2008年9月22日

10・5三里塚へ 反対同盟と固く団結し農地強奪粉砕を

週刊『前進』06頁(2360号4面1)(2008/09/22)

北延伸阻止!10・5三里塚へ
 反対同盟と固く団結し新たな農地強奪粉砕を
 新自由主義攻撃と闘う砦=三里塚

 10・5三里塚全国集会は目前に迫った。反対同盟の呼びかけに応え、決戦の三里塚へ全国から総結集しよう。先の労農同盟論(本紙2358号)に続き、本稿では現下の三里塚現地攻防とエスカレートする成田空港の軍事化攻撃との闘いを中心に、10・5三里塚全国集会への大結集を訴える。10・5闘争の大爆発をかちとり11・2日比谷1万人結集へ総決起しよう。

 第1章 形変えた農地収用攻撃との全面激突

 福田内閣が倒壊した。すべてを市場原理に委ねる新自由主義攻撃に対して、動労千葉を先頭とする労働者階級と農民の怒りが福田打倒に導いたのだ。だが、戦争と新自由主義攻撃以外に日帝の延命の道はない。日帝ブルジョアジーは侵略戦争と改憲、新自由主義攻撃を極限的に激化させざるをえず、労働者の団結した力との激突は避けられない。全世界で労働者・農民のスト・デモ・暴動——生きるための闘いが陸続とまき起こっている。三里塚闘争は、この労働者・農民の決起とともに、新自由主義攻撃と全面対決し粉砕する最前線の闘いとして、新たな決戦段階に突入した。
 まず第一に、三里塚現地攻防が決戦であることを確認しよう。三里塚闘争は、暫定滑走路の北延伸攻撃との全面的な激突局面に入った。日帝・国交省、成田空港会社は「2009年10月末完成」にむけ北延伸工事を現在急ピッチで進めている。北延伸それ自体は、日帝の航空政策の危機の抜本的解決という点で、まったく意味がない。新設する誘導路は驚くべきことに滑走路南端を横切る異常設計、「へ」の字誘導路に加えて危険をさらに増幅させる。長さは2500㍍に留まり、飛行回数も微増するにすぎない。
 にもかかわらず突貫工事を強行する敵の狙いは、天神峰・市東孝雄さんの農地強奪と東峰地区の解体である。もって、北延伸滑走路と南側のすでに完成している滑走路をつないで3800㍍滑走路建設を強行する——これが航空政策の敗勢にあえぐ日帝ブルジョアジーの絶望的計画なのだ。ちなみに3800㍍は、北に延伸する320㍍と、暫定滑走路で北に平行移動した800㍍と、さらに平行滑走路本来計画2500㍍を加え、すでに滑走路と同じ強度で整備されている南端部200㍍を足して実現する滑走路長だ。
 この6月には国道51号線のつけかえトンネルが供用開始となった。「東峰の森」を破壊して強行された新誘導路工事は東峰地区を東西に分断し、その一方を空港内に取り込む攻撃だ。
 現地攻防を押さえる点でさらに重大なことは、この攻防が71年代執行阻止決戦以来の、日帝・権力による直接的な農地収用攻撃との闘いだということである。事業認定(土地収用法)を粉砕された日帝は、常軌を逸した農地強奪攻撃に踏み切っている。破産した土地収用法に代えて、民法や農地法による土地の「公用収用」の攻撃である。市東さんの農地取り上げ攻撃、天神峰現闘本部撤去攻撃、一坪共有地強奪攻撃がそれだ。
 さらに今秋、成田空港会社は市東さんの農地強奪のために新たな提訴の策動を強めている。空港会社は「08年10月12日をもって賃貸借契約を解除する」旨、1年前に一方的に主張しており、10月12日になるといつでも提訴可能な状況となる。
 06年9月の堂本千葉県知事の許可決定自体が不当だ。それに対して、市東さんは行政訴訟で提訴中だ。にもかかわらず、新たな「農地明け渡し」の提訴など断じて許せない。提訴を許さない闘いを10・5集会でたたきつけよう。
 さらに、市東さんの畑とともに誘導路の障害となっている天神峰現闘本部の建物をめぐる裁判は、裁判所(千葉地裁民事5部・仲戸川隆人裁判長)に実地検証をさせる闘いが決戦段階に入った。検証却下—拙速審理を粉砕し、闘いの拠点を守り抜かなければならない。9月25日の再開第3回弁論(要項別掲)に結集しよう。
 一坪共有地強奪裁判も含め、階級裁判としての三里塚闘争裁判は現地攻防と完全に一体だ。これらのすべてが三里塚反対同盟つぶし、闘争破壊のための追い出し工事だ。10・5全国集会はこの北延伸攻撃を見すえ打ち返す決戦突入集会である。

