2008年9月 8日

〈労農同盟〉の力で空港廃港へ 10・5三里塚闘争 市東さんの農地を守りぬこう 白川 賢治

週刊『前進』06頁(2358号4面1)(2008/09/08)

〈労農同盟〉の力で空港廃港へ
 10・5三里塚闘争に大結集を
 日帝の農業切り捨て許さず市東さんの農地を守りぬこう
 白川 賢治

 三里塚闘争は42年の闘いの歴史の成否をかけた決戦に突入した。福田政権崩壊で、日本帝国主義の体制的危機は新たな段階に入った。国策としての成田空港建設も、すでに破産を突きつけられたに等しい。だからこそ国土交通省、成田空港会社はますます見境のない絶望的な農地取り上げ、農民追い出しの攻撃を激化させるだろう。今こそ全国の労働者・農民の怒りと結びつき、反対同盟の呼びかけにこたえ、10・5三里塚全国集会に大結集しよう。10・5の勝利に向けたアピールを2回にわたって行いたい。今回は「労農同盟論」を、次回は日帝との攻防論および軍事空港論の観点から訴える。

 第1章 全世界で農漁民の決起が続いている

 今日、世界金融大恐慌のもとでの急激なインフレの爆発は、労働者階級を耐えがたい生活苦にたたき込んでいる。青年労働者は小林多喜二の『蟹工船』を読んで「自分のことが書いてある」と感じ、「生きさせろ!」の叫びをあげている。
 農民や漁民にも、このままでは農業や漁業で生きていけないという大変な危機が襲いかかっている。米作農家、畑作農家、酪農農家——あらゆる農家の決起大会、抗議行動、デモが各地で闘われている。飼料、肥料、燃料の高騰で、次々と農家が廃業を迫られているのだ。資本はオイルサーチャージや値上げで利用者、消費者に負担を転嫁するが、農民は赤字出荷を余儀なくされている。漁民も、燃料代の赤字を出しながら操業せざるを得ない現実にたたき込まれている。農家が餓死を強いられ、耕作放棄を強いられ、「死ね」と言われているのだ。これは労働者階級に襲いかかっている攻撃と一体である。
 日本だけではない。今や全世界で、労働者のストライキと並んで食糧暴動や農民や漁民の決起が続々と起きている。最末期帝国主義の新自由主義攻撃とその破産が食糧危機の爆発をもたらすと同時に、農業を破壊し、膨大な農民を流民化している。
 農業問題とは何か? 資本主義のもとではけっして解決できない構造的矛盾である。
 「耕作上の通常の需要に対しては常に過剰であり、耕作上の例外的または一時的要求に対して常に過小である」(マルクス)というとおり、農業において労働力の需要は不均衡で、資本家的生産は困難だ。そこでアンバランスな労働力需要を、家族労働の形で確保してきた。また、農産物を外国から収奪することによってのりきってきた。資本主義は、農業・農民問題を資本主義の内部において解決できず、矛盾はつねに外部に押しやってきたのだ。資本主義は、農民をブルジョアジーとプロレタリアートに分解し資本主義的生産関係に従属させることが、ついにできなかった。
 農業・農民問題は帝国主義の矛盾が最も激しくあらわれる分野として、帝国主義の分裂化・ブロック化の火種となる。ブルジョア革命が解決できない課題として、プロレタリアートの革命を準備する。
 このとき労働者階級が真に革命的な階級として、力を持った階級として登場することのなかに労農同盟を成り立たせることを可能にする一切の基礎がある。プロレタリア革命勝利に向けて、労働者階級には農民との同盟が不可欠であり、農民もまた資本主義、帝国主義のくびきから自己を解き放つためには労働者階級との同盟を必要としている。
 日本労働者階級の強力な援護を受けて、流血も逮捕も恐れず実力闘争を貫いてきた三里塚闘争こそ、労農同盟の生きた実践そのものだ。

 第2章 新自由主義攻撃と徹底対決の三里塚

 三里塚現地では地元住民の生活と営農を破壊しながら、2009年度内北延伸滑走路完成のために工事が強行されている。しかし滑走路が北に延びたところで、実際にはジャンボは飛べず、飛行回数を増やすことにもならないことが、マスコミにも暴かれている。
 では敵の狙いはどこにあるのか。この攻撃の圧力で三里塚反対同盟をつぶし、東峰地区の農民を追い出し、村をつぶして滑走路を南にも延ばす。もって南と北の滑走路を結んで3800㍍にすることだ。それは日帝にとって、破産した成田を何としても浮上させる起死回生の攻撃にほかならない。
 7月29日、WTOドーハラウンド締結交渉が決裂した。世界金融大恐慌の爆発が現実化する中、洞爺湖サミットに続いて、いやそれ以上に世界経済=戦後世界体制のアメリカ的統一の崩壊を如実に示した。
 アメリカ主導の自由貿易体制が破産し、分裂化・ブロック化が激烈に進行している。FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)が貿易構造の中心に座り、交渉・締結がさらに進行することは不可避だ。
 「最弱の環」として危機にのたうち回る日帝は、アジア勢力圏化へと激しく突き動かされている。医療・福祉の切り捨てや公務員の大量首切りなど労働者人民に犠牲を転嫁するとともに、危機の打開を東アジア経済圏構想、勢力圏構想に絶望的にかけている。
 そのための政策がアジア・ゲートウェイ構想である。大きく10の項目があげられているが、ポイントは新自由主義政策の最も遅れた産業部門としての航空と農業だ。これに三里塚が全面対決している。
 成田空港は物流の死命を制する国際ハブ空港の位置を完全に奪われた。航空貨物では韓国の仁川空港がアジア第1位となり、年間発着回数もほぼ肩を並べている。新潟など地方から欧米に向かう旅客の大半が仁川空港を利用している実態も報じられている。「成田パッシング(素通り)」というこの構造は象徴的だ。
 一方農業部門では、自動車やハイテク機器の輸出拡大のために国内市場を開放するという選択に打って出た。農業切り捨て、農家つぶしの攻撃だ。300万戸にまで落ち込んだ農家をなんと「14万経営体」(農家ではない!)にして、食料は基本的に外国から輸入すればいいというのだ。新自由主義がもたらした世界的な穀物価格の高騰で飢餓暴動が激発し、自給率向上が叫ばれているが、日帝の基本方針は変わっていない。アジア・ゲートウェイ構想の核心は、日帝がアジアの物流を制し、アジアを食料庫にすることである。
 こんな日帝の思惑で、農業が切り捨てられることなど、断じて認められるものか! 三里塚闘争に日本農民の未来がかかっている。市東さんの農地を守る闘いは日帝のアジア・ゲートウェイ構想=アジア侵略を粉砕する闘いそのものだ。
 それゆえ、反対同盟と動労千葉が打ち固めてきた労働者と農民の連帯闘争、国際連帯が決定的に重要なのである。

