2009年1月12日

裁判員制度はいらない!大運動 “私は裁判員拒否します” 被登録者と共に記者会見

週刊『前進』06頁(2374号3面3)(2009/01/12)

裁判員制度はいらない!大運動
 “私は裁判員拒否します”
 被登録者と共に記者会見

 12月20日、「裁判員制度はいらない!大運動」が、最高裁判所が11月28日に発送した裁判員候補者名簿登録通知に強く抗議する記者会見を東京・日比谷公園の松本楼で開催した。高山俊吉弁護士の司会で、呼びかけ人の今井亮一さん、大運動の佐藤和利事務局長、川村理事務局次長が、今回、候補者名簿登録通知が届いた3人の被登録者とともに会見に臨んだ。
 冒頭、佐藤事務局長が、裁判員制度廃止へ11月全国一斉行動を取り組み、11・22東京集会後、600人で銀座デモを行ったことなどを報告した。そして候補者名簿登録通知に多くの抗議の声が寄せられ、当該が氏名を公開しての記者会見が実現した経過を説明した上、「私たちの運動は、裁判員制度を廃止することが目的だ。そのために被登録者に抗議の声を明らかにしていただき、憲法違反の裁判員制度を廃止させたい」と記者会見の趣旨を明らかにした。
 続いて、Aさん(東京在住、65歳)、Iさん(千葉在住、65歳)、Mさん(千葉在住、63歳)が次々に裁判員制度に対する抗議・批判の意見を語った。「私は『人を裁かない』という信条を持っています。この度、調査票が送られて来ましたが、呼び出し状が来ても、私は裁判員になることは拒否します」「私は36年間教員をしていました。私は裁判員になりたくありません。裁判員は死刑・無期の事件を扱い、ほとんど100%死刑・無期の判決を出さざるを得ないのではないか。今の裁判では100%有罪、心に傷が残っていく」「裁判員制度の目的が理解できない。一般市民が参加して証拠の吟味が果たしてできるのか。冤罪で死刑にした場合、裁判員は裁判官と同じように後悔する。国会で真剣な議論がなされたのかと疑問を持つほど矛盾に満ちた法律であり、必要ない」
 さらに都合により出席できなかった被登録者からの抗議の声を川村事務局次長が代読して紹介した。埼玉在住の36歳の主婦、Oさんは「送付された通知書は、国家への奉仕を義務づける現代の赤紙(召集令状)と感じました。平和と人権、命を大事にしたいと思う私は、裁判員制度の廃止を求めます。子どもたちが通う保育園でも、候補者になったことを明らかにして制度反対の請願署名を集めています」と記していた。匿名の50代主婦のAさんも「なぜ私がと驚きました。簡単に辞退すればいいと考えていましたが、辞退の範囲があまりにもせまく、辞退は受け入れてもらえませんでした。……コールセンターに電話して、来年5月以降に裁判員候補に選ばれたと通知を受け、呼出状、質問票をそのままにして返答しなかったらどうなりますかと尋ねたら、10万円の罰金になりますとの返答でした。不安と精神ストレスの倍増です」と訴えている。

 第1章 大運動に次々メールや電話

 通知が届いた週明けの12月1日から大運動には連日、全国からメールや電話、ファックスなどで抗議の声が届いているとのこと。今回登場した3人も、裁判員制度についてインターネットで検索して大運動を知り、「誰かが口火を切らなければならないと思った」と立ち上がった人たちだ。
 「裁判員法は裁判員候補者の氏名を明らかにすることを禁止しているが、にもかかわらず、記者会見をしたのはどうしてか。どういう点で、裁判員制度が憲法違反といえるのか」との記者の質問に対して、高山弁護士は次のように答えた。「裁判員制度は憲法に違反している。被告から裁判官による裁判を受ける権利を奪う。裁判員にとっては苦役の強制となり、裁判官にとっても判断に責任が持てなくなる。あまりにも大きい裁判員制度の問題性に対し、すでに市民が地を蹴って立っている。その皆さんとともに行動するのは法律家の責任だ」「今後もあらゆる媒体を使って、反対の声を広く伝え、裁判員制度を廃止させるため運動をしていく」
 3人の被登録者も「裁判員を拒否すると処罰されるかもしれない。それでも拒否するか」という記者の質問に、口々にきっぱりと「処罰されても、裁判員になることは拒否する」と回答した。
 【注】裁判員候補者名簿登録通知 11月28日に最高裁(竹崎博允長官)は、09年5月21日からの制度実施強行に向け、選挙人名簿から抽出したという約29万5000人に候補者名簿に記載されたことを知らせる通知を発送した。制度発足後、この登録名簿から抽選で個別事件の裁判員候補を選ぶというもの。
 しかし12月19日の最高裁発表によると、18日までに全候補者の40%を超える約11万8500人から「辞退を希望する」=拒否の回答が返送されている。