2008年12月 1日

〈焦点〉 トヨタなどで「派遣」大量解雇 高まる青年労働者の怒り

週刊『前進』08頁(2370号3面4)(2008/12/01)

〈焦点〉 トヨタなどで「派遣」大量解雇
 高まる青年労働者の怒り

 世界大恐慌の中、自動車、電機などで大量首切りが激化している。とりわけ非正規労働者の青年たちが真っ先に解雇されている。
 トヨタ自動車は10月に派遣、季節工合わせて3000人を解雇、年度内にさらに3000人を解雇するとしている。外国人労働者が多数解雇されている。トヨタ自動車九州はすでに800人を解雇、来年1月以降さらに850人を解雇する。地元の街は若者が大きく減り、がら空きのアパートがあちこちに並ぶという。
 いすゞ自動車は、国内2工場で派遣、期間工全員1400人を12月末で解雇すると発表した。シャープは携帯電話の部品を造る福山工場(広島県)の派遣労働者300人を12月末までに解雇する。解雇者は自動車・トラック・電機大手だけですでに1万7千人規模に達し、下請け・関連企業を含めれば数倍に膨らむ。
 資本家は「期限切れで契約を打ち切り、期限前でも1カ月以上前に通告すれば合法だ。何の問題もない」というが、そんな問題ではない。正規労働者の半分や3分の1という、まともに生活できない超低賃金で雇い、企業がもうからなくなれば真っ先に首を切る、労働者の生活のことなど知ったことではない——一体、こんなことがどうして許されるだろうか。労働者は、資本家の奴隷ではないぞ!
 いったん首を切られたら、次の仕事を見つけるのも大変困難だ。住居からも追い出され、文字どおり路頭に放り出される労働者が数多くいる。本当にこれは労働者にとって「死ね」という攻撃だ。
 政府が今国会に提出した労働者派遣法改定案は、この現実を何ひとつ変えるものではない。最大焦点である登録型派遣の規制は見送られた。法案づくりの過程で資本家が主張したことは、「われわれは、低コストで便利な派遣労働を前提にしたビジネス・モデルを構築した。その成功の条件を崩すべきでない」ということだ。
 これは、”労働者を人間として扱わない。賃金奴隷として使いまくるぞ”という宣言だ。
 森精機奈良第一工場で、解雇通告に怒った派遣労働者が24時間ストに立ち上がった。「会社がもうからなくなったら、ボロぞうきんのように捨てられる。絶対に許せない」と、組合結成後1カ月でストに立ったのだ。派遣会社を相手に闘うだけでなく、首切りと虫けら扱いの元凶である派遣先の大企業に真っ向からストをたたきつけたことが決定的だ。派遣元と派遣先を串刺しにする決起だ。
 中野洋動労千葉顧問は、非正規雇用労働者の現実は厳しいけれど「この現実を逆手にとって労働者が団結して闘えば、相当思い切ったことができる」と語っている(『新版 甦る労働組合』)。それを証明したのが森精機の派遣労働者の闘いだ。
 派遣法粉砕、非正規職撤廃、「生きさせろ!ゼネスト」の実現に向かって全力で労働者階級の闘う団結をつくりだそう。労働者を虫けらのように扱う資本家どもを打倒し、労働者階級が権力を握り、新しい社会をつくろう。