2008年11月24日

金融大恐慌—世界革命情勢の成熟にあたって 全世界の労働者階級に訴える 労働者自己解放の思想であるマルクス主義を今こそ全面的に奪い返して闘おう 革命的共産主義者同盟

週刊『前進』06頁(2369号2面1)(2008/11/24)

金融大恐慌—世界革命情勢の成熟にあたって 全世界の労働者階級に訴える
 労働者自己解放の思想であるマルクス主義を今こそ全面的に奪い返して闘おう
 革命的共産主義者同盟

 11・2全国労働者総決起集会とそれに続く訪韓闘争は、労働者階級の国際連帯の決定的な新地平を開いた。革命的共産主義者同盟はここにおいて、全世界の労働者階級に対して日米韓の3カ国語によるアピールを発し、世界金融大恐慌の爆発をプロレタリア世界革命の勝利に転化するために、マルクス主義の復権と世界単一の労働者党の建設に向けてともに闘おうと呼びかけた。その全文を掲載する。(編集局)

 第1章 資本主義・帝国主義の大崩壊が始まった。プロレタリア世界革命をやりぬく時代がついに来た

 1929年の大恐慌をはるかにこえる世界金融大恐慌が爆発した。最末期の帝国主義はこの数十年、新自由主義の規制緩和・民営化のもとで資本主義の弱肉強食の論理を極限まで満展開させてきた。労働者階級へのすさまじい強搾取・強労働と福祉はく奪、全人民の収奪、貧困化の上に、一握りの大ブルジョアジーが法外な利益をむさぼってきた。その結果がついに、資本主義の経済社会システムそのものの中心部からの瓦解となって現れた。
 今や、全世界の帝国主義者、資本家階級はパニックに陥っている。しかし彼らにできることは、この世界金融大恐慌の中で他を蹴落としても自分だけが生き残ろうとあがきにあがき、その結果、大恐慌を底無しに激化させていくことだけだ。最後は世界経済の完全な分裂・崩壊と新たな世界戦争の破局に突っ込んでいくしかない。彼らにとって、もはや出口はどこにもない。
 労働者階級にとっては逆に、待ちに待った決定的なチャンスの到来だ。長きにわたるブルジョアジーの支配を最終的に打倒し、終わらせる時がついに来たのだ! 全世界の労働者階級と、搾取され抑圧されているすべての人民にとって、いま必要なことは、資本家階級と一緒になって世界大恐慌から資本主義を救い出す道がどこかにあるのではないかと探し求めることでは断じてない。それは資本家とともに破滅への道を歩むことであり、第一、そんなことは不可能だ。いま起きているのは、1917年ロシア革命によっていったんその一角を打倒されながら、ロシア革命を変質させたスターリン主義の裏切りに助けられて延命してきた帝国主義が、ついにその終末を迎えたということだ。この資本主義・帝国主義の断末魔のあがきに終止符を打ち、社会を崩壊のふちから救い出すのはただひとつ、プロレタリア世界革命の完遂だけである。
 われわれ労働者階級が望むのは、この社会の部分的な改良ではなく、全面的な転覆だ。そもそも、資本主義体制になんらかの改善を加えることで搾取や貧困の問題は解決できるなどという幻想は、これまでの歴史がそのインチキをとっくの昔に暴いているではないか。われわれは単に、不平等に対して平等を、貧困に対して豊かさを求めているのではない。労働者階級に対する賃金奴隷制の廃止、人が人を搾取することで成り立つ社会そのものの廃絶を求めている。資本の利益の前には労働者の生命など虫けら同然とされ、金がすべてを支配しているこの社会を、根底からぶちこわすことを求めているのだ。
 社会の真の主人公である労働者階級が全権力を握り、資本主義の全世界的な転覆の上に、まったく新たな、真の人間的共同性にもとづく社会(=共産主義社会)を地球的規模で打ち立てること——これがわれわれの目標である。今こそこのプロレタリア世界革命を、断固としてかちとる時代が来たのである。

