森精機で第3波スト 解雇を撤回し正社員にしろ
森精機で第3波ストに立つ
解雇を撤回し正社員にしろ “資本家とガチの戦争だ”
金融大恐慌ですべての資本が雪崩を打つように揺らぎ、大々的な解雇・リストラが全国で吹き荒れる中、日帝を代表する基幹産業であるトヨタ自動車に連なる工作機械メーカー・森精機を雇い止め解雇された派遣労働者らが、第3波のストライキに決起した。全国の闘う労働者を奮い立たせている現場からのスト行動報告を紹介します。(編集局)
12月19日、森精機奈良第一工場で、俺たちは「解雇を撤回し全員を正社員にしろ!」と掲げ、第3波ストに決起した。
今日は俺たちの意気込みが画然と違っていた。自分たちだけのことではない。同じ状況にある全国の労働者のためにも負けられない。法大弾圧を完黙非転向で粉砕し出獄した学生たちもかけつけた。総勢70人。テレビの取材も来ている。
出勤時の朝ビラからスト通告のために管理棟に入った。吉岡総務部ゼネラルマネージャーは「関係ありません。お答えできない」の一点張りだ。申入書も受け取らない。「それなら総務課へ行こう」。5階の総務課へ階段をかけあがった。ドアが開くと責任者の常務は逃げ出した。
許さんぞ! 6階の事業所長室前へ進む。こんな高い所は初めてだ。各フロアで職場の仲間にビラを手渡す。事業所長室のガラス扉の中で、資本は後ろを向いたまま権力に弾圧を要請している。
「虫けら扱いは許さんぞ! ふんぞり返ってるが全部おれたち労働者が作ったものだ。何百人もクビを切った責任は必ず取らせてやる」。私服が守衛室に飛んできた。徹底弾劾のシュプレヒコールをたたきつけ、構内集会に移動した。
技能育成センター分会員が次々と決意を述べた。突き抜けて明るく、自信と誇りに満ちた顔だ。「これは労働者と資本家とのガチの戦争だ」「団結して3月のゼネストまで闘い抜く」。青年労働者が多数発言し、コムサで解雇撤回を闘う同じ大阪東部支部の後藤さんたちが法大弾圧を粉砕して合流、全国連西郡支部の発言が続いた。
労組交流センター、八尾北労組からカンパが贈られ、動労千葉などのメッセージが読み上げられた。団結はドンドン拡大しているぞ!
あっという間に昼休みだ。分会員を先頭に堂々と工場を通って食堂と休憩室に行き、働くすべての仲間たちに直接ビラを手渡し話しかけた。「いま起こっていることは世界恐慌だ。年度末に向けて正社員すら大量首切りにさらされる。ともに団結しよう。組合に入って闘おう」と呼びかけた。
ビラを拒否する人はほとんどいない。熱心に読んでいる。「契約社員だが組合に入れるか?」と聞いて来る労働者もいる。「食事ぐらい静かに食べさせて」と制止するガードマンも、ことが首切り問題であり「生きさせろ」の闘いだと突きつけ、説得した。
大工場のど真ん中に創意工夫をこらして組合が入り込み、組織拡大の手応えをつかんだ。行動は大成功だ。構内デモで「ストライキ貫徹、団結勝利」の声を上げた。
3時から近鉄奈良駅前で街宣。森精機を奈良では知らない人はいない。派遣切り問題に関心が高い。労働者が団結して真っ向から大企業と闘う姿が共感を呼ぶのだ。アジテーションを聞いていた労働者が1万円札を入れていってくれた。
5時すぎ、退勤する仲間たちにスト貫徹の報告。労働者の表情は格段に明るかった。
第3波ストは打ち抜かれた。分会や支部の団結、共闘する仲間との団結も強まった。
第1章 中途半端はない
恐慌は底が抜けた奈落へ発展するだろう。誰も経験したことのない資本主義の終わりが始まった。このまま12月末で全員が森精機を解雇されてたまるか! 派遣元の技能育成センターに戻っても中途半端な解決はありえない。腹は固まった。
森と技能センターを串刺しにしたおれたちの闘いは「生きさせろ」ゼネストへの道を最先頭で切り開いた。「労働者と資本家のガチの戦争」だ。だから絶対に勝てる! 団結しよう!(08年12月20日 関西合同労組大阪東部支部・長田徹)
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解説
“職場・工場砦に闘う”
トヨタの足元が揺らいだ!
