「非正規職撤廃」へ闘おう 派遣法は粉砕あるのみだ 改悪案を葬れ
「非正規職撤廃」へ闘おう
派遣法は粉砕あるのみだ
職場闘争の力で改悪案を葬れ
麻生政権は11月4日、労働者派遣法改悪案を閣議決定し、国会に提出した。その内容は、日雇い派遣の禁止をうたいながら、不安定雇用の最大の実体をなす登録型派遣を温存するという、徹頭徹尾、許しがたいものだ。派遣労働者を依然として無権利の低賃金状態に置き、あくなき搾取を貫こうとする資本の意志が、そこにははっきりと貫かれている。11・2労働者集会で掲げられた「非正規職撤廃」のスローガンを貫き、労働者階級の国際的な団結を打ち固めて、「生きさせろ」のゼネストへ闘うことが今こそ求められている。
第1章 最大焦点の登録型派遣の規制見送り
政府が国会に提出した法案は、日雇い派遣や派遣期間30日以内の短期間派遣を、専門的業種18種を除いて原則禁止するとした。だが、最大の焦点となっていた登録型派遣の規制は見送られた。
登録型派遣は、320万人いる派遣労働者の7割を占めるが、そのうち日雇い派遣は1万人と言われている。日雇い派遣の原則禁止といっても、その効果が及ぶ労働者はごく一部に限られる。
労働者派遣法の改定に向けた厚生労働省・労働政策審議会の議論の中で、使用者側は「われわれは派遣労働という、低コストで必要な時だけ使える便利な労働力を手にし、それを前提としたビジネス・モデルを構築した。その成功の条件を崩すべきでない」と露骨に主張した。これは、政府法案の中にも基本的に貫かれている。
しかも法案は、短期間派遣を期間の定めのない派遣に置き換えるためとして事前面接を解禁し、3年を超えて派遣された労働者に対する使用者の雇用契約締結申し込み義務を撤廃するなど、一層の規制緩和策を盛り込んでいる。
「こんな法案など粉砕だ」という派遣労働者の叫びはまったくそのとおりだ。麻生と資本家どもがたくらんでいるのは、これまで以上に悪らつなやり方で派遣労働者をこき使い、使い捨てにするということだ。
労働者派遣法の改定は、福田政権下で検討が開始された。小泉以来の新自由主義攻撃に対する労働者階級の怒りが高まり、改悪された派遣法をも無視した偽装請負などの違法行為が次々に明るみに出る中で、福田は新自由主義政策に一定の手直しを図るかのようなポーズを取らざるを得なくなったからだ。
だが、世界金融大恐慌がついに爆発を開始する中で、資本は一切の犠牲を労働者に押しつけて危機を突破する以外になくなった。それは、規制緩和の流れを逆転する選択など、資本にはできなくなったということだ。
麻生は「非正規雇用を正規雇用に変える」などと豪語するが、実際に進行しているのは労働者の一層の非正規雇用化だ。厚生労働省が公表した調査によれば、2007年に非正規雇用労働者の割合は37・8%に上ったという。特に、派遣労働者の割合は4・7%で、03年に比して2倍以上になったという結果が出ている。ここ数年で、非正規雇用化はすさまじい勢いで進んだのだ。
とりわけそれは、製造業への派遣が解禁された04年以来、急速に進展した。
第2章 青年先頭に労働者の反乱が始まった
世界金融大恐慌は、実体経済にも激しく及んでいる。トヨタが09年3月期決算の業績予想で、営業利益が約7割減になると公表したことは、資本に激震を与えた。この中でトヨタは、本体の期間従業員を3000人削減する計画を打ち出した。トヨタの主要下請け会社7社は、今年3月以来、すでに非正社員を2900人減らしている。日産も派遣労働者の大規模な削減計画を打ち出した。
大失業が労働者階級を本格的に襲い始めた。その中で、真っ先に首を切られるのが派遣労働者だ。低賃金労働者を踏みつけにしてマネーゲームに熱中し、その揚げ句、世界経済を破綻させた資本の不始末を、どうしてこれまでさんざん資本によって踏みにじられてきた労働者が負わなければならないのか。日々、人格を否定され、いつでも代替可能な「労働力商品」としてしか扱われない派遣労働者の現実に、積もりに積もった怒りをたたきつける時は今だ。
資本主義を延命させる手段は尽き果てた。労働者を生かしていくことのできない資本主義など、打ち倒す以外にない。すでに、全世界で労働者階級は荒々しい闘いに立ち上がっている。労働者を一層の貧困と無権利状態にたたき込み、金融資本を救済するために膨大な税金を投入する資本主義国家に対して、怒りの決起が始まっている。
それは、全世界で労働者を非正規雇用に突き落とした新自由主義の攻撃に対する根底的な反乱であり、プロレタリア世界革命に一直線につながる闘いだ。この中にのみ、労働者階級が生き抜くことのできる道がある。
第3章 連合の屈服粉砕し09春闘ゼネストへ
政府が打ち出した労働者派遣法改悪案に対して、連合は「労働者派遣法制定以降の規制緩和の流れに歯止めをかけ、一定の規制を行う」ものと評価し、「連合の運動の成果でもあり、前向きに受け止める」という談話を出した。
民主党が提案している労働者派遣法改定案も、登録型派遣を温存し、2カ月以内の派遣契約を禁止するというだけの内容だ。
こんなものは、およそ派遣労働者が求めているものではない。非正規雇用の撤廃こそが、労働者の要求だ。民主党や連合に、労働者の命運をゆだねるわけにはいかない。彼らは、崩壊の瀬戸際にある資本主義を救済するために、一層の犠牲を労働者に押しつける資本の代官にほかならない。
国鉄1047名闘争をめぐる4者・4団体路線もまた、資本主義救済の体制内労働運動の最先端にある。
労働者派遣法は、国鉄分割・民営化に先立つ1985年に制定された。中間搾取を禁じた戦後労働法制の根幹を破壊する攻撃は、国鉄分割・民営化と並ぶ新自由主義攻撃の切っ先としてあった。95年の日経連プロジェクト報告以来、労働者を非正規雇用に突き落とす攻撃は本格的なものとなった。本来、国鉄闘争は、こうした攻撃に最先頭で立ち向かうべき位置にある。それを真っ向から裏切っているのが4者・4団体だ。
労働者は、国家や既成勢力による救済を当てにすることなどできない。職場で資本と闘うことによってのみ、活路は切り開かれる。
今こそ、体制内労働運動を打倒して、「生きさせろ」のゼネストに立つべき時だ。階級的労働運動復権の突破口は、11・2労働者集会でこじ開けられた。09春闘に向け、この道を断固進もう。そのただ中で、労働者派遣法改悪案を労働者の実力で葬り去ろう。