 第2章 世界を変える力は労働者階級の階級的・国際的団結とその闘いの前進の中にある

 プロレタリア世界革命の条件はすでに圧倒的に成熟している。資本家階級はどこでも、もはや従来のやり方では労働者階級を支配できなくなり、統治能力を失っている。今や誰もが、現状の根本的変革を心の底から望んでいる。
 革命を起こす力はどこにあるのか。労働者階級自身の中にある! 団結した労働者の力だけが、社会を変革し、歴史を動かす力だ。資本の支配を打ち破る力は、実は一人ひとりの労働者の中に備わっている。この力は、労働者がバラバラに分断され、互いに対立・競争させられて、団結できない状態に置かれている時には認識できない。だが労働者がこの分断を打ち破って、この社会を動かしている本当の主役は自分たちだという誇りと自覚に目覚め、階級としてひとつに団結し、資本家階級との非和解の闘いに立ち上がっていく中で、それまで思いもよらなかった自己解放の力が労働者自身の内側から解き放たれてくるのである。
 しかも労働者階級は、国際的に単一の階級であることをその本質としている。プロレタリア革命は、本質的に世界革命である。国境や民族による分断と差別・抑圧は、帝国主義が、世界革命へ向けたプロレタリアートの国際的団結を破壊するために、意識的に作り出してきたものだ。だが労働者階級は、同じ敵に対して同じ闘いを闘っている仲間だと互いに認識しあった瞬間に、あらゆる分断をのりこえてひとつになれる階級である。そして労働者階級の階級的団結が、国境をこえた団結へと発展したとき、それはまさに全世界を変革する力を獲得する。
 そして今、「万国のプロレタリア、団結せよ!」という『共産党宣言』の言葉が文字どおりの現実になる時代がやってきたのだ。マルクスが「資本主義の墓掘り人」と呼んだ労働者階級の存在と闘いは、今や世界のあらゆる地域に、膨大な数で広がっている。世界中で労働者の「生きさせろ!」の叫びと嵐のようなストライキ、デモ、暴動が起こっている。とりわけ2008年5月1日のメーデーで起きたことは決定的である。アメリカの港湾労働者とイラクの労働者が連帯して戦争協力拒否のストライキに立ち上がった。労働者が国際的に団結して決起すれば、戦争も実力で止められる! 帝国主義は倒せる! ここにプロレタリア世界革命の圧倒的な現実性がある。
 世界革命へ向けた労働者階級の国際組織である新たなインターナショナルの創設に踏み出す時が来ている。日本の動労千葉が呼びかけ、毎年11月に開催されてきた日米韓3国労働者の国際連帯集会は、その母体となるものだ。ここで形成される団結をさらに強化・拡大・発展させ、世界の労働者を今こそひとつにつなげる闘いを開始しよう。

