2009年1月12日

運転士登用差別事件 動労水戸が勝利 JR東の上告棄却

週刊『前進』06頁(2374号3面1)(2009/01/12)

運転士登用差別事件 動労水戸が勝利
 JR東日本の上告を棄却
 “さらに団結し闘う”

 最高裁(第1小法廷)は12月18日、動労水戸組合員に対する運転士登用差別事件について、JR東日本の上告を棄却する決定を出した。この決定で昨年2月27日の控訴審判決が確定した。完全勝利だ! 動労水戸が発した声明を紹介します。(編集局)

 第1章 声明

 本日、最高裁は、JR東日本が訴えをおこしていた動労水戸に対する不当労働行為事件の救済命令の取消を求める裁判について、上告を棄却する決定を下し、すでに本年2月27日に判決が出されている高裁判決が確定した。
 本日の決定は実に画期的な勝利だ。ときあたかも大恐慌情勢の到来で突然の首切りがちまたにあふれる中で、労働者は団結して原則的に闘えば必ず勝てることを示した。
 国鉄分割・民営化とは、日本における新自由主義の突破口となる攻撃であり、その軸は団結して闘う労働組合の徹底的な解体にあった。動労水戸に所属している限り運転士にさせないという本件の攻撃は、ストライキをやるような組合に所属したままでは絶対に運転士にさせないと言っているに等しく、当該の組合員の生計に打撃を与え続けたのみならず、新入社員からの組合加入の道を大きく阻んできた。
 こうした攻撃に対して、若干35名ほどの私たち動労水戸が、7万人の巨大資本JRに対して訴えをおこし、最高裁で勝利を収めたことの意義ははかりしれないほど大きい。
 国鉄分割・民営化が国家をあげた不当労働行為であり、民営化されたJR東日本もまた不当労働行為(=違法行為)の山の上に成り立ってきたことをこの裁判は明らかにした。
 資本の横暴を許さず、労働者が団結して声をあげていくことが今この情勢の中では一番重要なことではないだろうか。全国で苦闘する労働者の仲間にこの動労水戸裁判の勝利は大きな励ましとなったと自負する。
 私たち動労水戸は、この裁判の勝利をもステップに、さらに団結を強化・拡大して断固として闘いぬく。
 2008年12月19日
 国鉄水戸動力車労働組合(動労水戸)
 執行委員長 石井真一

 第2章 悪質な組合破壊を粉砕(解説)

 JR東日本会社は、動労水戸の組合員13人がすでに国鉄時代に運転士の資格試験に合格していたにもかかわらず、動労水戸の組合員であるというだけの理由で、1987年にJRになってからも引き続き運転士に登用してこなかった。
 ”動労水戸に所属している限り運転士にはさせない”というこの攻撃は、きわめて悪らつな組織破壊攻撃であるとともに、新入社員からの組合加入をなんとしても阻もうとするものだった。
 この20年以上にわたる不当労働行為をめぐって動労水戸は、97年8月に労働委員会への申し立てを行った。00年に茨城県労働委員会が組合側勝利命令を出し、06年に中央労働委員会もその事実を認定し、JR東日本に運転士への登用を命じた。
 JR東日本がまったく不当にも労働委員会命令の取り消しを求めて起こした行政訴訟も、07年9月に組合側が東京地裁で勝利判決をかちとった。昨年2月27日には東京高裁が1審判決を支持し、会社側の控訴を棄却していた。