『新版 甦る労働組合』 動労千葉前委員長 中野洋著
『新版 甦る労働組合』
動労千葉前委員長 中野洋著
11・2大結集へ最高の武器 読み、学び、広め全面活用を
闘う労働運動をつくり出そうと奮闘する労働者にとって、絶好の書が発行された。動労千葉・中野洋前委員長の著書『新版 甦(よみがえ)る労働組合』である。
1995年に発行された『甦る労働組合』を大幅に改訂した『新版』。新たな書き下ろしを加え、プロローグやエピローグはもちろん大幅に書き改められている。
動労千葉のリーダーとして40年以上闘いぬいてきた中野さんが時代認識、労働組合論、労働者観を縦横に語っている。本のタイトルどおり、労働組合を甦らせるための実践に直結する内容がぎっしり詰まっている。
とりわけ国鉄1047名闘争をめぐる4者・4団体路線に対する全面批判と、原則を貫いて勝利してきた動労千葉の闘いの教訓が全面的に提起されている。
本書の全内容をここで紹介することはとてもできないが、2点だけ提起したい。一つは、労働運動における時代認識の重要性である。
第1章 資本主義の終わりが始まった!
本書では冒頭から、「『資本主義の終わり』が始まった。現在はまさに革命情勢の始まりだ。ブルジョアジーが統治できないのなら、『労働者に権力をよこせ!』」と激しく訴えている。そして、労働運動における時代認識の重要性を繰り返し強調している。
「成果がなければ労働者は立ち上がらない」という「常識」がある。そうなのか。では動労千葉は、要求が通らないことがわかっていても、なぜ団結してストに立てるのか。動労千葉の指導部が組合員に常に時代認識を提起し、「労働者の要求を1ミリ前進させることも大変な時代。だからこそ、労働者がどう団結するかということが核心なんだ」とはっきりさせて階級的団結をつくってきたからだ。
他方、ちまたには「情勢が厳しいから後退するしかない」と、労働者に屈服を強いる組合幹部があふれている。資本主義の繁栄のもとでおこぼれを追求する体制内労働運動にとって、「資本主義の危機イコール労働者の危機」なのだ。支配階級の思想そのものだ。
こうした支配階級のイデオロギーと決別した労働者階級の時代認識を持つことが、労働者の団結をつくるのだ。貴重な提起である。
第2章 労働者を蔑視する思想との決別
もう一つは、労働者観の問題である。
中野さんは「はじめに」で、「僕は、労働者を軽んじ、蔑視(べっし)する考えに取り込まれない限り労働者は必ず勝てると確信している」と述べている。95年の初版の「はじめに」にもある言葉である。
一見、当たり前のことのようであるが、実は全然当たり前ではない。
実際、既成の労組幹部は、「労働者を軽んじ、蔑視する考え」に取り込まれた連中ばかりだ。「ニンジンをぶら下げなければ労働者はついてこない」という民同。労働者を選挙の「一票」としか見ず、いざ自己解放闘争に立ち上がるとたたきつぶして回る日本共産党。労働者を「埃(ほこり)」と呼んではばからないカクマル。20年間も解雇撤回闘争を闘ってきた誇り高き労働者に対して「闘争団はもうもたない」と言って、闘争終結にひた走る国労闘争団の一部指導部も同じだ。
労働者階級が無力なのではない。こうした勢力の「指導」が労働者のエネルギーを奪ってきたのだ。
逆に、動労千葉のように現場労働者の力をとことん引き出し、労働者に依拠して闘った時に、労働者は必ず勝てる。そのことは、たまたま千葉で国鉄に就職して運転職場に入った労働者たちが、動労千葉の組合活動をとおして、クビをも恐れず当局・国家権力と渡り合う不抜の労働者集団となっていったことからも証明されている。
中野さんは言う。「難しくはない。団結して立ち上がれば道は切り開かれる」。よし、この道を進もう!
第3章 青年労働者たちへの熱きエール
本書は何よりも、青年労働者たちへの熱きエールである。
プロローグでは青年労働者たちの闘いに触れ、「すぐに勝てなくてもいい。『負けていない』ことが重要だ。闘いを始めたその本人が屈しなければ、必ず仲間ができる。必ず団結が広がる」と提起。そして「労働者の階級的利害を本当に貫く者が主流派にならなければ、労働者の勝利はない。労働組合を甦らせること、この一点に労働者階級の未来がかかっている」と呼びかけている。全国の職場で行われている地をはうような格闘こそ、必ず労働者の勝利を開くものになる。
11・2集会へ最後の1週間、この本を一人でも多くの労働者に届けて活用しよう。
(上原祐希)
〔注文は労働者学習センターへ〕