「僕らは森精機の労働者……直接雇用か派遣かは関係ない」「森精機のすべての利益は僕ら労働者がつくってきた」「闘いが全国に飛び火して、ほかの会社でもストが勃発(ぼっぱつ)すれば、それがゼネストの第一歩になる」(『前進』新年号の青年労働者座談会より)
森精機の労働者ように闘おう。日本有数の工作機械メーカー・森精機の派遣労働者が300人の派遣切りに対し、労働組合をつくって3波におよぶストライキを闘っている。年末年始、日本各地で派遣切りに対してストライキが闘われている。「使い捨て解雇は許さない」「職場も寮も占拠してストライキで闘おう」——これが闘いのスローガンだ。
第1章 百数十万人の解雇者が出る
世界大恐慌の影響による解雇・リストラの津波が広がっている。トヨタ・キヤノンなど日本資本主義を代表する自動車・電機・精密機器メーカーが真っ先に解雇を行っている。「日本的経営」のペテンは跡形もなくなった。中堅、中小下請け、関連企業へと解雇が急速に拡大している。建設業やサービス業へも影響は深まる一方だ。
厚生労働省の集計によれば、昨年10月から3月までに職を失う非正規労働者は全国で8万5千人に上る。この数は実感からほど遠い。自動車や電機産業の下請け・孫請けで働くおびただしい数の外国人労働者などはカウントされていない。金融機関の調査では、今後百数十万人の解雇者が出ると予測されている。
電話一本で職を奪われ、解雇と同時に寮を追い出された労働者も多い。年末、東京千代田区の日比谷公園には「年越し派遣村」が開設され、数百人の派遣労働者が次々と集まった。
トヨタ自動車は12月22日、09年3月期決算の業績予想を大幅に再下方修正し、通期の営業損益が1500億円の赤字になるとの見通しを発表した。前期は2兆円以上の黒字でわずか1年でこの黒字を帳消しにした。来年度の赤字は何兆円になるか分からない。破綻した米ビッグ3はトヨタの明日の姿である。
トヨタの世界販売台数は95年、456万台だったのが、07年には843万台となった。12年で倍増近い。日産自動車1社分の台数を伸ばした。この急激な拡大路線で奴隷のように酷使されてきたのが派遣労働者や請負労働者、期間工だ。年収200〜300万円という超低賃金で昼夜関係なく24時間働かされてきた。
第2章 資本主義の時代は終わった
この労働者をトヨタは一夜にして使い捨てようとしているのだ。「百年に1度の世界大恐慌」とは何か? 資本主義の原理である「あくなき競争と果てしない生産拡大」の行き着く果てが恐慌である。資本は自分だけが生き残るために、膨大な労働者を路頭に放り出す。労働者をさんざん低賃金でこき使い、毎年何十兆円もの利益を独り占めにしてきた資本が、作りすぎてモノが売れなくなった瞬間、すべての生産を担ってきた労働者を切り捨てる。これが資本主義というシステムだ。
すべての生産は労働者の労働から生まれる。大企業の巨大な生産能力も製品も利益もすべて労働者がつくったものだ。支払われる賃金もすべて労働者自身が生み出したものだ。「会社あっての労働者」とは大ウソだ。
ところが、労働者は自分の労働もその結果もすべて資本に支配されている。なぜか? 主要な土地や工場、機械などの生産手段がほんの一握りの資本家の私的な所有物となっているからだ。
しかし、われわれ労働者は奴隷ではない。労働者が自らつくり出した一切を奪い返す闘いこそが必要だ。労働者を使い捨てにする資本家、日本経団連、自民党、政府——支配階級をぶっ倒せ!
現状を変革するのは労働者自身の力だ。労働者は救済の対象ではない。労働者が団結してストライキをやれば、あらゆる産業と社会機能が停止する。この力こそが社会を根本から変える。
森精機での労働者のストライキ決起は、大恐慌と失業下で労働者が生きる道を鮮烈に指し示した。解雇を行った資本と徹底的に対決しきろう。職場や工場を労働者の武器、砦(とりで)に変えて闘おう。