2008年9月29日

全学連大会/革共同・木崎冴子同志の記念講演

週刊『前進』06頁(2361号4面1)(2008/09/29)

全学連大会/革共同・木崎冴子同志の記念講演
 “監獄大学”打ち破る法大決戦で革命の時代の最先端切り開こう

 全学連第69回全国大会は多数の初参加者を結集してかちとられました(前号既報)。大会2日目(14日)に革共同の木崎冴子同志が行った記念講演を紹介します。(編集局)

 第1章 学生が大学の主人公団結し闘えば勝てる

 私はかつて法政大学において、全学連が日本共産党との1年余にわたる激しい激突にうちかって革命政権をうちたてた時代から、学生会館の建設、そして学生の全面自主管理をかちとる過程を闘ってきました。革命政権とは、全学連の合意・承認がないところでは、大学は一日も動かないということです。
 当時、密集せる反動との激突の中で、学生会館を造ろうという大運動が起こり全面自主管理をかちとりました。密集せる大反動をうち破った力は、全面自主管理の一点での全学の決起と団結でした。文連、学団連、全サークルが夜間泊まり込み闘争に入り、55年館前広場で夜間の集会やデモを行う。深夜立ち入り禁止の中で機動隊が導入され、数波にわたって数百人の学生が逮捕されたこともありました。
 しかし大学で学生が主人公として名乗りをあげて全学的に団結すれば、どんな当局や権力の反動もうち破れるということです。そしてこの学生会館が04年に破壊されて以降、今日にいたる非和解の激突に入っています。
 今、東京拘置所で19人、富山拘置所で1人、計20人の学生革命家が不屈に闘っています。末期の末期に突入した日本のブルジョア政治支配を倒し、労働者階級とともに権力をとろうという思想とその不屈さが「罪」だとされています。そしてこの全学連大会の会場周辺には大量の公安警察が群がっています。本大会の過半を占める初参加の学生の仲間たちにとっては、ことごとくが衝撃的なことと思われます。

 第2章 学生運動が労働者の決起の先端を開いた

 なぜこういうことが起こるのか。大きくは、何人も否定しがたい革命情勢の象徴としてあるということです。そのうえで三つの事柄を明らかにしたいと思います。
 一つは、日本帝国主義・資本主義の成立過程とその階級支配、そして学生運動の位置です。明治維新で日本資本主義が登場し、それが帝国主義の成立過程と重なった。そして1871年のパリコミューン。半年であれ、初めて労働者の権力がうちたてられる歴史的な事態と重なり合って日本の近現代史が始まりました。支配階級は絶えざるプロレタリア革命の恐怖のなかで、その圧殺を階級支配の核心に置きました。ヨーロッパ階級闘争の経験から、あらかじめプロレタリアートの危険性を予知していたわけです。実際、幕末以来の人民反乱のうねりの中から後発資本主義として出発したがゆえに、「血を滴らせながら生まれ出た資本主義」としての姿をあらわにしていました。
 確かに、日本の労働者階級の闘いは強力でした。自由民権運動、秩父困民党蜂起、足尾銅山事件や労働組合結成など、連綿たる階級闘争の歴史が始まります。第2次世界大戦の戦前、戦中から戦後革命期へ、人民の闘いは一貫してプロレタリアートの革命性につき動かされてきました。
 問題はマルクス・レーニン主義の党の不在であり、唯一の労働者階級の指導勢力が日本共産党スターリン主義だったことです。しかし1957年、ついにスターリン主義と決別し、反スターリン主義・革命的共産主義の運動が学生運動から登場し、60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争という戦後史に残る巨大な闘争が学生を先頭に闘われ、労働者階級全体にうねりをあげて広がりました。日本のプロレタリアートの革命的決起を主導し、闘いの先端を切り開いたのは学生運動でした。
 プロレタリア階級闘争と学生運動について、1917年ロシア革命を勝利に導いたレーニンは、08年に「学生運動と今日の政治情勢」という提起を行っています。05年革命の時に、大学の自治が学生たちに約束されましたが、05年革命の後の超反動期、ストルイピン反動によって自治が奪われ、08年にペテルブルク大学の学生がストライキを宣言し、全国の大学にストを呼びかけました。
 この時、社会民主労働党の学生グループはいかなる態度をとるのか。学園主義的でプロレタリア的でないから統一して闘えないという当時の召還主義的な潮流に対して、レーニンは「その態度は間違いだ。05年革命後の超反動期に学生が学園的テーマであれ闘いを開始したことは、プロレタリアの闘いが勃興する兆候だ。積極的に加わり、革命的スローガンで宣伝・扇動し、組織づくりに全力をあげるべきだ」と訴えました。
 そして「学園闘争は政治闘争の始まりである。小さな学園紛争の小さな始まりでも偉大な発端である。必ず偉大な続きがあるだろう」と言っています。監獄のような大学から学生が決起することは、階級全体の決起へ必ず発展するということです。これは幾度にもわたる歴史が示しているとおりです。

