2008年10月20日

1万人集めきろう 辻川慎一労組交流センター代表運営委員が訴え 資本主義を終わらせる道筋が11・2

週刊『前進』06頁(2364号2面1)(2008/10/20)

11・2労働者集会 UNITE!
 11・2日比谷に1万人集めきろう
 辻川慎一全国労働組合交流センター代表運営委員が訴え
 資本主義を終わらせる道筋が11・2にある

 11・2全国労働者総決起集会への1万人結集実現にむけて、全国労組交流センター代表運営委員の辻川慎一さんに残り2週間の課題と展望について語っていただいた。(編集局)

 第1章 賃金奴隷制度の廃止こそが問題の核心だ

 ——世界金融大恐慌、労働者階級にとって何が問題でしょうか?
 9月から1カ月余りで世界の株式市場の時価総額が1400兆円消えたそうです。このマネーゲームの元手は全部、労働者や農民・漁民が働いて生み出した富です。労働者から搾り取った富を、資本主義の中枢である巨大金融機関がマネーゲームに投じたあげく、そのツケを労働者に回そうというのがブッシュ政権の金融救済策です。130兆円もの税金を投入して銀行家たちを救う。大増税は必至です。なけなしの年金や保険までパーにされたアメリカの労働者は「大金持ちを救うな! 刑務所行きだ!」と怒りを爆発させている。当然です。
 日本もヨーロッパも巻き込んだ世界大恐慌です。すでに大規模な倒産が始まっている。命を削って働いた結果が、路頭に投げ出されるという事態。ドル紙幣が紙くずになる危機も迫っている。日本の労働者の低賃金構造で蓄えた膨大な外貨準備が紙くずになる。食糧の輸入も止まる。労働者階級は激甚な怒りをたたきつける時ですよ。
 新自由主義——端的にいうと民営化と規制緩和ですが、その象徴が派遣労働の解禁。“労働者の保護はナンセンス”とされて低賃金の底が抜けた。労働災害は、ここ3年で9倍。去年1年だけで6千人が殺されています。工場法(1911年)以前の状態にあっという間に戻った。
 こうして搾り取った莫大(ばくだい)な金で、大銀行や大証券会社がマネーゲームをやって大損を出した。それが金融大恐慌です。この資本家たちを救うんですか? 冗談じゃない。労働者が今こそ本気で立ち上がって資本家とその政府に引導を渡す時なんです。
 70年代くらいまでは、まじめに働けば食っていける状況がそれなりにあった。ただし「社会の矛盾に目をつぶれば」。今は「まじめ」だけではダメで競争に勝てないやつは退場しろと言われる。死ねということです。中高一貫校で熾烈(しれつ)な競争。大学も資格競争。「勝ち組」以外はワーキングプア。それで秋葉原事件です。こうなったのは誰の責任か? 政府・自民党と日本経団連じゃないですか。
 それを中山(前国交相)発言は何ですか? “労働組合が悪いからこんな社会になる”と言っている。またしても! 本当に許しがたいと思いませんか? 搾取され、殺され続けた結果がこれです。「自由・平等・友愛」それ自体がうそっぱちだったわけです。日本でも倒産が大量に起きます。30年代みたいに農村という受け皿もない。都市にスラムができます。
 この事態は何ですか? すべての富は労働者が生産したものです。なぜ資本家が税金で救済されて、富を生み出した労働者が殺されるのか。もう黙っていられない。“賃金奴隷制を廃止しろ”という根本問題での労働者の怒りの反乱、つまりプロレタリア革命が完全に問題になっている。

