2008年9月15日

08年版「防衛白書」批判 給油新法継続と「恒久法」の制定にかける

週刊『前進』06頁(2359号5面2)(2008/09/15)

08年版「防衛白書」を批判する
 給油新法継続と「恒久法」の制定に延命かける日帝

 08年版「防衛白書」が9月5日に閣議で了承された。自衛隊は、日帝・資本家階級の利益を守るために、全世界の労働者階級に銃口を向けようとしている。日帝の戦争国家への道をはっきりと打ち出したのが今年の「防衛白書」だ。重大なことは、インド洋での給油活動を継続するための「給油新法」の延長と「派兵恒久法」の制定を押し出していることだ。絶対に許してはならない。労働者階級の闘いで両法案の制定を粉砕しよう。これは9条改憲阻止の闘いそのものだ。

 第1章 中国や北朝鮮への「脅威」論

 労働者階級の怒りと闘いで福田政権はぶっ飛んだ。戦後長きにわたった自民党政治支配体制の最後的な崩壊が始まった。支配階級はかつてない危機感を強めている。この絶望的な危機をのりきり、侵略戦争と革命鎮圧を行うために、自衛隊を一層強化しようとしている。「防衛白書」は日帝支配階級の危機と絶望的凶暴化を示すものだ。
 「白書」は中国や北朝鮮の「脅威」を叫び、”だから一層の防衛力=軍事力強化が必要だ”と正当化を図っている。その上で、より直接的に今日の日帝が狙っていることは、自衛隊を米軍のように他国の労働者階級を殺戮(さつりく)できる本格的な帝国主義軍隊に仕立てることだ。このために「国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組む」と強調している。帝国主義的な利益のための侵略出兵を「平和協力活動」などと呼んでごまかそうとしている。

 第2章 インド洋での給油継続狙う

 日帝は、来年1月で期限が切れる「給油新法」の延長と「派兵恒久法」の制定に全力を挙げている。08年版「白書」もそれを強調している。
 インド洋での海自の補給活動は「各国艦艇が海上阻止活動を実施する上での重要な基盤となっている」「この地域の平和と安全に貢献し、資源の多くを中東地域に依存するわが国の国益にも資するものである」と帝国主義的利害をむき出しにしている。
 これは、御手洗・日本経団連会長の発言にもあるとおり、日帝資本家階級の死活がかかった課題なのだ。今秋の臨時国会に給油法1年延長法案を提出することが、9日の自公協議で決定された。
 「派兵恒久法」についても「白書」で初めて1項目を設けた。「わが国が『平和協力国家』としての役割を果たす上で、……望ましく……有意義」であるとして、強く制定を求めている。
 派兵恒久法は、これまでの特別措置法を無期限の恒久法にするというだけの攻撃ではまったくない。自衛隊を侵略軍隊として他国に送り込み、血みどろの殺戮戦に突っ込ませることを前提にした侵略戦争法案である。
 自民党国防部会防衛政策検討小委員会がまとめた「派兵恒久法案」(国際平和協力法案、06年8月)を見てみよう。実に重大な侵略戦争法案だ。

 第3章 派兵恒久法は侵略戦争法だ

 第一に、自衛隊を海外派兵する要件を大幅に拡大・緩和している。これまでの特措法が一応の建前としてきた国連安保理決議がなくとも、「国際の平和および安全を維持するため」に必要と認めれば、自衛隊を派兵できるとしている。相手国の同意も不要だ。問答無用の侵略出兵法そのものだ。
 第二に、自衛隊の行える活動を、これまでの「後方支援」から、「安全確保活動」「警護活動」「船舶検査(臨検)」まで広げている。米軍がイラク、アフガニスタンで行っている戦闘行動に自衛隊も参戦できるようにする。「安全確保活動」とは、例えば「イラク人による米占領軍への抗議・抵抗運動の鎮圧」(政府の国会答弁)だ。
 第三に、武器使用に関して、「正当防衛や緊急避難」の場合だけでなく、「抵抗の抑止」にも使用できるとしている。労働者人民の抗議デモにも発砲できるのだ。使用する武器も「小型武器」に限定せず、重機関銃、戦車・装甲車、迫撃砲、地対地ミサイル、地対空ミサイルなど、一挙に多数の人間を殺傷できる本格的な戦闘行動を想定している。

 第4章 労働運動の力が戦争なくす

 このように、「防衛白書」と「給油新法」「派兵恒久法」は、日帝が絶望的危機を深める中で全世界の労働者階級にかけてきた大攻撃だ。絶対に粉砕しよう。
 安倍も福田も打倒され改憲攻撃が思うように進まない中で、日帝は嵐のような労働者階級の反乱の時代に突入してしまった。日帝は帝国主義世界体制の「最弱の環」だ。団結した労働者の闘いが日帝の危機をストレートに激化させ、革命情勢を現実の革命に転化できる時代が来たのだ。自衛隊=帝国主義軍隊を解体しよう。階級的労働運動、労働者の国際的団結の力で自衛隊兵士を労働者階級の側に獲得しよう。
 職場・生産点で資本家階級やその手先=体制内労働運動勢力と非和解的に闘いぬき、労働者の階級的団結を強固に発展させていくことこそが勝利のかぎだ。この闘いに敵対する日本共産党や塩川一派の叫ぶ「反戦」や「改憲反対」など、まったくニセモノだ。
 帝国主義を打倒し、労働者が全世界の権力を握り、資本による賃労働の搾取・支配を一掃してこそ、戦争も軍隊もなくせる。その闘いの大前進をかけて11・2労働者集会に大結集しよう。