道州制阻止は革命かけた決戦 公務員全員解雇の国鉄型 橋下打倒のゼネストへ
道州制阻止は革命かけた決戦
公務員一旦全員解雇の国鉄型 橋下打倒し怒りのゼネストへ
道州制基本法案が来年の通常国会に提出されようとしている。世界金融大恐慌の中で一挙に道州制攻撃のテンポが速まっている。道州制攻撃との闘いは、プロレタリア革命の成否をかけたブルジョアジーと労働者階級の最大の階級決戦だ。400万人公務員労働者—6000万人労働者の「生きさせろ!」ゼネストと一体で、道州制粉砕・橋下打倒へ闘おう!
第1章 焦点は自治労と日教組の解体をめぐる攻防だ!
道州制攻撃とは、行政区画として都道府県を廃止し、道と州を置くことにとどまらない。中央官制、地方自治、税制、社会保障制度、金融・通貨、経済・産業・流通、教育、外交、軍事、治安など全社会的な新自由主義に基づく全面的な「大改革」=「究極の構造改革」を狙うものだ。改憲クーデターそのものだ。
その核心は何か。〈道州制〉と〈国家・自治体の丸ごと民営化〉で410万人の国家・地方公務員のいったん全員解雇の大攻撃をとおして、自治労と日教組を解体し、4大産別—日本労働運動を壊滅することにある。別言すれば日本労働者階級の粉砕と制圧にあると言ってもよい。上からの階級決戦で戦後体制(戦後的な階級関係や階級意識、戦後憲法や社会保障制度などの諸制度、諸慣習の一切合切)を一掃・再編し、ブルジョアジーによる独占的な政治支配を確立することである。
それは、世界大恐慌という資本主義の根本的危機の中で、日本帝国主義の生き残りをかけた巨大な反革命エネルギーをもった大攻撃だ。資本主義の根本的危機は、プロレタリア革命の現実性そのものだ。ブルジョアジーは破産し、いかなる延命策もないのだ。その中で、展望や整合性など関係なく、ただひたすらプロレタリア革命粉砕の一大反革命に打って出るところに、この攻撃の本質がある。
道州制こそ、その基軸の攻撃だ。80年代の中曽根政権による国鉄分割・民営化は40万人の国鉄労働者が直接の対象だった。道州制は410万公務員すべてが対象である。単純計算でも10倍の規模だ。今日の大恐慌情勢の中で考えればとてつもないスケールの階級決戦となる。ブルジョアジーにとっては、日本労働者階級、日本労働運動を丸ごと壊滅する攻撃としてある。
関西経済同友会が06年4月に出した「5年以内に『連邦的道州制』に移行せよ」という提言がその狙いを端的に明らかにしている。提言の根幹は、職員全員のいったん解雇にある。
「410万人の国・地方の公務員のうち、自衛官・警察などを除く360万人弱を一旦解雇する。85万人削減要員を『公務員支援事業団』を通じて民間に。教育公務員など126万人の現業公務員は、組織を公設民営化した上で再雇用の機会を与える」
「新たな政府で働く人材は、『半分の人員で倍の仕事』をする気概と能力が必要だ」とも言っている。410万人のうち360万人をいったん解雇し、211万人のクビを切ると言っているのだ。文字どおり、国鉄分割・民営化型の大攻撃なのだ。
日本経団連の御手洗会長は道州制の全体構想を次のように説明している。
「都道府県を全廃し、10程度の道州に統合。市町村・道州・国の三層構造の統治体制にする。住民サービスは市町村が一手に担い、内政はその大半の権限を国から移譲された道州が行う」
「住民サービスは自立自助を基本とし、市町村がその財政に応じて実施する。道州は、現行の都道府県の枠組みを超えて産業振興策を推進し、道州内のインフラ(道路や港湾、空港)整備などを担う。国は軍事や外交、治安に専念する」
