2008年9月15日

〈焦点〉 “労働者が権力とってやる” 福田辞任とブルジョア独裁の破綻

週刊『前進』06頁(2359号3面3)(2008/09/15)

〈焦点〉 “労働者が権力とってやる”
 福田辞任とブルジョア独裁の破綻

●ブルジョア独裁の歴史的破産
 1年前の安倍の突然の辞任に続いて、今度は福田が同じように政権を投げ出した。戦後の歴史にかつてないこの異常な事態は、一方で日帝が政治的にも世界の帝国主義の「最弱の環」であることを突き出すと同時に、他方では戦後の自民党支配の崩壊、選挙と議会をつうじたブルジョア独裁体制の最後的破産を、衝撃的にさらけ出した。
 レーニンは、第1次大戦勃発(ぼっぱつ)後の1915年当時の世界情勢について、「政治的危機は現にある。一つとして、明日に確信をもっている政府はない。……あらゆる政府は噴火山上に生きている」と述べている(「第2インターナショナルの崩壊」)。今やそれと同じような革命的情勢が日本でも世界でも、現に成熟してきている。
●福田政権打倒した根底的な力
 安倍政権と同じく福田政権も、小泉構造改革以来の新自由主義攻撃の本格的展開とその破産という情勢に根底から規定された政権であり、資本主義・帝国主義の体制的な危機と破綻にあえいできた政権である。郵政民営化の強行や労働者派遣法の大改悪で小泉改革が生み出したものは、何よりも2千万人の青年労働者の非正規雇用化と耐え難い貧困・格差の拡大であり、怒りの反乱への決起であった。安倍や福田の統治能力、政策遂行能力を喪失させた「ねじれ国会」も、まさにこの新自由主義攻撃の破産の帰結である。
 福田に辞任を強制し、政権を打倒した根底的な力こそ、2千万人の青年労働者を先頭とする労働者階級と、農民、漁民などすべての人民の激しい怒りだ。そしてこれと結合して、体制内労働運動の屈服、裏切り、総転向を打ち破り階級的労働運動を全力で推進してきた動労千葉と、それを軸とした動労千葉派の存在と職場・生産点での闘いが、福田を追い詰めてきた。それはまた全世界で激発するスト、デモ、暴動と連帯し、日韓米の労働者国際連帯を発展させてきた。
 そしてこれを背景とした5・28〜29法大決戦の爆発や6・29サミット粉砕決戦の世界にとどろいた圧倒的な貫徹が日帝権力と福田とを痛撃した。さらには弁護士戦線の司法改革反対・裁判員制度粉砕の闘いの大前進が権力と福田に肉薄し追い詰めた。世界的な革命情勢の中でのこの階級的・国際的な闘いの発展こそが、民主党・連合や1047名闘争を解体する4者・4団体などの体制内勢力の総屈服と敵対を突き破り、ついに福田を辞任に追い込んだのである。
●日米同盟の危機と内政の破産
 同時に、国際帝国主義の「最弱の環」=日帝の政治委員会として、福田は外交と内政で完全に行き詰まり、政権を投げ出した。
 外交という点では日米同盟の危機と破綻である。その最大の問題は、年内で期限が切れる対テロ新特措法(給油新法)を臨時国会で成立させる展望が立たず、インド洋から再び海自補給部隊を引き揚げざるを得ない事態に、福田が戦慄(せんりつ)したことだ。
 日帝は、安倍辞任による改憲戦略の後退、世界戦争危機と世界金融大恐慌の爆発という情勢下で、侵略戦争衝動と歴史的無準備性のギャップにあえぎ、日米同盟は歴史的危機に直面している。日本経団連の御手洗が9月8日の記者会見で、給油新法の延長を「断固支持」と表明したことは、帝国主義間争闘戦で敗北することへの激しい危機感の表れだ。
 内政問題で決定的なことは、小泉改革の柱であり“日帝再建プラン”としての「2011年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化する」(骨太方針Ⅵ)という大路線を、麻生と公明党が組んで骨抜きにしてしまったことだ。福田はこれに打撃を受け内政運営の展望を失ったのだ。
 以上のことから明白なように、安倍に続く福田の突然の辞任は、自民党支配の最後的崩壊であり、ブルジョア独裁そのものとしての戦後の議会制民主主義的な統治形態の破産と崩壊である。その基礎には資本主義・帝国主義の決定的な体制的破綻がある。
●「労働者に権力をよこせ!」
 誰が首相になろうが、民主党が政権を取ろうが、この危機は絶対に打開できない。新自由主義を絶望的に貫き、戦争・改憲の攻撃を強行する、強権的で極右的・ファシスト的なブルジョア政治家と政権以外は、またすぐ吹き飛ばされるであろう。しかしそれは階級矛盾と階級激突をいよいよ激化させ、革命情勢をさらに促進する。
 今、歴史的に問題となっていることは、ブルジョア独裁に代わるプロレタリア革命である。労働者が生産と社会の真の主人公として権力を取ることだ。「労働者に権力をよこせ。労働者が権力を取って社会を運営する」の決意と気迫に満ちた闘いこそが求められている。今こそ「労働運動の力で革命をやろう!」ということだ。選挙や議会での決着ではなく、プロレタリアートとブルジョアジーの激突こそが新たな歴史を開く。11・2労働者集会こそプロレタリア革命勝利の道だ。
 職場と街頭で、自民党総裁選の大キャンペーンと「解散・総選挙」の政治的激浪に真っ向から立ち向かおう。民営化攻撃容認の4者・4団体路線を粉砕し、一律大幅賃上げ要求と「生きさせろ!」ゼネストの貫徹へ、11・2集会1万人結集をかけて闘おう。