況の様相を強めており、過去に比べてはるかに厳しい状況」と悲鳴を上げている。そして、「企業の減益傾向が一層強まる中、ベースアップは困難と判断する企業も多いものと見込まれる」「市場横断的なベースアップはもはやありえない」「個別企業においても一律的なベースアップは考えにくい」と、賃上げ拒否の姿勢をはっきりと打ち出している。賃上げ拒否どころか、「未曽有の難局」を口実にして、大幅賃下げを狙っているのだ。
6000人の派遣・季節工の労働者の首切りを強行しているトヨタ自動車は、2〜3月に11日間、工場を休止する。休業中の賃金を1日当たり20%削減しようとしている。これをトヨタ資本は「ワークシェアリング的な働き方」などと言っているが、これのどこが「分かち合い」か! 企業の一方的な都合による大幅賃下げ以外の何ものでもない。こうした大幅賃下げを、トヨタのみならず資本家は今年、一斉に強行しようとしているのだ。
さらに「経労委報告」は「雇用の安定に努力する」と言っているが、実際には資本家は派遣労働者の首切りを大量に強行している。そもそも日本経団連は、4百万人近くの派遣労働者の存在を「外部労働市場」と言いなして、企業の「労使関係」の範ちゅうからすら排除している。完全に原材料と同じモノ扱いだ。
経団連会長・御手洗はキヤノンでの派遣労働者の大量解雇を「苦渋の選択だ」と言った。「苦渋」だろうがなんだろうが、資本家が生きのびるためには、労働者の生首を切る、各企業はキヤノンのように首を無慈悲に切って構わないという宣言だ。同じく正社員8千人、非正規8千人の首切り計画を発表したソニー社長・中鉢は次のように言っている。
「雇用を優先して損失を出すことが、私に期待されていることではない。経営の立場からは株主の期待にこたえよということだ」(12・17朝日)
これが資本家階級の本音だ。株主がもうけるためには、解雇された労働者が路頭に迷おうが、寒さに震えようが、そんなことは知ったことではないというのだ。中鉢は経営労働政策委員会の委員であり、これこそが「経労委報告」の本音だ。
資本のなりふり構わぬ大量解雇の攻撃は、これから一層激化する。大和総研の報告によれば、昨年11月から今年6月までの8カ月間で、170万人の労働者が首を切られる可能性があるという。労働者階級の頭上に爆弾を投下するに等しい階級戦争の攻撃だ。
第2章 派遣規制反対叫ぶ連合幹部
だが、こうした攻撃は、資本家階級が資本主義体制崩壊の危機に直面していることを示している。支配階級は膨大な労働者階級が怒りを爆発させて立ち上がり、プロレタリア革命にまで発展することを心から恐怖している。
だから「経労委報告」は、「逆境の時にこそ日本の安定的な企業内労使関係の真価が問われる」(序文)、「労使が危機感を共有して、一丸となって難局を打開していく姿勢が求められる」(2章)という。これは連合や全労連など体制内労働運動の幹部に対し、「労働者の怒りを抑えよ」と要求しているのだ。
連合本部は積極的にこれにこたえようとしている。1月15日に経団連・御手洗と連合会長・高木のトップ会談が行われたが、交渉はまったくの茶番でしかない。連合は「物価上昇による給料の目減りを補うため1・5%程度の賃上げ」という、問題にもならない超低額の要求を掲げているが、それすら何ひとつ闘うつもりはない。完全に経団連の賃下げ・解雇攻撃の先兵となっている。
連合の有力な構成団体である電機連合の中村委員長は、「製造業派遣を禁止すると国際競争力がなくなり、電機産業はやっていけない」と発言した。資本家の立場に立って、“派遣労働者を超低賃金・使い捨て自由の労働力として使うべきだ、規制には反対だ”と言ったのである。正規労働者と派遣労働者を分断し団結を破壊している。これが連合中央幹部に共通する考えだ。
第3章 「道州制」推進と消費大増税
「経労委報告」はさらに、道州制、消費税引き上げ、裁判員制度、そして低賃金労働力として外国人の「日本型移民政策」を積極的に主張している。
とりわけ道州制について、「持続的な経済成長のためには、国民の生活の場、企業の活動拠点である地域の活性化が不可欠」「各地の住民や企業から新たな活力を引き出すために、わが国の統治機構を根本から改め……」と、2015年までの導入を重ねて強調している。公務員200万首切りと労働運動の解体を狙う道州制攻撃は、日帝支配階級の死活をかけた攻撃だ。国家丸ごとの「民営化」攻撃であり、独占的大資本が地域を分け取りして、搾取と収奪と支配を強めようとしているのだ。
第4章 1・29怒りの経団連デモへ
このような日帝支配階級の攻撃に、腹の底からの怒りを爆発させよう。大恐慌の時代、労働者階級は団結して闘わなければ生きられない。そして、団結すれば資本家の攻撃を絶対に粉砕できる。資本主義体制崩壊のどん詰まりの危機に直面しているのは、資本家の側だ。やつらは労働者が団結して立ち向かってくることを心底から恐怖している。
大恐慌をプロレタリア世界革命に転化するために、今春「生きさせろ!」ゼネストへ全力で闘おう。動労千葉労働運動を全国へ! 1・29経団連第2波デモに総決起しよう。労働者の怒りをたたきつけよう。