 第3章 増田体制は「教育」という階級支配の道具

 二つは、法大・増田体制をどう考えるか。学生88人の逮捕—22人起訴という現実をとおして、マルクス主義的に明確にさせたいと思います。
 貧困ビジネスのトップに立つ増田は、5・28〜29で38人の学生を権力に売った直後の商業新聞で、とんでもないことを言っています。「大学は自由で何でもできる。自分がやりたい課題を、教員や様々な施設を利用して追究でき、社会に出て役に立つことも学べる」。
 このウソとペテンは現実によって暴かれていますが、マルクス主義的にもはっきりさせたいと思います。
 マルクスは『共産党宣言』で「学問とは、教育とは、階級支配の道具である」と看破しています。ブルジョア社会の上部構造は、ブルジョア的私有財産に規定された階級性に貫かれており、プロレタリアートにとって敵対的な存在だということです。プロレタリアートはすべての上部構造を粉砕しなければ身を起こすこともできません。
 教育は、その基礎をなす社会的諸関係の枠内で、その諸関係に規定されて行われています。マルクスが『ドイツ・イデオロギー』や『共産党宣言』で強調したことは、支配階級の思想が社会の支配的イデオロギーになっており、被支配階級、プロレタリアートにとって、時代の思想は抑圧的、暴力的で、虚偽であるということです。
 階級支配は賃労働と資本の関係そのものですが、ブルジョアジーとプロレタリアートが非和解的関係にあるという事実は、イデオロギーにおいても同じなのです。
 今少し、マルクス・エンゲルスが『フォイエルバッハ論』や『反デューリング論』で言っていることから引用しますが、哲学・イデオロギーは二つの潮流の対立・激突の歴史でした。唯物論と観念論の対立であり、プロレタリアートの思想以外はすべて観念論なのです。ブルジョアジーの哲学・イデオロギーはすべて観念論だということです。なぜか?
 階級が発生し、ブルジョアジーは生産関係から外れ、すべての生産物は労働者が生み出している。しかし労働者は奴隷となり、ブルジョアジーが生産物を独占して主人公になっている。この根源での転倒が生存の不安をもたらすわけです。それが哲学の問いになり、観念論が生まれた。哲学はギリシャ哲学の時代から、「汝(なんじ)、自己を知れ」「真理とは何か」が基本テーマです。それは生産関係から切り離された支配階級と小ブルジョアの生存の不安を表現したものでしかないのです。
 プロレタリアートにとって真理とは、生産と労働の現場、革命的実践そのものにある。だから自らが何者なのかの問いかけと、真理とは何かの問いかけは一体で、すき間がありません。ブルジョアジーは支配階級にはなったが、真理と生存と社会への不安を抱えこんでいる。これが大学や学問を起こすブルジョアジーの動機なのです。階級支配の不安から、手練手管で真理とか科学を言い立てる。こうした根源的不安を、最末期帝国主義—新自由主義は、いま法大を監獄化し国家暴力をあらわにして表現しているのです。
 増田は、かつてマルクス主義経済学を専攻し、70年闘争で学生全体をのみ尽くした革命的決起の洗礼を受けています。だから徹底的に支配階級の側に階級移行して、ペテンと虚偽で延命しようとしています。20人の学生たちのイデオロギーと実践の確信、満身の勝利感から逃げ回ることを許さず、法廷にもひきずり出すことです。学生の力で増田の正体を暴き、法大の全学的決起をつくり出しましょう。