 第3章 プロレタリア革命の戦略的な同盟軍

 三里塚闘争は戦前戦後、連綿と続く労農人民の連帯闘争の歴史を今に引き継いでいる。動労千葉のジェット燃料貨車輸送阻止闘争は、その中でも決定的な意義を持っている。「農民は農地を武器に、労働者は鉄路を武器に」の闘いはまさに労農同盟の原形だ。
 そして市東孝雄さんの闘いに体現される「農地死守」こそ三里塚闘争の根幹である。「農地死守」は空港絶対反対と一体である。「空港建設は公共の利益だ」「国策に従え」というイデオロギーに対して、「絶対に農地は渡さない」「農民の生活を破壊し命を奪う国家こそ滅びてしまえ」と言い切って闘いぬいてきたのが三里塚闘争の神髄だ。
 反対同盟は、農民として生きる権利を貫くには日帝打倒=プロレタリア革命しかないことをつかみ取っている。反対同盟農民は「農地死守」が革命に向かう闘いだということを腹に据えてこれを貫いているのだ。だから「『青年労働者の力で革命を起こそう』というすばらしいスローガンに農民階層も加えていただきたい」(07年8月革共同政治集会での萩原進事務局次長の発言)と訴えている。
 反革命カクマルは三里塚闘争を「小ブルの財産擁護運動」と言って罵倒したが、反対同盟が血を流して闘いぬいてきた42年の歴史の中で、「農地死守」は真に革命的スローガンとなった。それが今、市東さんの農地を守る闘いとして闘いぬかれているのだ。
 夏季特別号の労農同盟論を徹底的に学び、これを深化発展させ、激戦激闘の中で築き上げた〈血盟>を守りぬいて、反対同盟の「農地死守」に何としても応えて闘おう。
 三里塚は重大な決戦段階に突入した。10・5全国集会は、北延伸攻撃と対決し、市東さんの農地を守るための総決起集会である。同時に動労千葉とともに築いてきた「労農同盟」を拠点として、全国—全世界に革命的情勢の到来を告げ知らせ、全人民に革命的決起を呼びかける集会だ。
 農民としての生活と人生をかけて、市東さんは農地を守ることを宣言した。革共同は市東さんとともに闘う。農地死守 ・実力闘争の先頭で市東さんの農地を守りぬく。9・1耕作権裁判における市東さんの怒りの陳述(別掲)を我がものとして、裁判闘争の広範な人民的陣形を何が何でも作り出そう。

 第1節 10・5大爆発から11・2へ

 いまや農民の決起は不可避、労働者の決起も不可避だ。日本の農民は生きるために労働者階級と連帯してともに帝国主義を打倒し、プロレタリア革命を実現する闘いに立ち上がる以外ないところにきている。その先頭に三里塚農民がいる。労働者は、決起した農民を革命と新社会の建設をともに担う主体として、プロレタリア革命の戦略的な同盟軍として獲得し、ともに闘うために全力を挙げよう。
 その大道こそ階級的労働運動と三里塚闘争の発展、すなわち10・5三里塚全国集会と、動労千葉など3労組が呼びかける11・2全国労働者総決起集会の一体的爆発だ。11・2集会の破壊に血道をあげ、階級的労働運動と三里塚闘争の結合に敵対する塩川一派を打倒して進撃しよう。
 5・28—29法大決戦から6・29サミット粉砕決戦を闘いぬいた青年労働者・学生の闘いと、国家・資本と真っ向から対決する「三里塚42年」が結びついたらどうなるのか。情勢は一挙に塗りかえられる。敵権力はそれを心底恐れている。
 青年労働者・学生を先頭に10・5全国集会に総結集しよう。10・5闘争の大爆発から11・2集会1万人結集の水路を絶対に切り開こう。
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暫定滑走路北延伸阻止 市東さんの農地を守ろう
憲法改悪絶対反対 成田を軍事基地にするな
10・5三里塚全国総決起集会
10月5日(日)正午
成田市東峰・反対同盟員所有地
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