2008年9月29日

〈焦点〉 労働者人民に毒食わせるのか 政府も「汚染米」の共犯者

週刊『前進』06頁(2361号3面4)(2008/09/29)

〈焦点〉 労働者人民に毒食わせるのか
 政府も「汚染米」の共犯者

 汚染米の食用転売事件で24日に警察が家宅捜索を行った。マスコミは「消費者をかえりみない悪質な食品業者」と三笠フーズを責めているが、ほかの業者も同様の不正を行っていた。政府も同罪だ。「金もうけこそすべて」という新自由主義の攻撃が、こんな不正をはびこらせてきたのだ。
 事件発覚直後、三笠フーズは労働者100人を一方的に解雇した。資本は不正行為でぼろもうけしたあげく、悪事がばれてピンチになれば、労働者の生活などお構いなしで首を切る——こんなことがどうして許せるだろうか。
 三笠フーズは、政府が非食用に販売した事故米を1㌔9円程度で買い入れ、書類上で転売を繰り返し、焼酎メーカーや製粉会社、米穀業者に1㌔50〜160円で売っていた。汚染米は、病院や学校、保育園、高齢者施設などでも消費された。コンビニのおにぎり、せんべいにも使われた。資本家の金もうけのために、労働者人民はカビや残留農薬入りの汚染米を食べさせられていたのだ。
 政府も共犯だ。だいたい非食用の汚染米をどうして食品業者に売るのか。事件発覚直後、太田農水相(当時)は、調べもせずに「人体に影響ないことは自信を持って申し上げられる」と業者をかばった。その後回収された米から基準値の2倍の農薬が検出された。
 5年間に96回行われた立ち入り調査も、あらかじめ調査日を知らせ、調査時間はほんの数十分など、おざなりなものだった。
 調査を行う農水省農政事務所の職員は公務員リストラの結果、10年前の約1万人から2300人に激減した。農政事務所の廃止すら検討されている。政府は職員に過重な負担と責任、労働を押しつけ、十分な立ち入り調査もできない体制にして、資本家のなりふり構わぬ金もうけを容認してきたのだ。農業・農民の切り捨てと公務員リストラ、食の安全の崩壊が一体で進行している。
 問題の米は、高関税で外国産米の輸入を制限する代わりに、ミニマムアクセス(最低輸入量)米として政府がアメリカやタイ、中国などから買ったもの。保管中にカビが発生したり基準値を超える残留農薬が検出された米を「非食用」として売りに出したものだ。
 政府は農家に減反を強制し、米価を崩壊させて農業・農民切り捨てを強めている。多くの農民が米作りだけでは生きていけない現実だ。秋田の農民は「年間の収入が80万円。肥料や除草剤の購入代金ですべて消えてしまう」「貯金を取り崩して食べるだけで精いっぱい」と苦しみを語っている(9月18日付東京新聞)。その対極で、資本家階級はこんなでたらめなやり方でもうけているのだ。
 貧しい労働者階級を詐欺同然の手口で食い物にするサブプライムローンと同様に、”金もうけのためならば労働者階級に毒を食わせようが、首を飛ばそうが、構うものか”という、資本主義の裸の正体がむきだしになっている。こんな資本主義社会は絶対に打ち倒すしかない。11・2労働者集会で労働者の団結の底力を示そう。