米軍支配突き破る闘い 敗勢深める米帝のアフガン・イラク侵略
不屈の武装解放闘争と労働者の決起
米軍支配突き破る闘い
敗勢深める米帝のアフガン・イラク侵略戦争
日帝・麻生政権は、米帝のイラク・アフガニスタン侵略戦争が完全な泥沼に陥り、敗勢を深めているにもかかわらず、新テロ対策特措法の延長法案を強行し、侵略戦争参戦を継続しようとしている。新テロ対策特措法延長阻止に向けて、また海上自衛隊のソマリア派兵阻止に向けて、アフガニスタン、イラク侵略戦争の現状を見ていこう。(秋原義明)
第1章 アフガン 武装勢力の制圧地域拡大
米次期大統領に決定したオバマは米帝の戦争政策の柱として危機に立つアフガニスタン侵略戦争の巻き返しのためにアフガニスタンへの米軍増派を行う方針を打ち出している。が、そのアフガニスタンでは米・NATO軍の敗勢がますます深まっている。今や完全に米帝にとって底なし沼になっており、米帝はさらにパキスタンにも泥沼的に侵略戦争を拡大しようとしているのである。
タリバン勢力が急速に拡大し、米軍は、わずかな点でしか地上を制圧できていない。米軍幹部自身が軍事的にはまったく見込みがないことを公然と認めざるを得ない状況にある。7年間に及ぶ米帝の侵略戦争は、アフガン人民の生活を根底的に破壊しており、人民は米軍を追い出す以外に生きられないことを実感し、続々とタリバンに加わっているのだ。
ケシ栽培がタリバンの資金源になっているという口実のもとに、農民の唯一の収入源といってもいいケシ畑を焼き払うような米軍のやり方に、アフガン人民の怒りが高まっている。しかも米軍は追い詰められてますます無差別攻撃を強めており、家族や地域の仲間を殺害された住民の怒りが燃え上がっている。こうして住民が続々とタリバンに結集する中で、タリバンを掃討するどころか、米・NATO軍、政府軍が完全に包囲されているのである。
米軍が軍事的に絶望的状況に陥る中で、カイライのカルザイ政権も追い詰められている。カルザイが米帝の同意なしにタリバンに和解交渉を呼びかける事態になった。11月16日にはカルザイは「オマル師がアフガニスタン訪問や和解交渉を望むのであれば、私は大統領として(師の)保護に全力を尽くす」と述べた。だが、それもパフォーマンスの域を出ない。和解交渉の提案はタリバンにあっさりと拒否された。だが、米軍の無差別住民虐殺に対してなんの措置もとれないカルザイにアフガン人民の怒りが高まり、カルザイが決定的に追い詰められている。
そうした中で、タリバンの出撃拠点がパキスタンのワジリスタンにあるとしてこの間、地上軍をも投入した越境攻撃を行ってきたのだ。だが、そこでも地上軍が跳ね返され、現在では空からの空爆に頼らざるを得なくなっている。
決定的なのはパキスタンからアフガンへの要衝のカイバル峠をパキスタンの武装勢力におさえられたことだ。11月11日、カイバル峠を通っていた輸送部隊を武装勢力が攻撃し、小麦などを積んだ13台のトラックと米軍のハンビー(多用途車両)を押さえて峠を制圧した。これによってアフガンへの陸上輸送ルートが閉ざされた。米軍は作戦遂行に支障はないと言っているが、食糧や軍事物資のすべてを航空輸送に頼らざるを得ないことは決定的な痛手である。
こうした中、米軍はパキスタン北西部への空爆を強めている。その多くが無人偵察機プレデターで衛星電話の電波をキャッチして位置を特定してミサイルで爆撃するというもので無差別爆撃そのものだ。米軍の無差別爆撃に対してパキスタン人民の怒りが燃え上がっている。
パキスタンでは世界大恐慌の影響による経済破綻で賃金未払いや解雇攻撃、物価上昇の中で労働者階級のストライキやデモも広がっており、パキスタン政府は国際通貨基金(IMF)からの75億㌦融資で経済・財政の危機を乗り切ろうとしている。だが、それによる増税は、労働者人民の生活をさらに圧迫し、生活を破壊する。
こうした状況の中での米軍の越境攻撃と無差別虐殺は、パキスタン人民の怒りを決定的に高めるものであり、武装決起がさらに拡大していこうとしている。パキスタンは今や完全に内戦の危機にある。パキスタンはムシャラフ政権下でワジリスタン州への武装勢力掃討作戦を続けた結果、それが経済を疲弊させた一方で、軍事的にも政府軍が大打撃を受け、武装勢力の制圧地域に手を出せない状況になっている。オバマが米軍増派作戦でパキスタンへの地上軍投入を拡大すれば、パキスタン自身が内戦の泥沼になり、米帝は完全にそこから抜け出せなくなるのだ。
第2章 イラク 米軍駐留に怒りのデモ爆発
米帝の中東侵略戦争の中軸であるイラク侵略戦争も泥沼であることにまったく変わりない。米帝がスンニ派の一部部族勢力に資金と武器を提供して取り込んで以来、米軍へのゲリラ戦争は減少しているが、それでも着実に戦われている。米軍がイラク人民の武装闘争を制圧することはまったく不可能だ。