——これを見ても、道州制を単なる行政区分の変更や名称変更とするのは誤りだ。1千兆円の赤字財政の再建問題や410万公務員労働者のリストラ問題とだけとらえるのも、道州制の全体像とは言えない。道州制は、統治機構や地方自治のあり方、国家と社会の全領域で、強烈な新自由主義改革=「究極の構造改革」を展開するものなのだ。
国家・地方自治体の全業務を丸ごと民営化しろというのが道州制構想の柱の一つだ。丸ごと民営化で業務の規制を全面撤廃し、競争原理を導入して、資本の利潤追求を一切に優先できるようにするのだ。民営化すれば、もうからない事業を「公共性」を理由に続ける必要もなくなる。190人が分限免職された千葉県の銚子市民病院のような事業閉鎖・全員解雇が横行するのは明らかだ。
いま一つの核心問題は、資本による直接的な道州支配をつくることだ。その狙いを最も露骨に語るのが大阪府知事の橋下だ。橋下の問題意識は、国家の枠組みを超えた都市間の国際競争に競り勝つことだ。道路・都市計画・関西新空港関連事業などを推進し、効果的な産業戦略を展開できる司令塔機能を有した関西州を設立したいのだ。そのために大阪府を廃止するというのだ。
道州制とは、帝国主義間の国際競争に競り勝つために戦後的な階級的力関係や諸制度を全面的に粉砕する、国家統治構造の大再編なのだ。トヨタやパナソニックなど大企業主導の各ブロック資本家団体が道州を直接支配・経営し、民営化でもうけることを狙っているのだ。大資本による社会の直接支配——これが橋下政治の正体でもある。
そのために労働者階級の一切の階級性・抵抗力を奪い、官民一体での世界大恐慌と世界戦争に対応した挙国一致体制をつくろうとしているのだ。
第2章 労働者の団結で必ず粉砕できる革命のチャンス
確かに日本帝国主義は〈王政復古〉〈戊辰戦争〉〈廃藩置県〉という明治維新の過程で、平安時代後期から1千年以上続いてきた、封建領主が土地と人民を支配する封建制社会を根本から否定し、資本主義の道を開いた。
18世紀から19世紀にかけて本格的に発達した資本主義の世界史的発展の中で、明治維新という内乱とクーデターで成立した明治新政府は、学校制度改革、地租改正(租税制度と土地に対する私的所有権の確立)、徴兵制、司法制度の整備、憲法制定、国会開設などの諸改革を進めた。経済産業分野では、富国強兵・殖産興業のスローガンのもと、富岡製糸場などの官製工場をつくり、政府主導の産業育成を行った。日本銀行の設立など金融・通貨制度の整備も行った。また流通分野では郵便制度・電信網の整備、鉄道及び船舶運輸などの整備を行った。
ブルジョアジーは、資本主義の道を開いた明治維新を美化し(それは「新しい歴史教科書をつくる会」に典型的な歪曲された身勝手な歴史認識でしかない)、それになぞらえた大攻撃として道州制を導入し、危機に立つ日本帝国主義の再生の望みをかけているのだ。道州制(廃県置州と労組解体)を中軸に新自由主義の千年王国をつくろうと夢想しているのだ。同時にその最大の対立関係にある労働者階級に対して強烈な暴力性を持って襲いかかっているのだ。
だが、こんなでたらめな攻撃を許せるか。ブルジョアジーはもはや支配階級として破産しているのだ。道州制攻撃こそ、労働者を徹底的に犠牲にして、ブルジョアジーだけが生き残る史上最大の大陰謀である。こんな理不尽な攻撃は断じて認められない。日本の労働者階級は絶対に黙っていない。革命をかけた大決戦に必ず立ち上がる。
道州制をめぐる最大の攻防点は、日本の労働者階級の存在とその闘いである。ブルジョアジーにとって道州制攻撃の階級的意義は、プロレタリア革命を粉砕することにある。
