2008年11月24日

〈焦点〉 「生活給付金」実は消費大増税 税金使い露骨な選挙買収

週刊『前進』06頁(2369号3面5)(2008/11/24)

〈焦点〉 生活給付金」実は消費大増税
 税金使い露骨な選挙買収

 「世界金融大恐慌が実体経済への壊滅的な打撃となって進行し、その対応で右往左往する麻生政権は、10月30日に新経済対策なるものを発表、その目玉として総額2兆円、国民1人あたり1万2000円の「定額給付金」を配るとした。自民党政権の底が抜けた危機の中で、文字どおり選挙目当てに公金をばらまき、票を買うという愚劣な買収策である。資本主義経済システム自体が崩れ始めた現状で、ブルジョア・ジャーナリズムからさえも「公職選挙法違反すれすれ」とか「天下の愚策」などと批判されている。
 そもそも「給付金」というが、原資は人民から搾った税金だ。それを選挙目当てにばらまくなど論外である。そもそも新自由主義政策で労働人口の4割にも迫る非正規雇用労働者をつくり出し、毎年2200億円も社会保障費を削り続け、働いても働いてもまともに生活できない状況に人びとを追い込んだのは日帝・自民党政権ではないか。そうした事実を開き直って何が「生活給付」なのか。
 しかもこの「生活給付金」はサラ金まがいのペテンである。麻生は発表の同じ場で「3年後の消費税引き上げ」を宣言。翌日の経済財政諮問会議で、早くも「消費税率8%台」への議論を始めた。
 消費税率を現行の5%から8%へ引き上げると、年間で約8兆円の増税となる。「生活給付」と称して2兆円をばらまき、わずか3年後に8兆円を回収するのだ。2兆円が3年で8兆円に化ける。サラ金の法定金利をはるかに超える悪質高利貸しである。以後、消費税率は限りなく20%水準にまで引き上げられる。塗炭の苦しみの大衆増税の道。この手始めが今回の「生活給付金」なのだ。
 このような「政策」を採用すること自体が資本主義の末期状態を象徴している。
 また今回の新経済対策のもうひとつの目玉である「住宅ローン減税」もしかりだ。住宅ローン残高の一定割合を所得税から控除する金額を、現在の160万円(10年間で)から最大600万円に引き上げるというが、「600万円の控除」を受けられる対象者とは、頭金を支払った上で毎年のローン残高が10年間にわたって6000万円を超える物件を買える高額所得者だ。何のことはない。大金持ちと建設・不動産資本の救済策なのだ。この結末も大増税である。これが景気対策の目玉とは労働者人民をなめきっている。
 そもそも金融大恐慌自体が、新自由主義攻撃によって労働者人民から極限的に富を搾取・略奪し、「小さな政府」と称して社会保障を破壊し、一握りの大資本家のもとに腐るほどの富を集積させてきた結果ではないか。それが破綻したのだ。その途端に膨大な公的資金(税金)を使って、この腐り果てた資本家どもと資本主義体制を救済するために、大増税への道を開こうとしているのである。
 資本主義を救済するな! 階級的労働運動の力で日帝・麻生政権を打倒しよう! いまこそプロレタリア革命で労働者人民の政府を打ち立てよう!