 第3章 労働者階級への不信と絶望をあおってきたすべての反動的イデオロギーを粉砕し、本物のマルクス主義を復権させよう

 プロレタリア革命の本質は、労働者階級が自分で自分を解放する、労働者階級自己解放の闘いである。そして労働者階級は、賃金奴隷制のくびきから自らを解放することによって同時に、階級社会の廃絶とあらゆる抑圧からの全人間の解放を可能にする。このことを明らかにしたのがマルクス主義だ。
 ロシア革命を変質させたスターリン主義はしかし、マルクス主義の核心であるこの労働者階級自己解放の思想を根本からゆがめ、否定した。世界革命を裏切り、放棄したスターリン主義が、その裏切りを「一国でも社会主義は建設できる」と言って居直ったことが歪曲と変質の出発点となった。ソ連スターリン主義は「労働者国家」を名乗りながら、実際には党と国家を私物化した一部の特権官僚が逆に労働者大衆を支配するという自己矛盾の中で、最終的に崩壊した。さらに、スターリン主義の破産はその対極に、「プロレタリア革命をやってもそれだけでは社会の矛盾はなくならない」として、マルクス主義以外のところに救いの道を求める様々な思想と運動を生み出した。20世紀の終わりには、それらは一種の「流行の思想」にまでなっていった。
 このすべては、労働者階級の革命性を否定し、「現実の労働者には社会を変える力はない」としていく点で根本的に誤っている。労働者を自己解放の主体ではなく、単なる「救済の対象」としてしか見ない。したがって、資本の支配を実力で覆す労働者階級の闘いが本格的に開始された時、その闘いに逆に恐怖し、敵対する存在へと転落するのである。
 世界革命情勢の急速な成熟は、労働者階級への不信と絶望を組織するこれらの反動的イデオロギーと徹底的に闘って、本物のマルクス主義を労働者階級の手に取り戻す闘いを絶対不可欠としている。動労千葉の中野洋顧問(前委員長)は、「僕は、労働者を軽んじ、蔑視する考えに取り込まれない限り労働者は必ず勝てると確信している」と言い切っている。そのとおりだ。動労千葉は、1980年代以来の新自由主義攻撃の重大焦点であった日本における鉄道の大民営化攻撃に、真っ向から闘いを挑んで勝ちぬき、生き残ってきた、世界にもまれな労働組合だ。その強さの秘密はまさに、労働者一人ひとりのもつ自己解放の力に対する徹底した信頼と、それに基づく団結にある。言い換えるなら、本物のマルクス主義を労働組合の日常の実践の中に貫き通して闘ってきたことにある。
 プロレタリア革命とは、どこにでもいる「普通の労働者」が全員、プロレタリア権力の直接の担い手となり、名実ともに社会の主人公となって自ら全社会を支配することだ。それを可能にするのは労働者階級の団結だ。労働者階級は、その階級的団結の形成と発展をとおして、階級社会のもとで奪われ続けてきた人間本来の共同性を実力で奪い返していく。団結とは、コミューンの原基体だ。労働者階級はその団結した力をもって、職場生産点の支配権を資本家の手から奪い取り、さらに農民をはじめ帝国主義と闘うすべての勤労人民をも自らのもとに結集して、ブルジョア国家権力を打倒し、革命に勝利する。そこでブルジョア独裁に代わって打ち立てられるプロレタリアートの独裁は、いわば団結の究極の拡大なのである。
 そして支配階級となったプロレタリアートは、その瞬間から自己の「階級としての死滅」を準備し始める。すなわち、古い社会の解体と搾取なき社会の建設をとおして階級と階級対立の発生する物質的根拠を取り除き、その代わりに、一人ひとりの自由な発展が、すべての人びとの自由な発展の条件となるような真の共同社会を実現するのである。
 このように、プロレタリア革命とは労働者階級自身による壮大な事業である。その第一歩は、労働者階級が自らの思想であるマルクス主義を、あらゆる歪曲を取り払って自分自身の手に奪い返し、実践していくところから始まるのだ。

