2008年9月 1日

〈特集〉世界は革命情勢! 「生きさせろ!」は革命の要求だ

週刊『前進』08頁(2357号5面1)(2008/09/01)

〈特集〉世界は革命情勢! 全世界をおおうストライキの大波
 労働者の力が荒々しくよみがえり始めた
 「生きさせろ!」は革命の要求だ

 第1章 資本主義の根本矛盾が背景に

 まさしく世界の労働者が覚醒し始めた。津波のように世界を覆うストは、その規模や影響力において戦後史を画する。最大の特徴は、全世界の労働者が「もうこれでは生きていけない」と不退転の決起をしていることだ。この一点にこそ資本家と労働者の非和解的階級対立がある。
 ストを牽引するのが鉄道・公共部門・医療労働者の闘いだ。ドイツでは機関士の非妥協的な闘いが「スト共和国」の転機を生んだ。仏独英では公共部門の労働者が数十万人単位でストに入っている。新自由主義政策による公共部門の民営化や公務員の大幅削減が背景にある。
 北欧や東欧などでは医療労働者がゼネストの先頭で闘っている。福祉国家の欺瞞(ぎまん)が暴かれている。
 全国規模に波及する前に転機となる闘いがある。原油高騰によるバスやトラック、石油関連の労働者の闘いが出発点となるケースが多い。それに公共部門など全産業の労働者が合流している。
 トラック労働者のストはギリシャに始まり、スペイン・ポルトガル・フランスへ拡大した。ついにはドーバー海峡を越えてイギリスに押し寄せ、商業新聞でさえ「ストの波に包まれるヨーロッパ」と呼ぶ情勢をつくった。漁民や農民の闘いも国境を超えた闘いになっている。
 大幅賃上げは全世界共通の要求だ。インフレや食料・燃料の高騰と政府の経済政策への怒りは大きい。また民営化、非正規雇用化との闘いも、労働者の生存をかけた重要な課題となっている。
 闘いはどこでも既成指導部と現場の労働者の分岐の中から組織されている。ドイツではナショナルセンターの裏切りに対し、まず機関士労組の非妥協のストが情勢を切り開き、郵政労働者や空港労働者の山猫ストが全産業の労働者の決起を引き出した。
 世界情勢の核心は、〈労働者こそ、この社会を転覆し、階級社会を廃絶できる〉〈今が資本主義を打倒して革命をやるチャンスだ〉——の立場で世界を見ることが大事だ。
 世界情勢を規定するのは、資本主義の根本矛盾そのものである。資本主義世界の巨大な生産力と富は、一握りの資本家階級が握っている。そして社会の生産活動の一切がこの少数者の利益のために組織されている。一握りの資本家が利潤を得るためだけに社会的な生産が行われている。この点こそが資本主義社会の最大の矛盾なのだ。
 賃下げ、非正規雇用化、民営化と規制緩和、国や地方の1100兆円の借金、トヨタやキヤノンの工場で働く青年労働者の半数が派遣で、時給幾らで一生奴隷のように働かされるのも、すべて資本家が社会的生産から利潤を引き出すためだ。
 それら一切合切が破産し始めたのだ。史上最大のバブル崩壊は、資本主義史上で最大規模の金融大恐慌を引き起こした。利潤を求める莫大な投機マネーは石油や穀物に殺到し、世界中の労働者を飢餓に陥れている。労働者の失業や生活苦のみならず、全産業の生産が空転し始めている。
 サブプライムローン危機が世界の金融市場に激震を与えてから約1年。サブプライム関連の損失は百兆円を超す。アメリカの政府系住宅金融公社も経営危機に陥っている。
 これまでは世界中から米国に資金が流れ込み、不動産や証券市場が高騰、資産価格の上昇で消費を拡大し、企業業績を底上げしてきた。が、サブプライム危機で歯車が一気に逆転したのだ。金融機関の不良債権が急増し、経営が悪化した金融機関は貸し渋りに走っている。米大手500社の営業利益は前年同期比で17%減。4四半期連続のマイナスになった。米経済は〈景気減速・住宅価格の下落・原油高騰・金融不安・ドル安〉の五重苦に入っている。
 日本も同じだ。自動車や電機など大手製造業は、仕入れや賃金をぎりぎりまで抑制し、バブル期を上回る過去最高益を更新し続けてきた。その結果が今日の労働者の状態である。昨年の雇用者の賃金総額263兆円は、景気後退期だった01年の269兆円を下回る。しかも日本経済はマイナス成長に突入した。
 これは資本主義の根源的な危機だ。もはやどんなに無茶なことをしても利潤が上がらない。それは資本主義の原理の否定そのものだ。資本主義は、本当に利潤が上がらなければ、生産力は破壊力に転化し、生産はストップする。

 第2章 勝利のチャンスが到来した!

 いま一つ重大なことは、資本主義の危機が世界中の労働者・農民の闘う力を覚醒させ、世界的な団結をつくり出していることだ。
 新自由主義政策で、労働者階級への攻撃と犠牲転嫁によって、かろうじて延命してきた資本主義のあり方が完全により巨大な矛盾に転じたのだ。
 資本主義を打倒して、革命をやるチャンスだ。革命の条件は完全に成熟している。社会主義の客観的前提条件はある。資本主義の危機の激化こそ革命の原動力だ。
 現代の資本主義世界は、ほんの一握りの巨大金融独占資本(大銀行と大企業)が生産を支配している。あらゆる産業を一握りの巨大資本が独占的に掌握している。原料・資源の占有に始まり、生産と分配、労働力や技師、交通機関に至るまですべてを系統的に組織し、支配している。
 そのことを逆に示すのが世界のスト情勢だ。労働者の組織的闘いは、今すぐにでも労働者がこの社会を運営できることを示している。高度に社会化された生産のあり方は、最初は少数の闘いでも、全産業のストに容易に発展する。社会の主人を、金融独占資本に代わって団結した労働者階級に置き換える現実性を示している。
 ストライキは資本主義社会の本質そのものから生まれる。労働者が団結してストを闘う時、事態は変わる。労働者がいない限り、資本家は生産できない。利潤を得ることはできないのだ。ストは、資本家と労働者のどっちが社会の主人かを労働者に教える。
 労働者が資本家に服従することを拒否し、ストで生産をストップさせることであらゆる分断や違いを超えて団結できる。労働者は階級全体のことを考えるようになる。
 動労千葉の田中委員長は、11・2労働者集会の課題として、「生きさせろ!」のゼネストを提起している。大幅賃上げという当たり前の要求に根底的な社会変革が宿る時代が来たと訴えている。
 世界のスト情勢に続く闘いをやろう。これ以上資本家階級の暴虐を許してなるか。あらゆる職場からストを追求して闘おう。「万国の労働者、団結せよ」が今秋の方針だ。11・2労働者集会に1万人を集めて、日本の労働者の力を覚醒させよう。