侵略正当化の空幕長を更迭 麻生や安倍こそ元凶だ
侵略正当化の空幕長を更迭
麻生や安倍こそ元凶だ
現職の航空自衛隊トップ、田母神(たもがみ)俊雄航空幕僚長が更迭された。「わが国が侵略国家だったというのはぬれぎぬ」と、侵略戦争と植民地支配の歴史を正当化し、集団的自衛権を要求する論文を、右翼が経営する会社の懸賞に応募して最優秀賞になったことが発覚したためだ。
田母神のやったことは、イラク・アフガニスタン侵略戦争への参戦ですでに海外侵略に踏み出している日帝・自衛隊の中枢から、9条改憲の突破口をこじ開けようとする反革命的策動である。労働者階級の怒りの弾劾をたたきつけ、この元凶である麻生政権を打倒しなければならない。
田母神の論文は、徹頭徹尾虚偽と歴史歪曲に満ち満ちている。「日本政府と日本軍の努力によって、現地(中国や朝鮮)の人びとは、それまでの圧政から解放され、また生活水準も格段に向上した」(!)だとか、ルーズベルトも蒋介石もコミンテルンに動かされていた(?)というたぐいの、一片の真実もない粗雑かつ妄想的なデマで埋め尽くされている。
だが問題は、こんなとんでもない侵略戦争賛美者が自衛隊という実力武装部隊のトップについたということであり、事態は単なる一個人の思想の問題ではない。田母神は空自の隊内誌「鵬友」にも、03〜04年に4回にわたり侵略美化の文章を載せていた。「自虐史観」「東京裁判史観」なるものを攻撃して侵略戦争の歴史を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」と連なる人物であることは、関係者周知のことだった。それを安倍が空幕長に任命したのだ。
過去の侵略の歴史を「ぬれぎぬ」と居直り美化するのは、同じことをまたやるという意思表示だ。「支配、被支配の関係は戦争によってのみ解決されてきた」。田母神は、まさに集団的自衛権を行使し、武力をもって国の権益を拡大する道に踏み切ろうとして、このような論文を書いた。どこまでそれが通用するかを試そうとしたのだ。労働者階級に対する意識的で反革命的な挑戦だ。
イラク派兵の陸自隊長だった佐藤正久(現参院議員)は、「駆けつけ警護」=イラクでの戦闘参加を既成事実化しようとしていたことを明らかにした。自衛隊の中で武力行使への踏み込みが現に進められているのだ。田母神は今回の論文で「集団的自衛権が行使できない」現実への不満を並べている。これは日帝が軍部クーデター的に事態を突破しようとしている衝動の高まりの表現だ。
麻生政権は、この田母神を懲戒処分とせず「定年退職」とした。麻生自身「創氏改名は朝鮮の人が望んだこと」と朝鮮植民地化を美化する極右政治家であり、安倍や田母神と同じ歴史観の持ち主なのだ。集団的自衛権の憲法解釈を「基本的に変えるべきである」と明言する人物でもある。
今回の田母神論文は、麻生が目指しているものと軌を一にした攻撃だ。労働者階級人民は戦争・改憲阻止、麻生政権打倒へ闘おう。対テロ新特措法(給油新法)延長法案を絶対に阻止しよう。