 第4章 労働組合こそ資本と闘う武器だ。資本の手先に転落した御用組合幹部を追放し、労働組合を現場労働者の手に奪い返して闘おう

 プロレタリア世界革命を実現していく最大のカギは、階級的労働運動の再生だ。その核心は、労働者階級の最も基本的な団結形態であり、資本と闘う決定的な武器である労働組合の、本来の姿をよみがえらせることである。
 これまで、スターリン主義や社会民主主義、あらゆる色合いの体制内改良主義が、世界の労働運動を長い間牛耳ってきた。他方で、組織された労働者の闘いにはもはや社会変革への希望を見出せないという、労働組合と労働運動への不信と絶望の思想がやはり世界にはびこってきた。これらが労働者階級の闘いへの妨害物となり、その怒りの爆発をおしとどめ、新自由主義のもとでの資本の無制限の搾取を助長し、膨大な労働者をワーキングプアに叩き込んできた元凶である。これと徹底的に闘い、打ち破ることが必要だ。組合を支配してきた御用幹部をランクアンドファイル(現場組合員)の決起によって打倒・追放し、動労千葉のような本当の闘う労働組合を、すべての職場によみがえらせていこう。
 体制内労働運動の幹部たちは言う。「会社がつぶれたら労働者も生きられない」と。資本家階級は言う。「自分たちなしでは社会は運営できない」と。大うそだ。確かに資本主義社会では、資本の存在がなければ労働者の賃金労働は成り立たない。だが実際に生産に従事して、この社会を動かしているのは労働者だ。教育や医療もすべて現場の労働者が担っている。資本家階級は労働者を搾取してそこから莫大な利潤を吸い上げているが、本質的には労働者階級の労働に寄生しているにすぎない。資本家階級を追放して、彼らの私有財産にされていた社会的生産手段のすべてが団結した労働者の手に移されれば、労働者はその団結の力で立派に社会を運営できるのだ。しかも搾取階級という寄生物がいなくなることで、労働者が生み出す巨大な生産力は、そのすべてを人間社会の発展のために役立てることが可能になる。
 労働組合は、労働者階級が資本の際限のない搾取と必死に闘って生きぬくために、自らつくりだした階級的団結の砦だ。それは、資本との日常的なゲリラ戦を闘いぬくと同時に、賃金鉄鎖をひきちぎる闘いに向かって労働者が自分自身を訓練し、準備し、自らの職場生産点をプロレタリア革命の拠点に変えていくための組織である。この階級的労働運動と革命運動は、限りなく一体だ。だからこそ全世界のブルジョアジーは、階級的労働運動の発展を阻むために、御用組合幹部をも手先に使って、労働者の団結破壊に必死になっている。これを打ち破って進むことが決定的だ。闘う労働組合の力強い姿を、今こそ歴史の前面に登場させよう。

 第5章 プロレタリア革命に勝利する労働者階級の党をつくりだそう

 革命的共産主義者同盟は、日本の地で、動労千葉と連帯し、ともに歩んできた共産主義者の組織である。われわれは、1950年代後半、当時のソ連に代表されるスターリン主義と決別し、日本共産党から分離独立して自らの組織を創立した。そして〈反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命〉の綱領を掲げ、国家権力の弾圧やファシストによる白色テロルと徹底的に闘い、様々な試練をくぐりぬけて半世紀を超える闘いを貫いてきた。われわれの同志の一人、星野文昭は、1971年の沖縄闘争でデッチあげ逮捕され、不屈・非転向の獄中闘争をすでに34年にわたって闘いぬいている。そして今、われわれは、資本主義・帝国主義への大反乱を開始した青年労働者や学生とともに、21世紀の革命を絶対にやりぬく決意に燃えて新たな進撃を開始している。
 労働者階級がプロレタリア革命に勝利するためには、労働組合と並んで、労働者の政治組織、党が必要である。革共同は、動労千葉の闘いに学びつつ、労働者階級の党、マルクス主義の党として自己を建設するために不断の自己変革を重ねてきた。われわれは、帝国主義やファシスト勢力との血みどろの闘いと、スターリン主義やあらゆる体制内運動との非妥協的対決の中で、本物のマルクス主義をつかみ直すための真剣な努力を積み重ねてきた。そして今日、その到達点を、『共産党宣言』『賃労働と資本』をはじめとするマルクス主義基本文献の学習に関する一連の本の刊行をもって明らかにしている。
 われわれは今、あらためて、全世界の労働者階級に呼びかける。本物のマルクス主義を今こそ復権しよう。本物のマルクス主義の党、世界革命に勝利する労働者階級の党をともにつくりだそう。全世界の労働者階級が一つの軍勢となり、資本主義社会を転覆する革命をやりぬく時代がついに来たのだ。1871年のパリ・コミューン、1917年のロシア革命が切り開いた地平を真に継承し、発展させ、ともに最後の勝利に向かって攻めのぼろう。「プロレタリアは、この革命において鉄鎖以外に失うものは何もない。獲得すべきは全世界である」——この『共産党宣言』の言葉に、生きた魂を吹き込む闘いをやりぬこうではないか。