 第2章 アジア・ゲートウェイ構想粉砕の火点

 1980年代、中曽根の「戦後政治の総決算」攻撃に対して、動労千葉は分割・民営化の攻撃をうち破り階級の闘いを守り抜いた。三里塚闘争はこの動労千葉とともに階級的連帯をうち固め、新自由主義攻撃と真っ向から闘っている。それが今日、アジア勢力圏化とその戦略としてのアジア・ゲートウェイ構想を粉砕する火点となっている。
 日帝ブルジョアジーは、新自由主義政策の最も遅れた分野として航空と農業をあげ、このボトルネックを突破する政策としてアジア・ゲートウェイ構想を打ち出した。
 三里塚43年の闘いは、日帝の航空政策に致命的な打撃を与えている。財界のシンクタンクである航空政策研究会会長(岡田清=成城大学名誉教授)は、2006年9月に開かれたシンポジウムの冒頭で、「日本の空港政策は周回遅れ」とその破綻を認めている。
 韓国の仁川空港や中国の上海・浦東空港、タイのスワンナプーム空港、シンガポール・チャンギ空港などがすべて4000㍍滑走路を複数備え、中には3本も4本も持つものがある。仁川空港はこの6月に3本目の4000㍍滑走路を完成させ、さらにもう1本の準備を進めている。完成すれば年間離発着は53万回となる。
 他方、成田は完全に立ち遅れている。現在20万回、北延伸が完成しても2万回増えるだけだ。日本の地方旅客は大半が仁川に取られている。成田が地方空港と結ぶ路線は8路線しかないのに対し、仁川は日本の地方空港25カ所に直行便を持っている。その結果、西日本の旅客はもちろんのこと、東日本の旅客でも、仁川に直行便で飛びそこで乗り換えて目的地に行くという流れが完全に定着している。日帝は「成田パッシング(素通り)」という危機に追いつめられている。
 一方、貨物便でも成田は転落している(仁川がアジア第1位)。物流ネットワークの死命を制し、経済活動そのものと不可分に結びついている貨物便の分野ですら、成田は危機に陥っている。日帝支配階級の航空・空港政策の遅れに対する危機感は尋常ではない。
 すべてを市場原理に委ねる新自由主義のもとで、戦略的産業としての航空産業の破綻は日帝にとって致命的である。
 さらに新自由主義攻撃のもうひとつの柱が国内農業と農民切り捨て政策である。アジア・ゲートウェイ構想は「攻めの農業」と称する政策を打ち出した。「比較優位の農産物を海外に輸出する」というものだが、キャッチコピーにすぎず、真の意味は国内農業つぶしである。EPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)は、工業製品の輸出と引き替えに農業市場を開放し300万戸農家を14万経営体に極小化するものなのだ。さらなる収奪の対象とし矛盾を激成させる。
 この農業政策は、戦後農地解放で闘いとられた農地法と農地制度の解体を伴って強行される。市東さんに対する「農地法による農地の取り上げ」という異常な事態は、日本全国で進められる農業切り捨て・農地破壊の象徴であり、「戦後レジームからの脱却」をかけた改憲攻撃の先取りなのだ。そして農地法撤廃攻撃が強まっている。耕作放棄地の資本による独占が狙いだ。
 06年7月にこの攻撃が市東さんに襲いかかった時、三里塚農民はこれを、日本農民全体にかけられている農業・農民破壊攻撃であるとらえ、300万農民の先頭に立って反撃を開始した。
 反対同盟は「農業のない社会はありえない」「今こそ農民と労働者が連帯してこの新自由主義攻撃と闘うべきだ」と訴え、日本の全農民に檄を発し、全力で闘っている。三里塚はまさに新自由主義攻撃と闘う砦である。