国鉄分割・民営化はどうだったかのか。中曽根の狙いは貫徹されたのか。歴史的事実の問題として、断じて否なのである。動労千葉は分割・民営化絶対反対の路線を貫き、2波のストライキで闘い抜いた。団結を維持して、今も意気軒高と闘い抜いている。動労千葉を先頭とする国鉄闘争は、4者4団体路線との対決を貫き、道州制・民営化攻撃との最前線の闘争として、闘いの展望を示す時がきている。
動労千葉のように闘えば道州制攻撃は必ず粉砕できる。日本資本主義の延命をかけた反革命クーデターを逆に革命に転化できる。労働者階級は、この現実の社会の生産の主体そのものなのだ。労働者が自らの団結の力を自覚してストライキを闘えば、国家も行政も社会もすべてがストップするのだ。
橋下こそ道州制攻撃の最先兵だ。就任して約半年。「財政非常事態」「教育非常事態」「大阪維新」を掲げ、矢継ぎ早にリストラ・民営化策を打ち出し、賃下げを強行している。
橋下は「国旗・国歌を意識しろ」と教育内容を国家統制した上で教育の民営化を行おうとしている。「大阪の日教組をつぶす」「ダメ教員は分限免職」と公言して月5万円の賃下げ、評価制度の導入、指導教諭などの中間管理職の導入など、許し難い攻撃をかけている。
橋下政治の本質は、労働者階級の闘いの解体だ。「労働者が怠け者だから、社会を悪くした」などと労働者階級を徹底的に攻撃することに橋下の政治的主張の本質がある。そしてブルジョアジーの利益を体現して関西州—道州制導入に一切をかけているのだ。
橋下にこそ、道州制にかける日帝の暴力性と弱点が凝縮している。橋下の暴言や攻撃に対して、自治体職場では労働者の非和解的な怒りが沸き立っている。他方で体制内労組指導部は屈服し、何ひとつ方針が出せない。国鉄分割・民営化の時の国労と同じだ。
第3章 6大産別の闘いこそ
重要なことは、6大産別の労働者が道州制や民営化、人事評価制度などの労働者の分断や首切りの大攻撃に対して、資本・当局、資本主義との非和解性を貫き、徹底的に怒りを爆発させることだ。労働者の誇りと団結を拡大し、階級的労働運動をよみがえらせるために闘うことだ。
自治体労働者は、道州制粉砕・自治体丸ごと民営化絶対反対・人事評価制度導入絶対反対の職場闘争を、自治労本部打倒の闘いと一体で闘おう。教育労働者は、道州制絶対反対と「日の丸・君が代」絶対反対、教育の民営化絶対反対の不起立闘争を闘おう。
大恐慌情勢で郵政民営化は完全に破産した。民営郵政の「生産性向上」を綱領に掲げたJP労組執行部のもくろみは現場労働者の怒りと闘いでガタガタだ。年末繁忙期が民営化絶対反対で闘うチャンスだ。2万4千人の削減を許すな。ゆうメイトの使い捨て、雇い止めを許すな。全逓労働者は、年末物ダメストライキで闘おう。
公務員と民間労働者、非正規と正規労働者の分断を打ち破り、労働者がひとつに団結できる闘いが「道州制絶対反対・民営化絶対反対・橋下府知事打倒」のストライキだ。
道州制との闘いは、戦争と改憲に突き進む麻生政権を打倒する闘いだ。道州制は国の役割を外交・軍事・治安に特化する国家大改造でもある。これと一体で田母神・前空幕長が侵略戦争を正当化し、経団連・御手洗がインド洋海自派兵の継続を叫んでいる。道州制粉砕の闘いは、侵略戦争に突き進む日本帝国主義を倒す闘いそのものだ。
核心はマルクス主義だ。労働者階級こそ社会の主人公であり、革命をやる力があるのだ。このマルクス主義を時代認識・路線・戦術・方針・総括などすべてに貫いて闘おう。
そういう路線として、道州制絶対反対路線を貫く階級の指導部を形成しよう。全国の自治体職場、教育職場に革共同とマル青労同を建設しよう。400万公務員労働者—6000万労働者の「生きさせろ!」ゼネストと一体で道州制粉砕・橋下打倒を闘おう!