2008年12月 1日

11・16「食と農」集会 市東孝雄さんの訴え 空港会社の提訴こそ不当

週刊『前進』08頁(2370号7面4)(2008/12/01)

11・16「食と農」集会 市東孝雄さんの訴え
 空港会社の提訴こそ不当畑を耕すことが私の闘い

 11月16日、千葉市で開かれた「食と農を考える講演&ディスカッション」で三里塚反対同盟の市東孝雄さんは、不当な提訴と闘い農地を守る決意を表しました。以下はその発言です。(編集局)

 第1章 畑の位置誤り

 空港会社は先月17日畑を奪い取るという形のまた新たなる裁判を起こしてきました。これはまったく不当な裁判であります。私は断固として裁判闘争を闘います。
 私は農民ですので、畑を耕しながら野菜を作る。そして90年代々耕作してきた畑を畑として守り続ける。そういうことも裁判の中での闘争だと考えています。法廷では原告の空港会社が肝心要の土地の位置の特定を間違えているという証拠を突きつけました。
 私はこれまでどおり正々堂々と畑を耕し続けます。罪を犯してもいない私がなぜ法廷に呼ばれなければいけないのか、被告側に座るのは誰なのか。一歩も引きません。
 この畑を耕作してました私の親父には一切秘密にし、空港会社は畑を買収しました。それから15年間、土地を手放したはずの旧地主の藤崎は、私たち親子から地代をだまし取っていた。それは空港会社がやらせたことかもしれませんが、そういう事実があります。
 そして、成田市の農業委員会、千葉県の農業会議、そして堂本知事も、空港会社の農地法違反や位置の誤りを調べもせず会社に加勢しました。まったくひどい話です。
 畑の離作補償額は1億8千万円です。これだけ出せばもう文句はないだろうと、空港会社や県の役人は開き直っています。お金を出せば何でも解決できるという、空港会社、国の思い上がりには本当に腹が立ちます。

 第2章 金よりも大根

 三里塚では激しい抵抗闘争が闘われました。そして血が流れ、尊い人命も落とされました。国は権力を振り回す姿勢を変えず、今も東峰部落の島村さんの頭上40㍍でジェット機を飛ばしています。そしてなおかつ工事もそのまま続けています。反対同盟の東峰住人を報道を借りて国賊呼ばわりし、追い出そうとしています。中山大臣の「成田ごね得」発言には心の底からの憤りを抑えることはできませんでした。1億8千万より大根1本が大事だと言い続けてきましたが、お金で買えないもっと大事なものがあると私は考えています。
 農地法第1条、農地はそこを耕す農民のものです。この畑は大正時代に私のじいさんが開墾し、以後90年間誰にもじゃまされず、休まず耕してきた畑です。空港会社は、誘導路がへの字に曲がっていることを提訴の理由の一つに挙げている。しかしへの字に曲がっているのは、この畑が曲げたんじゃないんです。畑があったところに空港を無理やり造った、それは今の空港会社の責任です。
 今日の講演とみなさんのお話を聞きながら、私はあらためて自分の仕事、農業をしっかりやろうという気持ちにますますなりました。農地と農業を守ることは、空港を造るよりも大切と考えています。
 今世界で9億人の飢えが出ています。日本では食についての信用が失われました。農民が農業で食べていけない、これでいいんだという人は誰もいないと思います。このことと労働者の低賃金や生活苦による自殺の増加は、無縁ではないと思います。私の農地の問題は講演で明らかにされた深刻な社会問題につながっています。これからも今まで以上にがんばりますので、みなさんよろしくお願いします。
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 日程 三里塚闘争
 市東さんの農地を守れ・暫定滑走路北延伸阻止!
 12・13三里塚現地闘争
  12月13日(土)午後1時半 主催/反対同盟
  成田市東峰・開拓組合道路(市東さん方南側)

 市東さん耕作権裁判
  12月8日(月)午前10時半/千葉地裁
 暫定滑走路認可取り消し訴訟控訴審
  12月17日(水)午後2時/東京高裁
  (市東さんの証言)