2008年11月 3日

労働運動絶滅狙う橋下倒せ 道州制=民営化・解雇粉砕へ 11・21大阪府庁前闘争に立とう

週刊『前進』08頁(2366号3面1)(2008/11/03)

労働運動絶滅狙う橋下倒せ
 道州制=民営化・解雇粉砕へ
 11・21大阪府庁前闘争に立とう

 「社長の方針に従えない部下はクビだ」と叫ぶ橋下徹大阪府知事と労働者階級は絶対に相いれない。橋下は、金融大恐慌の危機にあえぐ資本家階級の意を受け、道州制導入—自治体丸ごと民営化—公務員全員解雇攻撃による労働運動絶滅をめざしている。すべての労働者は団結して橋下打倒の闘いに総決起しよう。11・2全国労働者総決起集会の歴史的大高揚を引き継ぎ、ただちに11・21大阪府庁前闘争に総決起しよう。

 第1章 労働者を資本の食いものに橋下の凶暴さは危機の現れ

 10月26日の府民討論会における橋下の暴言こそ、橋下行革—「大阪維新」の正体を最も露骨に示している。
 「私は大阪の行政のトップで、教育に責任がある。ところがトップの方針に学校の先生が従わない。公務員の身分保障の中でぬくぬくとやってる。どこの会社に社長の方針に従わない部下がいますか。そんな部下がいたらクビになる」「9割の先生は一生懸命やっている。地域や家庭の皆さんが学校運営にかかわり、1割のどうしようもない先生を排除してください」「子どもたちをこんな先生に任せておけないですよ。中山大臣の発言は正しいじゃないですか。現場を見て下さいよ」。橋下の暴言は全労働者に対する挑戦状だ。こんな暴言を放置して労働者階級に未来はない。絶対に橋下を倒そう。
 「社長の方針に従わない部下はクビ」だと!? 大阪府を私物化し、資本家の食いものに差し出すお前こそクビだ! 「中山は正しい」だと!? だったらお前もすぐ辞めろ!
 10月23日、私学助成金をカットしないでと訴えた高校生に、橋下は「今の世の中、自己責任が原則。誰も救ってくれない」「(それがおかしいと言うなら)国を変えるか、日本から出るしかない」と言い放った。
 よくぞ言った。橋下よ! お前を打倒して、この国を労働者の国に変えてやる!
 橋下は大阪府労連幹部の奴隷のような屈服ぶりを見て、労働者の反撃を見くびっている。橋下は労働者の怒りの深さと団結した力のすごさが分かっていない。これは橋下の致命的な弱点だ。橋下への怒りを燃え立たせ、労働者の団結した力を見せつけよう!

 第1節 資本家階級の意思を体現

 橋下は「大阪府は破産会社なんだから、従業員は給料半分にカットして当たり前」と言い放ち、資本家階級の立場に立って労働者階級への敵意をむき出しにして登場した。橋下は知事就任以来、「財政非常事態宣言」「教育非常事態宣言」と「非常事態宣言」を乱発している。「非常事態」とは《憲法停止—戒厳令—クーデター》であり、知事の権限で勝手放題にやるということである。橋下はこの「改憲クーデター」という支配階級の本音で勝負する「頼もしい人物」だ。だから関西財界をはじめブルジョアジーが群がり寄っている。
 しかし、この橋下の凶暴さは支配階級の危機の現れだ。橋下は、金融大恐慌という資本主義の矛盾の爆発の中で登場した。関西ブルジョアジーから、この危機ののりきりを託されているのだ。したがって、倒産・解雇・失業という全労働者への攻撃が不可避なのである。だから《金融大恐慌への突入—「資本主義の終わり」の始まり》という時代認識で全労働者が一致することが決定的に大切なのだ。そこで一致したとき、初めて橋下行革の正体が見えてくるのである。

 第2章 「公務員85万人削減、126万人を民間に」と叫ぶ関西財界

 橋下の「改憲クーデター」の基本戦略こそ「道州制」導入である。道州制の内容を最も露骨に表現しているのが関西経済同友会が2006年4月24日に発表した「5年以内に『連邦的道州制』へ移行せよ」という提言である。
 関西経済同友会は、この道州制プランの実現を安倍政権に託したが、労働者階級の怒りによって安倍が倒れて頓挫し、今度は橋下に託したのだ。その核心は「公務員は全員解雇」攻撃にある。以下がその基本内容だ。
 「公務員は一旦(いったん)解雇、85万人を削減、教育公務員等126万人を民間に」
 「道州制の導入に伴い新たな人材を募るため、410万人の国・地方の公務員の内、自衛官・警察などを除く360万人弱を関係法を制定の上、一旦解雇する。85万人の定員を削減した上で、新しい時代に適した能力をもち、かつ公の意識をもつ人材を、幅広く国民から募り、新たなエリートとして中央・道州政府に登用する。旧公務員から、立法能力をもつ者や業務に精通した者は、中央・道州政府で再雇用する。新たな政府で働く人材は、『半分の人員で倍の仕事』をする気概と能力が必要である。教育公務員等126万人の現業公務員は、国立・公立学校を私学化するなど組織を公設民営化した上で再雇用の機会を与える」 
 「転換にあたっては、旧国鉄の改組に亘って実施したように、受け皿機関『公務員支援事業団(仮称)』をつくり、転換支援事業を実施し、事務能力や技能を生かした転職、派遣を行う。関西経済同友会のシミュレーションでは、国・地方合わせて少なくとも85万人の公務員が、『公務員支援事業団(仮称)』を通じて民間に開放されることになる」

