三里塚9月裁判闘争に結集を 空港廃港-10・5全国集会へ
三里塚9月裁判闘争に結集を
農地と天神峰本部を死守し空港廃港-10・5全国集会へ
8月6日、最高裁第一小法廷は、成田空港2期工事差止訴訟につき三里塚反対同盟の上告を棄却した。
これは地元住民の生活・環境・人権を徹底的に踏みにじり、国際民間航空条約(シカゴ条約)と航空法を政府自ら破って推進した2期工事計画と暫定滑走路建設を是認する超反動判決である。三里塚反対同盟は徹底弾劾の声明を発表し、8月末から9月にかけて5件に及ぶ集中的な裁判決戦(別掲)に怒りを込めて決起する決意を表明した。
これらの裁判は、それぞれが重要な攻防段階にあるだけでなく、秋の現地闘争と10・5三里塚集会——11月労働者集会に向かう前哨戦として決定的である。また市東さんの農地裁判は10月にもさらに1件、空港会社による不当提訴が予想される。反対同盟の呼びかけに応えて裁判傍聴と支援運動に立ちあがろう。
第1章 法廷も農地強奪との最前線
三里塚裁判闘争は日々闘われている現地闘争と完全に一体だ。
日帝は延命をかけた「アジア・ゲートウエイ構想」(アジア勢力圏化)で、新自由主義下の最も立ち遅れた産業部門として航空と農業をあげている。財界はハブ空港=成田の陥落に危機感を募らせる一方、暫定滑走路の延伸が完成しても、「へ」の字誘導道路によってジャンボ機が飛べないことを衝撃的に暴露した(『週刊東洋経済』7月26日号)。
その最大の障壁は言うまでもなく三里塚闘争であり、市東さんの農地と現闘本部建物である。これを取り上げるための裁判提訴との闘いは、現地実力闘争とともに農地強奪粉砕の最前線である。
さらに重要なことは、現在闘われている裁判闘争は、土地収用法を実力で粉砕した勝利の地平を引き継いでいることだ。
事業認定の期限切れが迫る1988年、追いつめられた日帝・国家権力は2期工事のための土地収用を画策、71年以来長期中断にたたき込まれた収用審理の再開を策動した。これが実力決起で粉砕されたことで、翌89年12月15日に事業認定は失効し、強制収用は不可能となった。
現在行われている裁判攻撃は、土地収用法が破産に追いこまれたため、別の法律や判例を使って土地を公用収用するという常軌を逸した手段による強奪攻撃である。農地法による農地取り上げ(市東さんの農地裁判)や、現存する登記物権を消滅したとする虚偽の主張による建物撤去(現闘本部裁判)、さらには民法にも規定のない「全面的価格賠償方式」による組合共有地強奪(一坪裁判、鈴木さんの一坪裁判)などがそれだ。収用委員会に代わって、いまや司法権力が農地強奪の前面に立っている。だから法廷は「農地死守」の徹底貫徹の場だ。原告席・被告席いずれに座ろうと、本質的に反対同盟と労働者人民が日帝権力、千葉県、空港資本を裁く階級裁判である。
第2章 千葉県を提訴市東さん裁判
5件の裁判闘争の一つひとつが重大である。とりわけ市東さんの農地裁判は決定的だ。
▼市東さんの農地裁判
現在二つの法廷で闘われている。耕作地の一部を「不法占有」だと成田空港会社が一方的に決めつけて明け渡しを求めて市東さんを訴えた民事裁判と、逆に賃貸借解除に許可を与えた千葉県知事を市東さんが訴えた行政訴訟である。
この闘いは何よりも市東さんの決意に鮮明な、三里塚の「農地死守」を体現する大裁判闘争である。さらに、戦後農地解放で人民が闘いとった農地法を使って農地を取り上げるという異常さのなかに、いま激しく進行する農業・農民切り捨てと農地法・農地制度の解体攻撃がある。まさにこの闘いは、新自由主義と改憲攻撃との闘いだ。
明け渡し請求訴訟の大前提をなす対象農地の位置特定の誤り、空港公団(1988年買収当時)による数々の農地法違反、これをなんら精査せずに契約解除を許可決定した千葉県。裁判は市東さんを先頭に敵の矛盾を突きまくる緊迫した攻防に入った。
さらに10月にも、空港会社が主張する賃貸借契約地の明け渡しを求めて、会社側が市東さんを不当提訴することが予想される。市東さんの決意に応え、ともに闘おう。
▼天神峰現闘本部裁判
旧現闘本部(木造建物)の存否を確定するための裁判所による実地検証を闘いとる大詰めの決戦攻防となった。登記物権の現存が立証されると空港会社の撤去請求は破産する。前回、6月12日の裁判で、三里塚反対同盟が身体を張った法廷闘争を展開、弁護団全員と萩原進さんの陳述をかちとり、仲戸川裁判長の拙速審理を粉砕した。この地平から、検証を断固闘いとろう。
第3章 一坪共有守る鈴木さん裁判
▼鈴木さんの一坪裁判
民法の規定にもない全面的価格賠償方式による共有物分割請求(一坪共有地の取り上げ)との闘いだ。
鈴木さんの一坪共有地は空港用地の外にある。千葉県は、貨物基地建設を口実に共有地をまとめ上げ、これを事業に供することなく空港会社に売り渡す計画だ。「地上げ」のための共有地強奪なのだ。空港用地の一坪共有地取り上げを決定した最高裁の反動決定(2008年1月17日)を粉砕し勝利しよう。
▼暫定滑走路変更認可取消訴訟控訴審
2期工事計画の破産が現実になる中、B滑走路を北に移動する暫定滑走路の違法計画を認可した運輸大臣(現・国交大臣)を訴えた裁判だ。
一審反動判決を粉砕するために、認可決定時の空港会社社長・黒野匡彦の証人尋問を闘い取ることである。黒野は東峰地区に対して、暫定滑走路建設を「謝罪」したが、他方で、北延伸工事が現に進み生活を破壊している。この決定的矛盾と空港建設の反動性、デタラメを暴き粉砕しよう。
そしてこれらの裁判の一つひとつが、10・5三里塚全国集会への総決起闘争だ。三里塚反対同盟と弁護団、傍聴席が一体となって階級裁判を闘いとろう。天神峰現闘本部裁判闘争と市東さんの農地裁判の支援運動を強化しよう。会員拡大とカンパ闘争を全力で進めよう。10・5三里塚現地に決起し、11月1万人大結集を実現しよう!
〔三里塚現地闘争本部〕
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第4章 裁判日程
8月28日(木)
鈴木さんの一坪裁判(原告/千葉県) 午前10時30分 千葉地裁
9月1日(月)
市東さんの農地裁判(民事訴訟 原告/成田空港会社) 午前10時30分 千葉地裁
9月10日(水)
暫定滑走路変更認可取消訴訟控訴審(原告/反対同盟) 午後3時 東京高裁
9月25日(木)
天神峰現闘本部裁判(原告/成田空港会社)午前10時30分 千葉地裁
9月30日(火)
市東さんの農地裁判(行政訴訟 原告/市東孝雄さん)午前11時 千葉地裁