2008年9月 8日

国際連帯闘争の前進と教訓 国境越え賃上げゼネストを 村上和幸

週刊『前進』06頁(2358号3面2)(2008/09/08)

国際連帯闘争の前進と教訓
 “生きさせろ!” 国境越え賃上げゼネストを
 村上和幸

 現在の階級闘争の特徴は、資本と対決する職場の闘いが世界の闘いと結びついていることだ。資本が強制してくる”国際競争”に対して、労働者が”国際団結”で反撃している。多くの職場の仲間に前進ホームページの「速報版」のコピーが渡され、職場闘争の組織化の力になっている。労働者国際連帯は、全国の職場闘争のうねりを生み出している。

 第1章 日米韓でスト牽引 動労千葉労働運動“路線で団結する”鮮明に

 第1節 ●路線をともに築いた日米韓労働運動の連帯

 03年イラク開戦直後の動労千葉の戦時下の72時間ストから始まった労働者国際連帯は今、「一体化」に向かっている。日米韓の労働者が各々に闘ってきた次元から踏み出し、一体となって闘い、闘いの展望、路線そのものを、ともに切り開いているのだ。
 5月1日、ILWU(国際港湾倉庫労組)が米西海岸の29港湾を封鎖した。
 これは、ILWU本部の変質と対決して闘っているローカル10(第10支部)、ローカル34と動労千葉がともにつくり上げた路線でかちとられたものだ。「労働者を信頼し職場で闘う」「職場を止めて、戦争を止める」という路線だ。
 港湾封鎖は、世界の基軸国たるアメリカの経済も、強大な軍事力も、労働者の労働がなくては一つも成り立たないことを突きつけた。
 そしてこの闘いに、イラク港湾労組は占領下のストライキで連帯した。
 労働者階級は、侵略戦争という最大の分断さえのりこえて世界的に団結できる! このインスピレーションがたちまち広がった。
 ここから、体制内労働運動指導部に対する大反乱が次々に起こってきている。
 日本では、5・1で確信を持った職場で闘う階級的労働運動が、6・29サミット粉砕闘争を闘った。団結そのもので闘った渋谷デモの迫力は全世界の労働者をとらえた。
 これが、G8への根底的な打撃となり、福田打倒につながったのだ。

 第2節 ●労働者の国際的団結で核と闘う

 今年の8・6、8・9の「世界の労働者の団結で核と戦争をなくそう」というアピールは、全世界の労働者の心をつかむ。
 従来、反核運動は「核には核で対抗」というスターリン主義や没階級的な人道主義・平和主義によって抑圧され、歪曲されてきた。いずれも労働者蔑視(べっし)の思想だ。
 だが、原発も原爆も労働者の労働なしに存在できない。労働者の団結で廃絶できる。この勝利の確信で、世界の労働者が闘えるのだ。
 CAMS(校内の軍国主義に反対する連合)の代表アーリーン・イノウエさんが8・6、8・9の全過程をともに闘ったこと、そして彼女が属するロサンゼルス統一教組(UTLA)と日本の階級的労働運動の団結が飛躍的に前進したことは、その証拠だ。

 第3節 ●全米第二の教組が11月集会に参加へ

 UTLAは、6月6日に教育予算削減反対、民営化反対のストを打ち抜いた。そのUTLAのダフィー委員長が、8・6、8・9にメッセージを送ってきている。
 また、ダフィー委員長は、根津さん、河原井さんの闘争を支持し、その旨の書簡を都教委と日教組委員長などに送った。
 こうした書簡を不起立闘争を圧殺している日教組に送ることには、既成勢力との間で当然大きな摩擦がある。だが、全米第二の都市ロサンゼルスの教職員4万8千人の組合が、敢然と不起立支持の側に立つことを宣言したのだ。
 そればかりか、CAMSとUTLAは、カリフォルニア州教員連盟や同州AFL−CIO連盟(ナショナルセンターの州組織)に働きかけ、同様の決議と書簡をかちとっている。
 現在、世界各地で教育労働者の大ストライキが起こっている。インフレ=実質賃下げと新自由主義による教育破壊が主要テーマだ。
 教組のストが、「生きさせろ!」という階級全体の闘いを牽引(けんいん)している。教職員組合は戦略的な拠点なのだ。
 今年の11・2集会には、UTLA指導部と組合員が参加し、再び教育労働者の国際交流も実現する。CAMSホームページのトップは、11月集会への参加要請だ。

 第2章 “一つの組織で闘う” 民主労総ソウル本部動労千葉との団結深化へ

 第1節 ●現場の実践を基礎にした理念交流

 動労千葉と民主労総ソウル本部は、今年の「理念交流」で大きな一歩を踏み出した。(『コミューン』10月号参照)
 これは、ソウル本部が民主労総の危機を深刻に感じ、動労千葉との交流の中にその突破を求めてきたことから始まったものだ。
 もちろん、この場合の「理念」とは実践と別のものではない。03年以来の連帯は、「現場労働者の実践」を共通の土台にしてきたのであり、そのぶつかっている壁をいかに突破するのかということだ。
 動労千葉を始めとする日本の階級的労働運動は、世界最大の戦闘的な労働運動である民主労総に自分たちの壁を突破する多くのインスピレーションを受けてきた。05年から始まった訪韓団派遣では、毎年100人規模の労働者が自分の職場の仲間を組織化する確信を得てきた。
 だが、ソウル本部は、階級的労働運動の変質という深刻な問題との対決の中で、いかにして現場の闘いを組織していくのか苦闘し、自分たちこそが動労千葉から学ぶとして、理念交流を求めてきたのだ。
 8・15労働者・市民の集いでイジェヨン本部長は、「それぞれの国のバラバラの組織ではなく、一つの組織として新たに生まれ変われるよう、より一層の組織化に向けて頑張ります」と宣言した。
 労働者階級は、もともと一つだ。労働者の団結は世界的な団結としてしかありえない。
 11・2集会に絶対に1万人を組織しよう。