〈焦点〉 ソマリア沖への海自派兵法案 武力行使狙い自公民結託
〈焦点〉 ソマリア沖への海自派兵法案
武力行使狙い自公民結託
政府は、「アフリカ・ソマリア沖で頻発する海賊行為からタンカーや商船を守る」という口実で海上自衛隊の護衛艦などを派兵するための特別措置法を来年1月予定の通常国会に提出しようとしている。東京新聞11月25日付によると、その素案は以下のとおり。
護衛対象は日本関係船舶とそれ以外の外国船籍を含む各国船舶。海自艦の具体的な活動に①海賊船への停船命令や立ち入り検査、②海賊船から攻撃を受けた場合、正当防衛に必要な武器使用、などを挙げている。P3C哨戒機による洋上監視も検討対象としている。
「海賊」から守ることを掲げているが、その実体はロケット砲や機関銃で装備された武装勢力であり、それとの「正当防衛に必要な武器使用」とは、憲法9条1項で禁止された武力行使であり、2項で禁止された交戦権の行使そのものである。そして、日本船のみならず、外国船を守るとして武力を行使すれば、集団的自衛権の行使となり二重三重に憲法からの逸脱になる。日帝の海外派兵の歴史の中でも、武力行使に直結する、決定的なエスカレーションである。
同法案の推進では民主党も同罪だ。同趣旨の議員立法を目指す超党派(自・公・民)議員連盟「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」に民主党前代表・前原誠司らが加わっている。小沢民主党もアフガニスタン侵略戦争、ソマリア沖海自派兵を進めることは間違いない。
今年6月、国連はソマリア沖で海賊行為が頻発しているとして、各国に対処行動を求める決議を採択した。ソマリア沖派兵法案はそれを根拠にしている。だが、ソマリアへは、米帝の支持の下でエチオピアが軍事介入しており、ソマリアの武装闘争勢力と戦争状態にある。米帝は武装闘争勢力の一部をアルカイダとみなし、07年1月には南部の拠点を空爆し多数の死傷者を出した。
ソマリア沖の「海賊」は、もともとはソマリアの漁師で、仕事を失った人びとだといわれる。「海賊」組織の広報担当は「ソマリアに軍を送る国は、米国であれ日本であれ間違っている。我々の海をもてあそぶな。すべての外国船が出ていくまで戦う。死ぬのは一度。怖くない」と帝国主義の侵略戦争と闘う立場を明確に表明している(朝日新聞11月15日付)。
日帝はイラク侵略戦争から撤退を決めたが、アフガニスタン侵略戦争のための給油活動は必死に継続しようとしている。また、アフリカの鉱物資源や市場、勢力圏をめぐっての帝国主義間争闘戦にも全力で対応しようとしている。
こうした中で、ソマリア沖での「海賊」を口実とする臨検活動は、ソマリア侵略戦争であると同時に、アフガニスタン・イラク侵略戦争支援の臨検でもある。ソマリア沖とはインド洋であり、アフガニスタン沖、ペルシャ湾沖、紅海沖と重なっている。日帝はこの地域で給油活動に加え、新たに臨検という「戦争行為=武力行使」を行おうとしているのだ。この侵略戦争の拡大を阻止しよう。