 第2章 一人の決起が決定的に体制揺るがす時代

 ——支配階級はこの先、何をやろうとしているのでしょう?
 茨城県職員への人事評価制度の「試行段階」が始まりましたが、試行段階だというのに自己評価を白紙で出したら処分です。この中で2人の労働者が自殺に追い込まれた。これが民営化です。
 JRのライフサイクル(注1)も当局は非妥協的です。労働者の団結を破壊するために意識的に攻撃を組織している。労働者のどんな反乱も、体制がぶち壊れる問題に発展するからです。
 敵は本当に後がない。ブルジョアジーが考えていることは、労働者の反乱を阻止する一点です。労働者が団結して立ち上がった瞬間、アウト。だから凶暴なんです。
 この敵階級の構えをなめてはいけない。体制内労働運動の指導部がそうですが、従来の延長で敵の攻撃を考えると取り返しがつかない敗北に陥る。これまでの回路では何も解決できない時代なんです。労働者階級とはどういう存在か、資本主義とは何か。その根本問題で闘わなければ何も解決できない。これを青年労働者が端的に表現したのが「労働運動の力で革命をやろう」のスローガンです。
 いま職場の現実は、実に本質的です。労働者が団結して職場の力関係を変えない限り、何一つ問題が解決しない。民営化でこの関係がむき出しになった。
 資本や当局は、現場の労働者、労働組合がどのくらい団結しているかを実によく見ています。賃金で差別し、正規・非正規で分断し、徹底的に競争をあおる。負けた労働者は「自己責任」。
 賃労働と資本の非和解的対立という本質問題を明らかにして闘いを提起できるかどうかです。レーニンが「商品交換は階級対立を隠すものだ」と言っていますが、あたかも正当な契約だと言い張ってむき出しの搾取関係を隠す。隠せる限りで成り立ってきた。
 金融大恐慌は資本主義の正体をむき出しにした。一切の幻想が吹き飛んだ。「自己責任」とか「小さな政府」のうそも全部あらわになった。だから革命情勢なんです。

 第1節 団結すれば絶対負けない

 労働者が団結すれば絶対に負けることはないということです。資本と闘わなければ生きていけない現実の中で、本当の人間的共同性を取り戻すことです。団結した瞬間、どんなに攻撃が強まろうと跳ね返す力が生まれる。ここにブルジョアジーの支配を根本的に打ち破る力がある。これが労働者階級の本質です。
 G8サミット粉砕の6・29渋谷デモでは“おれたち、私たちが資本主義を倒す主体なんだ”というものすごい力がみなぎった。絶対反対で、団結の一点を総括軸に闘った。ここに08年の闘いのすごい地平がある。マルクスが『共産党宣言』で、労働者は時々勝利するが、現象的には敗北の積み重ねだと言った。そして団結が勝利を保証する、「万国の労働者団結せよ」と締めくくった。この決定的な核心問題を、青年労働者・学生自身が実践の中でつかみ取った。彼らの闘いのなかにマルクス主義があるんです。これが08年に闘い取った地平です。
 関西で脱落した反動グループは、このマルクス主義の核心を否定した。「労働運動の力で革命をやろう」というスローガンに反発し、敵意をむき出しにした。この対極に階級的労働運動路線の勝利の地平がある。
 6・29デモの地平は、ごく普通の労働者が、真の人間的共同性の回復と階級的団結のために、時には平然と死地にさえおもむくことを示したことにあります。だから資本も権力も反革命も、この事態に震撼(しんかん)したわけです。この地平の上に、各地で階級的労働運動の前進を示す勝利の報告がなされている。
 非正規職雇い止めが全国で連続する中、埼玉でゆうメイトの青年労働者が雇い止め撤回をかちとった。動労千葉派全体の闘いが効いているんですよ。敵は現場にひとつの団結が生まれただけでぐらつく。ここに自信を持つべきです。一人、二人と現場から決起する。一見小さな勝利ですが、ものすごいエネルギーのルツボです。現場の労働者が一人でも動き出すと、資本は例外なく大動揺する。
 「一人、二人の決起」を軽視してはいけない。かさにかかって職場をオルグし組織化する。一度や二度跳ね返されてもひるまず、自信をもって組織化しよう。1万人決起は、間違いなくこの路線の中にあります。
 ………………………
 注1 ライフサイクル攻撃 破綻したJR体制を取り繕うために、40歳以下の運転士を駅務に強制配転する攻撃。