 第3章 成田空港の軍事化攻撃を打ち破ろう

 さらに三里塚闘争は、沖縄の闘いとともに米帝の先制核戦略、米軍再編攻撃と闘う最前線に位置する反戦闘争である。成田空港は朝鮮侵略作戦計画5027に組み込まれた大兵站(へいたん)基地だ。
 8月30日、8都県市合同防災訓練・千葉県会場訓練が、成田市を主会場にして強行された。自衛隊や県警、県、消防など130機関から5000人が動員された空前の大規模訓練である。昨年11月21日の「国民保護訓練」をエスカレートさせた戦争動員訓練であり、成田空港の軍事化を示す象徴的攻撃そのものだ。
 他方、昨年11月29日には成田空港の防衛を軍事目的とした新型ミサイル=PAC3が習志野基地に配備された。その移動展開訓練が今年7月28日、秘密裏に強行された。朝鮮半島情勢の緊張とも連動した成田の軍事基地化攻撃そのものである。断固粉砕しよう。
 PAC3の展開は、アメリカ帝国主義の核先制攻撃体制を支えるものである。東欧においては、米帝によるロシアへの先制攻撃とその迎撃のためのMD(ミサイル防衛)計画強行に対して反対闘争が爆発している。PAC3ミサイルの配備に反対する闘争が広範に起きている。
 成田空港は朝鮮半島有事の際の米軍の兵站拠点に位置づけられる戦略拠点である。防衛と攻撃は表裏の関係にある。アフガン、イラク——中東、そしてグルジアと侵略戦争が拡大し、朝鮮半島の危機が激成される中で、日帝にとって成田の軍事化は急務なのだ。三里塚闘争は、この攻撃と闘う反戦・反核、反権力闘争の拠点である。

 第4章 労農の団結を固め11・2労働者集会へ

 10・5三里塚全国集会で闘いとる課題を鮮明にしたい。
 第一に、北延伸工事による闘争解体攻撃と断固対決し粉砕する現地闘争陣形を圧倒的に強化することである。三里塚農民にとって営農と日々の生活が日帝権力と空港資本との闘いなのだ。北延伸工事(新誘導路建設)と対峙し闘う三里塚農民と断固連帯しよう。現地闘争に決起し、援農と現地調査で三里塚農民の神髄に触れ、闘いを学ぼう。
 第二に、10・5全国集会の直後にも予想される市東さんの農地強奪のための新たな提訴攻撃を満身の怒りで迎え撃ち、いま闘われている耕作権裁判と農地強奪阻止行政訴訟と併せて勝利することである。そのための広範な支援運動を闘いとろう。
 さらに実地検証をめぐる天神峰現闘本部裁判の決戦に勝利することである。9月25日の再開第3回弁論は文字どおり決戦だ。反対同盟は当日朝、千葉地裁包囲の集会・デモに決起し、戦闘的な法廷闘争に臨む方針を打ち出した。続く30日には市東行政訴訟が闘われる。審理打ち切り策動との緊迫した法廷闘争を展開する暫定滑走路認可取消訴訟控訴審、鈴木幸司さん・いとさんへの一坪共有地強奪裁判も含め、三里塚階級裁判闘争を全力で闘おう。
 第三に、10・5全国集会を労農連帯をさらに強固にうち固める集会として、大結集をかちとろう。三里塚闘争は動労千葉との労農連帯なしに闘い抜くことは考えられなかった。「労農同盟の萌芽」といえる闘いの砦を打ち固め、労農同盟軍として結合をさらに強固にうち固めるのである。三里塚闘争で培われた労農連帯に敵対し、動労千葉に悪罵を投げつける塩川一派を打倒しよう。
 10・5闘争から11・2労働者集会1万人結集へ前進しよう。
 (斉田 猛)