2008年11月24日

「食と農を考える会」開く 市東さん「私は一歩も引かない」

週刊『前進』06頁(2369号4面1)(2008/11/24)

「食と農を考える会」開く
 三里塚・市東さん「私は一歩も引かない」

 千葉市で11月16日、「市東さんの農地取り上げに反対する会」主催の「食と農業・農地問題を考える 11・16講演&パネル・ディスカッション」が開かれました。
 三里塚で市東孝雄さんにかけられている農地取り上げ攻撃の根本には、農業問題があります。全国の農民が「このままでは生きられない」という現実は日増しに過酷になっています。昨年の9・8講演会に続き、「食と農」を問題提起と討論で掘り下げようとする非常に意欲的な企画です。三里塚反対同盟も北原鉱治事務局長を始め、総出で参加しました。
 司会は成田市議の足立満智子さん。最初に科学ジャーナリストの天笠啓祐さんが「穀物高騰と農業危機----食糧危機と脅かされる食の安全」と題して講演し、世界で噴出する諸矛盾を「崩壊の過程に入った資本主義」の問題として縦横に解き明かしました。
 続くパネルディスカッションでは天笠さんに加え、反対同盟事務局次長の萩原進さん、秋田県大潟村農民の坂本進一郎さん、『農民新聞』記者で全日農アルバイトの林伸子さん、編集工房・朔主宰の三角忠さんが壇上に並び、報告が行われました。
 萩原さんは「三里塚で農地破壊攻撃がストレートに行われている。県内での農地転用が毎月300件の規模で次々と起こっている。だがわれわれは『大地を食べて』生きている。人間が生きるために必要な土地を守るのが、本当の公共性ではないのか」と"公共"に名を借りた空港建設の強行を批判しました。
 また萩原さんが「FTAは労働者の問題と訴えてきた」と述べたことに応じて、坂本さんは「中曽根政権でレーガンに出された前川レポートは、『農業を差し出すから自動車を買ってくれ』という内容。トヨタを守るために農民を犠牲にするもの」と暴露しました。天笠さんは昨今の穀物危機で穀物メジャーが莫大な利益を上げたことを明らかにし、萩原さんが最後に「資本主義の崩壊を進めてやろう」と締めくくりました。
 後半、市東さんのあいさつ(写真)は、農民としての誇りにあふれた素晴らしいものでした。空港会社が10月17日、ついに農地明け渡しの提訴を行ってきたことに怒りをあらわにし、「罪を犯してもいない私がなぜ被告にされるのか。への字誘導路は、もともと畑があったところに無理やり造ったもの。責任は空港会社にこそある。今日のお話を聞いて農業をますますしっかりやろうという気になった。私は一歩も引かない」と述べました。これらの一語一語が参加者の心を打ち、大きな拍手が起きました。
 続いて葉山岳夫弁護士が、三里塚闘争の歴史を振り返りながら、今回の空港会社の提訴の不法とデタラメを明らかにする裁判報告を行いました。また、森林保護の訴え、残土・産廃問題の提起、「群馬・市東さんの農地を守る会」結成のあいさつなど、内容は盛りだくさんでした。会の活動報告では、共同代表である坂本さんが会員拡大と財政強化を訴えました。
 会場入り口では三里塚の野菜、萩原さんの新著『農地収奪を阻む』などの販売コーナーができ、非常ににぎわいました。また、市東さんの畑から運ばれてきた本物の土が置かれ、参加者はその黒く柔らかい土に見入り、手を当て、肌で感じていました。
 初参加者を含め150人が会場を埋め発言を真剣に聞き入り、質疑応答が行われました。これほど多くの人びとが市東さんの農地と農業問題に関心を寄せていることはうれしい驚きでした。この陣形を広げ、非道な農地強奪を絶対に阻止しましょう。
 (投稿・市村岳志)