 第3章 4者・4団体路線は産業報国会への道だ

 ——労働運動の路線をめぐる鋭い激突が起こっています。その核心は?
 現在の日本の労働者総体を規定している問題として、80年代の国鉄分割・民営化攻撃以来の民営化攻撃があります。民営化に対する態度は路線の根幹にかかわります。
 1971年の金・ドル交換停止(注2)、73年オイルショック(注3)を経て、世界経済は74〜75年恐慌に突入。戦後の経済成長はここで基本的に終わった。世界中の企業が「減量経営」に転換し、リストラ・首切り・低賃金が世界を覆った。
 この「減量経営」とどう闘うかが一貫して路線闘争の焦点になってきました。帝国主義の危機の時代に労働組合がどう闘うのか。経済成長を背景にした民同型の労働運動ではまったく闘えない。
 私は78年国鉄入社ですが、「35万人合理化と闘おう」と言ったら協会派が目の色を変えて反対した。これは何なのか?
 75年の国鉄スト権スト(注4)に対して、それまでは民同ダラ幹となれあいでやってきた権力・支配階級が激甚に反応して、202億円の損害賠償訴訟を動労と国労を相手に起こした。ブルジョアジーの強烈な階級意志を示したわけです。これまでの、民同型労働運動で労働者を支配するあり方を含めて全部否定するというメッセージです。
 これに震え上がったのが動労カクマルです。78年段階で早くも「貨物安定輸送宣言」を出して反合理化・運転保安確立の闘いとストライキを放棄した。同時に「三里塚闘争と一線を画す」と宣言した。「減量経営とは闘わない」「国家権力とは一切闘わない」という白旗を掲げた。そればかりか、三里塚農民との労農連帯をかけて空港へのジェット燃料輸送阻止を闘った動労千葉を何度も武装襲撃した。まさにファシスト労働運動です。こうした連中の存在に支えられてかろうじて国鉄分割・民営化は可能になったわけです。

 第1節 動労千葉排除では勝てない

 これに真っ向から抵抗して闘ったのが動労千葉です。本物の労働組合は帝国主義の危機の時こそ闘う。これが動労千葉労働運動です。激烈な路線選択をかけて動労千葉は79年、動労本部からの分離・独立をやり抜いた。日本の労働者階級全体の死活的利益を命がけで守り抜く路線闘争だった。
 そして動労千葉は分割・民営化に反対するストライキを唯一闘い抜き、民営化による不当解雇に真っ向から立ち向かう国鉄1047名解雇撤回闘争を生み出した。動労千葉と1047名闘争は、こうして新自由主義の全面化をめぐる国家権力・支配階級との最大の激突点となった。
 国鉄分割・民営化攻撃の中、85年に労働者派遣法が成立している。ブルジョアジーはこの時点から新自由主義的な諸政策を戦略的に開始しています。戦後労働運動がかちとったあらゆる労働条件を解体し、労働者をバラバラに分断する——労働運動の根本が問われた。
 いま国鉄1047名闘争で、国労本部など「4者・4団体」(注5)による幕引き・全面屈服が大焦点になっています。何が問題の核心なのか? 歴史をみれば疑問の余地はない。金融恐慌の時代、帝国主義の危機の時代に労働者階級が闘うのか屈服するのか——労働者階級全体の運命を決める路線の分岐点なのです。だから動労千葉はもちろん、日本の労働者全員が当事者なんです。
 国家的不当労働行為と真っ向から闘いぬき、ブルジョアジーを徹底的に追いつめてきた1047名闘争を解体するために、敵の出した条件は「一審判決マイナス・アルファ」ですよ。びた一文譲らないけど屈服しろと迫っている。「解雇撤回」を掲げて20年間闘ったすべてを捨てろ、と。ここまで言われて頭を下げているのが4者・4団体です。そして、「民営化とは闘わない」と決めた旧総評系の官公労、自治労や教労の体制内指導部が全力でこれを支えている。
 問題は完全に明らかでしょう。国鉄闘争を終わらせることで、4大産別を始めとするすべての労働組合運動を終わらせるということです。
 日本の労働組合全体が産業報国会になだれ込んで侵略戦争に協力した戦前と同じ事態が起きるかどうか。いまがまさに分岐点です。それが「4者・4団体による解雇撤回の放棄」問題なんです。階級的労働運動路線として提起してきた根本問題が問われている。
 いま4者・4団体派は1047名闘争の当該である動労千葉排除のための10・24集会に向けて血まなこになっている。
 動労千葉は、国鉄分割・民営化攻撃に対して2波にわたるストライキを敢行し、40人の解雇を始めとする国家権力の大攻撃と対峙し抜いてきました。JR本体の闘いと解雇撤回闘争を結合して闘うことが1047名闘争の勝利の唯一の道であるという原則を堅持して闘い抜いてきた動労千葉を排除して勝てるはずがないんですよ。本来は「5者・5団体」でなければならないんです。この一点の中に、4者・4団体路線の不正義性、反動性が示されています。
 ………………………
 注2 金・ドル交換停止 ドルを世界にばらまいた戦後復興と経済成長は70年初頭に行き詰まり、米ニクソン政権は金・ドルの交換を停止。以後、基軸通貨=ドルは裏付けを失った。
 注3 オイル・ショック 73年10月第4次中東戦争後、OPEC(石油輸出国機構)加盟のペルシャ湾岸6カ国は原油価格を2倍に引き上げた。
 注4 スト権スト 75年11月に公労協がスト権奪還を掲げた統一スト。国鉄の列車は8日間ほぼ全面ストップした。
 注5 4者・4団体 
国労闘争団全国連絡会議・鉄建公団訴訟原告団・鉄道運輸機構訴訟原告団・全動労争議団の4者/国労・建交労・国鉄闘争支援中央共闘・国鉄闘争共闘会議の4団体。

