2008年12月 8日

裁判員制度を廃止に 最高裁が通知発送 全国で怒りの行動

週刊『前進』06頁(2371号4面1)(2008/12/08)

裁判員制度を廃止に追い込もう
 最高裁が通知発送 全国で怒りの行動

 裁判員制度は「現代の徴兵制」だ。最高裁が裁判員候補者への通知を11月28日に一斉に発送したが、勝手に選ばれた人から辞退や抗議、怒りの声が最高裁にたたきつけられている。闘いはこれからが本番だ。22日に東京で600人の集会と銀座デモが闘われた(前号既報)のを始め、全国に闘いが広がっている。労働者の力で来年5月の実施を阻止し、廃止に追い込もう。

 第1章 新潟 現代の徴兵制許さぬ 市繁華街で宣伝とデモ

 11月29日、新潟で「裁判員制度はいらない! 大行動in新潟」が四十数人の参加で行われた。この行動は最高裁から裁判員候補者に通知が発送された翌日だったこともあり、マスコミを含めて圧倒的な注目と共感を呼んだ。
 初めに新潟市の繁華街で宣伝をやり、労働者市民に制度の反動性を訴えた。その後、近くの公園で集会を行い、メインストリートの古町通り3㌔の道のりをデモ行進、新潟弁と関西弁を交互にした「裁判員制度、いらんこて〜」と訴えた。
 集会では、参加者から裁判員制度が労働者民衆を支配機構の中に取り込み、危機に立つ帝国主義の延命を図るものであること、まさに「現代の徴兵制」だという指摘があった。また、「裁判は事件の社会的背景を考えるものであるのに、裁判員制度は3〜5日で重大事件の判決を出すという拙速なものであり、必ず冤罪を生み出す」という懸念の声が出された。
 新潟で裁判員制度反対の運動を呼びかけた高島章弁護士は「通知が到着してからでは遅くないかという意見もあるが、これで事態は大きく変わる。今日一日だけの行動でなく、今後も反対運動を継続していきましょう」と呼びかけた。
 さらに無実の星野文昭さんの救援運動に関わっている女性は、「裁判員制度は星野さんのような冤罪を生み出す。廃止に向けて頑張ろう」と訴えた。
 参加したキリスト者は「聖書には『人を裁くな』と書いてある。宗教者としてはこの制度には絶対承服できない。しかも、心のケアがなされない」と廃止をアピールした。

 第2章 広島 講演と学習会で団結 本田兆司弁護士が熱弁

 11月29日、「百万人署名運動広島県連絡会」主催の「やっぱりおかしい裁判員制度」講演と学習集会に参加しました。
 講演は広島弁護士会の本田兆司さんです。本田さんは裁判員制度はいらない11月全国一斉行動の呼びかけ人の一人です。講演を聞いて、あらためて裁判員制度のデタラメさが明らかになりました。
 制度に一貫性がないだけでなく、理念そのものがまったくないということです。くじで選ばれた人が人の命まで奪うことができる制度!
 なぜ重大事件だけなのか。何を根拠に裁判官3人に裁判員6人なのか。なぜ多数決なのか。裁判員に選ばれた人が途中で出頭できなくなった場合、途中から裁判員を補充することになっているが、その人はその時点からの認識で「裁く」ことになる。争点や証拠の意味を理解できるのか。
 「国民の視点、感覚が裁判の内容に反映される」とうたっていながら、裁判員制度で有罪になった事件の2審は裁判員制度では裁かれない。控訴して2審になれば裁判官だけが裁くということです。まったく一貫性がない。
 守秘義務の点も、裁判員だから公判があるため仕事を休む、ということを上司には知らせてよいという場合も、他の人には理由も知らせずに休むことになる。最短3日と言っているが、長引いたら「あの人がいなくても職場はまわる」という状況にもなりうる。旅費、日当、宿泊費など膨大な浪費である。
 そもそも憲法違反である。公平な裁判所(37条)、裁判官の独立(76条)、思想・良心の自由(19条)、苦役からの自由(18条)——裁判員制度は徴兵制だ。
 本田弁護士は講演の最後を、「裁判員制度はつぶれる!」という言葉で締めくくりました。そうだ! 裁判員制度をつぶそう! ガンガンにつぶしにかかろう!(投稿/N)

 第3章 福岡 弁護士が次々と弾劾 リレーアピール大注目

 「裁判員制度にみんなでnoを!11・22リレーアピール&天神一周ウォークデモ」を60人の参加でにぎやかに闘った。
 リレーアピールの会場である福岡中心街の警固公園には子連れの親子、若い男女などたくさんの人出だった。そこに登場したのが最高裁の宣伝着ぐるみ”裁判インコ”をパロッた”裁判員はいらなインコ”。さらに”ストップ裁判員制度”のスローガン入りのハート型の風船。公園内の大人も子どもも大注目! さあアピールだ。
 ”せからしか!裁判員” リレーアピールは、主催である「市民のための刑事弁護を共に追求する会」の事務局長、共同代表をはじめ4人の弁護士が次々と発言した。「たった3〜5日の審理で真実が追求できるか。裁判は処罰のための儀式になってしまう」「厳罰で国民を動員するのは現代の赤紙だ」「危機に立つ国家の規範に国民を動員し国民をして国民を裁かせる制度だ」
 100人を超す公園内の人々は、次々とビラを受け取り、私たちを取り囲むようにそれぞれ座って熱心に聞いていた。
 遠くからは大分の益永さん(85歳)もかけつけ、「いや応なしに集められ死ぬまで秘密を守らせる制度は戦中と同じ。もうあんな思いはしたくない」と訴えた。さらに「裁判員なんかなるものか」の自作歌を、ギターを弾きながら歌ってくれた青年などの参加でリレーアピールはあっというまに過ぎていった。
 その後元気よくデモに出発した。福岡では初めての裁判員制度反対デモで圧倒的な注目だった。デモの脇で配布したリーフレットも次々と通行人に渡され、関心の高さを示していた。
 裁判員制度に賛成か反対かのシール投票も行われ、200人近い人が参加した。結果は3対2の比率で反対が上回った。
 さらに11月28日、最高裁が裁判員候補者に通知を発送したその日に、抗議の記者会見を行い、最高裁・法務省・日弁連に抗議声明をたたきつけた。(投稿/中原真理)
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 第4章 「裁判員候補者」の通知が届いた人へ

 最高裁に対して、私たちの名前が勝手に登録されたことに強く抗議しよう。通知表(のコピー)を「裁判員制度はいらない!大運動」に送り、団結して廃止をめざしてともに闘おう。
 (「大運動」の住所は別掲)