 第4章 ブルジョア独裁が崩壊し革命情勢到来

 三つは、革命情勢の到来です。
 革命情勢について、レーニンは、以下のことを強調しています。①古い支配の方法は崩壊し、新しい支配の方法は確立されていない、②誰もが現状の変革を望んでいる、というものです。
 安倍に続いて福田が政権を投げ出す日本の現状は革命情勢そのものであり、革命へのプロセスが日々始まっていると言えます。1年で2度も首相が辞任するのは、単なる政権の倒壊ではない。ブルジョア議会主義とブルジョア独裁の崩壊なのです。この歴史的事態に対置できるのはプロレタリア革命しかありません。
 世界の帝国主義・資本主義は、1974〜5年恐慌で基本的に命脈は尽きました。80年代から国家独占資本主義に代わって新自由主義攻撃を開始する。国独資とは、17年ロシア革命を背景に、29年大恐慌の中で、革命を予防するために国家が経済に介入する。国家財政を出動して公共事業をやり、雇用を確保して経済建て直しを図る。さらに年金や医療制度を国が整備するというものです。
 80年代に「例外なき規制緩和」「民営化」「自由競争のためにあらゆる社会的連帯を断ち切る」という新自由主義攻撃が始まりました。同時に資本家同士、帝国主義同士が市場・資源を奪うためにぶつかりあう。それが国家主義、戦争の衝動、軍備増強競争になる。実際にアフガニスタンやイラクをはじめ絶えざる戦争に入っています。
 この中で、世界で三つの大攻防がありました。アメリカ航空管制官組合(PATCO)の1万3千人解雇、イギリス炭労の10万人首切りに対する1年間のスト、日本の国鉄分割・民営化です。国鉄は40万人の職員が20万人に減らされ、200人が自殺に追い込まれました。だが、世界で唯一、動労千葉が85年に2波のストを打ち抜いて団結を守り、89〜90年の8波のストで1047名闘争団の歴史的登場をかちとった。世界の労働者の命運をかけて動労千葉が闘い、勝利し、世界の階級的労働運動を糾合しているのです。
 新自由主義がもたらしたものは三つです。一つは階級対立の歴史的な先鋭化です。世界で労働者のスト、ゼネストなどの大反乱が、体制内運動の指導部を食い破って始まっています。二つ目は、金融大恐慌とインフレをつくり出し、全世界の政府が明日に確信を持てない「噴火山上」に生きています。三つ目は、世界戦争の危機が日一日と深まっています。

 第5章 10・17法大闘争から11月労働者大集会へ

 とくに、二つ目の問題について述べます。
 新自由主義は、住宅バブルの終末段階でサブプライムローンを強引に拡大し、高利貸し的、略奪的な利益をあげ、破滅的事態をつくり出しました。金融工学なるものを駆使して証券化商品を膨大につくり、世界中をかけめぐった。そしてサブプライムローンの破産と差し押さえが相次ぎ、膨大な証券化商品が不良債権となり、アメリカをはじめ世界の大手金融機関が信用不安に陥り、連続的倒壊の危機に直面しているのです。
 米証券4位のリーマン・ブラザーズが負債総額63兆円で破綻しました。同3位のメリルリンチも身売り。2位のモルガン・スタンレーも身売り必至と言われ、世界最大の保険会社AIGが倒産必至で事実上の国家管理となった。完全に世界金融大恐慌への突入です。
 帝国主義経済の金融システムの根幹が破綻し作動しなくなった。その渦中で原油高・資源高を引き金にインフレが到来している。資本主義は、金融大恐慌とインフレが同時に爆発する歴史上にない危機のどん底です。
 労働者と学生の団結した力のみが未来と希望を決する時代です。敵階級が崩れ落ちようとする時ゆえに、労働者や学生に厳しい攻撃が襲いかかります。しかし一つひとつの闘いが敵をグラグラに揺さぶる力をもっています。法大での5・28〜29の革命的決起や7・24集会の大成功などが、支配階級の根幹を揺さぶっているのです。革命を引き寄せる最大の闘いが10・17法大闘争であり、11・2日比谷野音の国際連帯労働者大集会です。10・17から11・2の大結集で時代を切り開こう。獄中で不屈に闘う20人が100人の決起に連なり、500人〜1000人の決起に必ずや発展します。
 革共同は全学連の歴史的闘い、とりわけ法大決戦に胸高鳴る思いです。革命の壮大な事業をともに闘い抜きましょう。