 第4章 動労千葉派の団結をつくり1万人決起へ

 ——11・2日比谷へ、残り2週間の課題は。
 結論は明白です。ブルジョアジーと労働者階級がともに絶対に引けない激突点、解雇撤回を捨てた4者・4団体の屈服路線を絶対に許さないことです。われわれ動労千葉派が11・2日比谷野音に文字どおり1万人を集めきることです。これが労働者階級全体を必ずとらえる。この時代認識と路線に確信を持って、職場で絶対反対の旗を掲げて団結をつくってほしい。
 「政治闘争や革命運動は党がやるものであって労働組合がやるものではない」という関西の脱落反動分子の主張の誤りは明らかです。職場は、ブルジョアジーと労働者階級との熾烈(しれつ)な権力闘争の激突点です。政治闘争と職場闘争を分離させる考え方はまったく間違っている。職場で闘えないものが街頭で闘えるわけがない。6・29渋谷デモが証明したことです。最後は党の問題ですが、党と限りなく一体の存在である労働組合がいかに闘うかが、労働者階級全体の命運を決する。党の問題や政治闘争を職場と労働組合から切り離した反マルクス主義、スターリン主義・社会民主主義の誤りを今こそ突破しなければならない。
 労働者階級は〈麻生自民党か小沢民主党か>の選択に未来を託すことはできません。大恐慌に直面した瞬間、自民も民主も資本主義の危機を救う一点で一致した。動労千葉を先頭に世界の階級的労働運動と連帯する11・2日比谷野音に結集すること。ここで資本主義社会そのものを終わらせる道筋を一点の曇りもなく明らかにすることです。
 帝国主義の危機の時代にあらゆる党派が動揺した時、ボルシェビキ党の党員と労働者だけが「ついにおれたちの時代が来た」と生き生きと燃え立った歴史があります。いままさに革命期の行動原理が生きる時代です。動労千葉派が各職場で断固として突出したとき、1万人決起は間違いなく実現できます。残り2週間、ここに全労働者階級の未来が宿っていることを徹底的に訴えよう。