この間、来年1月に国連決議の期限が切れ、イラク駐留の米軍や連合軍の法的根拠(それ自身デタラメなものであるが)がなくなることから、米帝はカイライのマリキ政権との間で米軍地位協定の締結に向けて交渉を重ねてきた。だが、協定はまだ締結にいたっていない。
地位協定をめぐる交渉は、米帝は国内手続きとの関係で9月が期限だとしてイラク側に早期締結を促し交渉を続けてきた。しかし、イラク国内の米軍長期駐留への反発で、交渉が遅れてきた。10月にも両政府間で合意がなされたと発表させたが、実際はイラク政府内でも反発が強く閣議決定までにはいたらなかった。そして11月16日に「最終案」と称する再修正案で合意がなされ、イラク政府が全会一致で閣議決定したものの、イラク議会でサドル派やスンニ派勢力、世俗主義勢力などの激しい反対で議会そのものが流れる事態になった。その後、マリキはイラクのシーア派の最高権威であるシスタニ師の同意を取り付け、協定案賛成を表明してもらうことで議会での同意を取り付けようとしたが、11月25日の議会でも議決ができてない。
協定案の内容は、駐留米軍が来年の半ばまでにイラク人居住区から郊外へ撤退し、2011年末までに完全撤退する、イラク領を近隣諸国への米軍の出撃拠点とすることは禁止する、米軍兵や傭兵の基地外での任務以外の時の犯罪についてはイラク法を適用する、双方は1年以上前の事前通告で協定を破棄することができるというものだ。米帝にとって破産したイラク占領の狙いを貫徹するために駐留継続を何がなんでも確保しようということである。
地位協定締結に対してイラクでは大規模な抗議デモがわき起こった。基本的にはシーア派のサドル支持者によるものだが、イラク人民の中に米軍駐留に激しい怒りがあり、サドル派が支持を拡大している現実がある。その一方で、米帝によって首相に据えられたマリキの米軍駐留継続の押しつけに対して怒りと反発があり、議会過半数が容易に確保できない現実がある。
イラクでは今、マリキ政権の鉱物産業省労働者に対する3割賃金カットの攻撃に対して労働者が激しく抗議闘争に決起している。11月23日、バグダッドを始め、ナジャフ、クート、ナシリアでデモが闘われた。7月1日に強行された3割の賃金カットは労働者の激しい抗議でいったんは撤回されたが、4カ月半にわたる賃金未払いの上に、さらに3割賃金カットを強行しようとしているのだ。バグダッドでの鉱物産業省に向けたデモ隊は、装甲車と自動小銃を構えた政府軍のデモを解散させようとする規制、警告発砲をはねのけ、鉱物産業省前までデモを貫徹した。
労働者はこの闘いでハリリ鉱物産業相と代表団の面会を実現し、マリキに要求を伝えることを約束させ、2日間その回答を待つことにしてこの日の闘いを勝利的に貫徹した。
米軍の占領と世界大恐慌の深化の中でイラク労働者人民の生活も直撃されており、労働者階級の闘いは占領支配を突き破って爆発しようとしている。イラク労働者の革命的な決起こそが米軍支配やカイライ政権を打ち破り、全世界の労働者とともに世界革命の道を切り開く根底的な力なのだ。
第3章 帝国主義倒せ今こそ闘う時
米帝のイラク・アフガニスタン侵略戦争は米帝の死地と化している。米帝が世界を支配する帝国主義であり続けるためにはここで敗退するわけにはいかない。といってこの戦争を勝利的に切り抜ける展望は1ミリもない。次期大統領のオバマがアフガンへの軍の増派を行ったとしても、それはパキスタンを内乱へと引きずり込み、パキスタン労働者階級の怒りの決起に火を付けるものに転化するだろう。オバマが選挙期間中に主張していたイラクからの16カ月以内の撤退も実現不可能であり、米軍はズルズルと居座り続けようとする以外にない。まさにイラク・アフガン侵略戦争は米帝にとって死の苦悶になっているのだ。
米国内では金融大恐慌の爆発から、自動車産業を始めとした全産業に恐慌が拡大している。労働者階級の決起が広がっている。次期大統領のオバマは体制内指導部を取り込んで労働者階級の闘いを圧殺しようという策動を強めている。このオバマの策動を打ち破り、打倒することが労働者階級の闘いの焦点になっている。そして労働者階級がオバマへの幻想を吹き飛ばして闘う時、米帝の侵略戦争とそれへのアメリカ労働者階級の怒りは、労働者階級の革命的決起を拡大し、革命勝利への決定的な要因となるだろう。
イラク・マリキ政権がイラク経済を立て直すいっさいの方策をもたない以上、イラク労働者の決起がさらに拡大することは不可避だ。イラク労働者階級は今、米軍占領支配の一切の重圧をはねのけて不屈の決起を開始したのだ。それは、カイライ政権への一切の幻想を吹き飛ばして米帝の占領支配の狙いを打ち砕くものであり、同時にイラクプロレタリア革命への勝利の道を切り開くものである。
米帝のイラク・アフガン侵略戦争の泥沼的破産、世界金融大恐慌の爆発の中でプロレタリア世界革命の時代がついに到来したのだ。
11・2労働者集会で切り開いた日韓米国際連帯の新たな地平を受け継ぎ、さらに麻生政権打倒に向けて全力で闘い抜こう。