2008年12月 1日

裁判員制度 5・21実施を阻止しよう わずか3日で死刑判決も

週刊『前進』08頁(2370号7面2)(2008/12/01)

裁判員制度 5・21実施を阻止しよう
 わずか3日で死刑判決も

 裁判員制度絶対反対の大運動を巻き起こし、裁判員制度の5月21日実施を阻止しよう。
 裁判員制度は、国家権力による国家の側への人民動員だ。人民が人民を裁く。死刑判決を含む人民の権力行使、国家の側への人民の取り込みだ。
 資本家階級は、新自由主義政策の結果、今や被支配階級を統治に動員しなければ階級支配が成り立たないほど危機に陥っている。新自由主義政策が破綻し世界金融大恐慌が爆発した。階級闘争は必然的に激化する。そこで資本家階級は治安の切り札として人民を国家統治に動員する裁判員制度を導入したのだ。
 裁判員制度は、人民による人民の監視であり、「隣組」の復活、憲法改悪の先取り、究極の治安政策だ。しかし、労働者階級を国家統治に動員すること自体が資本家階級の危機と矛盾だ。絶対反対を貫き闘えば裁判員制度を粉砕・廃止できる。

 第1章 候補名簿記載に抗議しよう

 最高裁は11月28日から29万5千人に裁判員候補者名簿に記載したことを知らせる通知書と調査票を送った。最高裁は全国民からくじ引きで29万5千人を選び、勝手に候補者名簿に載せたのだ。これ自体が許し難い。
 5月21日以降、裁判開始の6週間前に裁判員候補者約50人に質問票と呼び出し状が送付され、裁判所に呼び出される。呼び出しを「理由なく」拒否したら、過料(罰金)を払わされる。
 裁判所に出向くと、事件の概要を告げられ、裁判員になる要件を満たしているかどうか書面で尋ねられる。回答によっては裁判長から面談で「公平な裁判ができるかどうか」質問される。最終的にはくじで6人を選ぶ。午後から裁判が始まる。
 次の日と3日目の午前中が審理にあてられ、、3日目午後には有罪か無罪か、量刑はいくらか、死刑か無期懲役かなどが評議の上、多数決で決められる。例えば5対4で死刑が決まる。すべてを3日間でやる。実質審理は2日間だ。
 被告人の裁判を受ける権利、防御権は著しく侵害される。被告人は裁判員裁判を拒否できない。
 「公判前整理手続き」によって密室で公判の内容や争点、進行が決めれているから裁判は3日間で終わる。裁判員裁判は3日間の儀式なのだ。裁判員は、裁判官の判決に市民の判断という「お墨付き」を与えるために利用される。裁判員裁判は冤罪の温床になるとさえ指摘されている。事実を誤認し、有罪・死刑判決を下したらどう責任をとるのか。一生悩まなければならなくなる。

 第2章 竹崎長官就任で強行を狙う

 11月25日、最高裁新長官に竹崎博允(たけざきひろのぶ)前東京高裁長官が就任、最高裁は裁判員制度シフトをとった。
 竹崎は最高裁の経理局長や事務総長時代から裁判員制度実現の急先鋒(きゅうせんぽう)だった。最高裁は00年9月、市民が法廷で意見を述べるが、判決に参加しない形を提案したが、判決に加わる形に持っていったのが竹崎だ。「『最高裁が導入へとかじを切ったのは竹崎の存在があったから』というのが法曹界の一致した意見だ」(東京新聞11月25日付)
 竹崎の最高裁長官就任はきわめて政治的だ。麻生は政権交代の前に竹崎を長官に指名した。麻生と竹崎を串刺しにして打倒しよう。「裁判員制度廃止」を09春闘スローガンに加え、「裁判員制度はいらない!大運動」に合流して闘おう。