 第1節 「国鉄民営化の公務員版」

 要するに《公務員は自衛官と警官以外は全員解雇。85万人は旧国鉄の清算事業団型の組織に送り込んで首切り。教員など126万人はそのまま公務員身分を剥奪(はくだつ)して民間へ》ということである。これほどまであからさまに《道州制とは国鉄分割・民営化の公務員版だ》といった提言は、これが初めてだ。
 関西経済同友会の提言は橋下によって急速に具体化されつつある。とりわけ「府と市の二重行政の解消こそ、道州制の呼び水」という考え方に基づいて、大阪府・市の水道事業の統合が進められつつある。10月16日、22日に大阪府下の市町村代表者を集めた意見交換会が行われた。施設統合は現場ではすでに開始されている。さらに次の目玉として、府庁舎を市の第3セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)へ移転する案が府議会に提案され、橋下は来年1月に決着しようとしている。また10月16日、門真市の保育園の畑を第2京阪道路建設のために行政代執行で強制収用した。問答無用の権力行使だ。
 この関西経済同友会提言をめぐって自治体労働者、教育労働者の怒りが最も集中するのが「半分の人員で倍の仕事」という部分である。今でさえ多忙化—残業、残業、残業で病気で倒れたり、休暇が取れずに苦しんだりしているのに、「半分の人員で倍の仕事」とは「死ね」ということだ。「去るも地獄、残るも地獄」ということだ。
 国と自治体の丸ごと民営化としての道州制攻撃は、地方自治・教育・医療・福祉などあらゆる産別の労働者にかかわる全社会的な攻撃である。「橋下という一知事の力でどうこうできるのか」という意見がある。しかし、1929年大恐慌を超える金融大恐慌が始まったのだ。支配階級はこの「資本主義崩壊の危機」を前にして急速に道州制推進に傾斜している。何よりも総務省は、国と地方の1100兆円の財政赤字の責任を公務員労働者に負わせるべく、全国自治体に「財政健全化」の圧力をかけ、自治体・教育・医療福祉労働運動解体の攻撃を開始している。全国のあらゆる産別、あらゆる職場で、この国家の総力をあげた道州制導入による労働運動解体攻撃のプランを全面的に暴露し、粉砕する闘いを開始することが急務となっている。

 第3章 金融大恐慌下、勝利の道は動労千葉のように闘うこと

 国鉄分割・民営化攻撃型の国家総がかりの道州制導入—労働運動解体攻撃に対して、労働者階級が勝利する道はあるのか。ある。それが動労千葉が23年間、「分割・民営化絶対反対」の闘いに次ぐ闘いによって培ってきた全組合員の団結である。
 自治体労働者、教育労働者は、今初めて国家総がかりの労働運動解体攻撃を受けたわけではない。労働者は産別を越えてひとつの階級である。労働者階級として勝利した経験をすでに動労千葉の切り開いた地平として持っている。われわれは、この間の4者・4団体路線との血みどろ汗みどろの闘いをつうじて、このことをあらためて自覚した。この立場から『新版 甦る労働組合』『俺たちは鉄路に生きる』1、2、3を徹底的に学習しよう。
 動労千葉はなぜ闘えたのか。それは、国鉄分割・民営化を前にして組織の存亡をかけた闘いを何度もやりぬき、血みどろの試練を何度もくぐりぬけてきたからだ。とりわけ動労カクマルとの激烈な党派闘争を分離・独立として決着させたことは決定的に大きい。体制内労働運動と最後的に決別して絶対反対で団結する組合権力を樹立したのだ。この闘いぬきに分割・民営化との闘いはありえなかった。
 さらに、1985—86年の2波のストライキを決行するに際して、当局から「飛んで火にいる夏の虫」と言われようが、国鉄分割・民営化攻撃を真っ向から見すえて「すり抜ける道はない」と闘って生きぬく道を選択したことだ。《闘うからには中途半端な闘いはやらない。全員解雇されるような激しい闘いをやる》と決断したこと、「自分たちが解雇されても全国の国鉄労働者は必ず決起する」と労働者階級を心から信頼して立ち上がったこと、これらをつうじて動労千葉は解雇されてもつぶされない団結——解雇を敗北としてではなく、勝利の証しとして誇れる団結をつくりだした。ここにこそ勝利の地平がある。
 動労千葉は、この「首をかけてつかんだ団結」によって、国鉄だけでなく日本の労働運動を丸ごと獲得できるという展望をもって闘った。これが今、11月労働者集会として、戦争・民営化・新自由主義と闘う全国・全世界の労働者の団結へと結実している。
 世界金融大恐慌に突入する中で、戦争か革命かが歴史的に問われる時代に突入した。あくまでも解雇撤回を貫いて、「どんどん恐慌深まれ」「資本主義はもっと没落しろ」という立場に立ちきって、資本主義を打倒してみせるという思想と路線を持つ者のみが、今のこの時代の中で本当に闘いを貫き勝利できる、そういう時代に入ったという時代認識でしっかり一致しよう。
 11・2全国労働者集会の大高揚を引き継ぎ、「生きさせろ」一律大幅賃上げゼネスト、麻生内閣—橋下大阪府政打倒の歴史的大反撃に立とう。資本主義に終わりを告げ、労働者の新しい時代を切り開こう。11・21大阪府庁前闘争に総決起しよう。