2008年10月27日

労働者の力示すスト 世界を覆う ボーイング・スト7週目 ギリシアのゼネスト 世界は革命情勢

週刊『前進』06頁(2365号2面1)(2008/10/27)

11・2労働者集会 UNITE!
 労働者の力示すスト 世界を覆う
 大恐慌−資本主義を終わらせる時
 会社の損害1日1億㌦ ボーイング・スト7週目
 ギリシア 民営化反対のゼネスト
 世界は革命情勢

 世界は革命情勢だ。プロレタリア社会主義革命で資本主義にとどめを刺そう。社会の真の主人は労働者だ。この力を取り戻すために労働運動の現状を変えよう。世界大恐慌情勢の中で労働者の闘いに質的転換が起きている。労働者の力を示すストが世界を覆っている。日本の労働者も続こう。11・2労働者集会1万人結集運動はその出発点だ。

 第1章 外注化攻撃に積年の怒り! アメリカ

 米航空機大手ボーイングのスト(写真)は10月19日、7週目に入った。航空機を組み立てる機械工労組(IAM)のメンバーを中心に2万7500人がワシントン、オレゴン、カンザスの各州でスト入り。シアトル工場は操業停止に追い込んだ。生産ラインの停止による会社側の損失は1日1億㌦(約100億円)とも言われる。
 焦点は、アウトソーシングの制限や雇用保障など。多くの労働者が直面する問題のため全米の注目を集めている。
 ボーイング社は数年間、国際競争力の強化を理由に徹底的なリストラとアウトソーシングを進めてきた。正規労働者は6万人から2万7千人へ激減した。下請け労働者が正規労働者と同じラインで働かされている。
 ボーイング社は世界最大級の航空会社だ。米で唯一の大型旅客機メーカーで、軍用機やミサイルなどの開発や製造も行う巨大軍需産業だ。このストは米国の航空宇宙産業に大きな打撃を与える。IAMは米航空整備士組合(AMFA)と比べて保守的と言われていたが、体制内指導部の制動を打ち破り決起し始めた。

 第2章 銀行か教育か8万人がデモ フランス

 10月19日、教育労働者ら8万人がパリに集まり、サルコジ政権の教育改革に反対してデモを行った。サルコジは、世界大恐慌の中で金融資本の救済を最優先し、雇用や賃金、教育や社会保障を削減している。「教育という公共サービスを破壊するな」「銀行か教育か。私は選択した」のスローガンが掲げられた。デモは教員大幅削減への反撃だ。サルコジ政権は07年に8500人、08年に1万1200人を削減。来年も1万3500人の削減をたくらむ。

 第3章 鉄道労働者が24時間のスト イギリス

 イギリスのRMT(鉄道・海運・運輸労組)に所属するスコットランドの鉄道信号機労働者450人が10月7日正午から24時間ストライキを行った。主要幹線を始め6割、約千本が運休となった。
 全世界を覆った「暗黒の1週間」(10月6〜12日)を前後して、英国ではストが続発。5日には、技術関係の郵便労働者800人が労働時間延長に抗議して各地で24時間スト。ウェールズのゴミ収集労働者が1交代制から2交代制への変更を阻止するストに入った。
 6日には、国防省の管轄下の射撃訓練場で、管理や整備の労働者数百人が「インフレ率以下の賃上げ」を拒否してストに入った。「ストが国防省にまで及んだ」と耳目を集めた。

 第1節 銀行救済に反対!

 10月10日夕方、ロンドンの金融街シティーで数百人の学生や労働者や市民の活動家たちが銀行救済案に反対デモ。シティーの活動を停止させた。「救済ではなく、銀行家を刑務所へ」は米国と同じスローガン。デモ隊はイングランド銀行に突入しようとして警備の警官隊と衝突。

 第4章 交通も報道も終日ストップ ギリシア

 国営航空の民営化や生活費高騰に抗議して、ギリシャ労働総同盟(GSEE)の組合員10万人が10月8日、全土で24時間のストを行った。国鉄や地下鉄、バスなど公共交通機関が朝の通勤時から運行を停止した。アテネ国際空港も全面欠航となった。一部民営化された電話会社や国営電力会社もストに突入。国営病院でも一斉にストに突入した。
 注目は、テレビ・ラジオ・新聞などの24時間の報道ゼネスト。朝5時から終日、テレビやラジオは音楽とフィルム映像が流れるのみ。新聞も発行されなかった。

 第5章 賃金支払え!数千人が包囲 中国

 10月15日に広東省で玩具メーカーの二つの工場が突然閉鎖され、6500人が賃金未払いのまま路頭にほうり出された。数千人が未払い賃金の支払いを要求して工場門前に結集した。
 中国のおもちゃ生産は世界の7割を占める。ほとんどが米国に輸出されていた。米市場の縮小と金融恐慌による資金繰り悪化のダブルパンチでたちまち工場閉鎖に至った。賃金は先月から支払われていなかった。
 浙江省でも工場労働者1千人が賃金滞納に抗議、市の交通を一時ストップさせた。この工場は中国の最大手企業の染色工場で3千人の労働者に6カ月の賃金未払いが続いていた。当局は労働者の気勢に恐怖し、政府責任で滞納賃金を全額支払った。

 第6章 民営化反対に鉄道労組立つ 韓国

 イミョンバク政府は10月10日、「第3次公共部門先進化計画」を発表した。地域暖房公社、韓国電力、発電会社、ガス公社などエネルギー関連機関と鉄道公社、放送広告公社などの民営化や合理化だ。日本の国鉄分割・民営化とまったく同じ。韓国政権は、小泉改革をモデルにし、竹中平蔵を大統領特別顧問に据えている。
 韓国政府は、鉄道公社の整備保守部門や駅業務の統廃合を狙う。鉄道労組は「収益を出すという名目で正規職を減らして非正規職を量産し、下請けのまた下請けに業務を外注化するのが政府の言う民営化だ」と弾劾している。鉄道公社の赤字6400億ウォン(約640億円)も「誤った鉄道構造改革政策の結果」だと指摘。高速鉄道(KTX)建設などの費用を公社に転嫁したと批判している。