8・15集会 “固く仲間の手を握れ” 『蟹工船』の精神よみがえる
8・15集会 “固く仲間の手を握れ”
『蟹工船』の精神よみがえる
日韓労働者の団結熱く
戦後63周年の8月15日、東京・なかのZEROで開かれた『「蟹工船」2008——国益と排外に憲法は屈するのか』と題した8・15集会(主催・8・15集会実行委員会)に、午前中の靖国闘争を引き継ぎ580人が結集し、11月労働者集会1万人結集へむけた決意を固めた。
第1章 “火を継ぐ者”(小林多喜二)は私たち
「地球全体が蟹工船であり、私たちがその乗組員。私たちこそこの地球を変えられる。その力は団結にある。それが今日の『蟹工船』2008のテーマです」——司会を務めた青年の福祉労働者の言葉だ。今年の8・15集会は、「搾り取るやつを憎め!」「固く仲間の手を握ろう!」と労働者に呼びかけた『蟹工船』の著者・小林多喜二のメッセージが現代に鮮やかによみがえった。
「新自由主義の福田政権を労働者人民の団結の力で打ち倒すことこそ、現代の蟹工船を突破する道だ」。葉山岳夫弁護士の主催者あいさつから集会は始まった。
織田陽介全学連委員長が、午前中の靖国闘争について、「独島問題による日韓労働者の分断を打ち破る核心的反撃ができた」と報告した。
「『蟹工船』から見えてくるもの——持続する『憤怒』を根源として」と題し、多喜二の出身校でもある小樽商科大学教授の荻野富士夫さんが、『蟹工船』感想文コンテストの選考委員を務めた経験をふまえ、講演を行った。
荻野さんは、『蟹工船』が書かれた意図について、「虐待の労働を描き人道的な憤怒を単に書こうとしたのではなく、虐待がどういう仕組み(帝国軍隊—財閥—国際関係—労働者)で行われているかを書こうとした」と明らかにした。さらに多喜二が「搾り取るやつを憎め、まず憎め!」「仲間の手を握れ!」と労働者に強く働きかけ、獄中書簡の末尾にはいつも「君の手を握る!」と結んでいたことを紹介した。
そんな多喜二も、初めは共産主義者になりきれない「ぐずぐず」の人道主義者だったという。小樽港湾争議や社研に参加するなかで「断然マルクシズム」と、ぶれなくなっていった。
「火を継ぐ者」——自分たちはつぶされるかもしれないが、また次の世代が「炎」をリレーしていく、という意味の多喜二の言葉がある。荻野さんはこの言葉を引用し、「先輩たちの何代がかりの運動の『今』が現代ではないか」と述べた。階級に生きた多喜二の精神を受け継ぐ講演だ。
蟹工船の現実そのものにたたき込まれている青年労働者・学生が次々と怒りの発言に立った。「人間を人間とも思わず、労働現場で奴隷のように働かせている連中を打倒したい。サミット粉砕の6月29日の集会とデモは私に勇気をくれた。団結すれば勝てるんだということも教わった」(解雇撤回を闘う派遣労働者)。「動労千葉のように闘う労働組合を若者は求めている」(民間労働者)。「7月24日に逮捕された3人の起訴は絶対に許せない。僕らの決起の後ろには2000万青年労働者がいる。法大から革命を」(法大生)
青年労働者のカンパアピール、松元ヒロさんのコントがこれに続いた。 後半は東京西部ユニオン・杉並区議会議員の北島邦彦さんの司会だ。平和遺族会全国連絡会代表の西川重則さんが有事法制下の靖国参拝は侵略戦争のためだと指摘、「民衆の国際連帯のみが戦争をとめる」と発言した。
第2章 11月集会への総決起を誓う
民主労総ソウル本部のイジェヨン本部長、クォンスンファ組織局長と動労千葉の田中康宏委員長が特別報告に立った。
イジェヨン本部長は、10%以下の支持率に落ち込んだイミョンバク政権を「労働者庶民の暮らしは困窮を極めているにもかかわらず、労働者殺しに血眼になっている。軍事独裁政権の復活だ」と弾劾した。さらに「動労千葉の同志たちが一つの波となって政権に立ち向かっている姿を見て本当にうれしい」とあいさつを送り、「両国間の壁を越えて闘えば、資本と政権による新自由主義の壁を打ち破れると確信します」「それぞれの国のバラバラの組織ではなく、一つの組織として新たに生まれ変われるようがんばります」と熱い国際連帯のアピールを発した(要旨別掲)。そして「闘って闘って帝国主義を打倒しよう!」と会場が一つになって韓国スタイルのシュプレヒコールを行った。
田中委員長は「今、労働者の怒りが渦巻き、闘いを求めている。一つの組織になろうという民主労総の熱い訴えを重く受けとめ、社会を変える中心に私たちが生まれ変わることを本当に決意しよう。本当の私たちの声を11月労働者集会に向けて訴えよう!」と決意を固めた。
闘いの現場からの発言では、「君が代」不起立・被解雇者の米山良江さんが「地域で米山の『君が代』不起立解雇を許さない会を立ち上げた」と報告。
「裁判員制度はいらない!大運動」事務局長の佐藤和利弁護士は「統治する側に労働者を立たせ分断支配するのが裁判員制度。絶対に廃止に持ち込む。11月には『裁判員名簿に搭載された』と、30万人に政府から国民に通知される騒然たる状況になる。ゼネストに向かって11月を闘おう!」と訴えた。
沖縄・辺野古で新基地建設阻止を闘う富田晋さんは「ここにいる仲間との団結にかけきる。11月集会に1万人集めきろう」と決意を述べた。
集会のまとめに鈴木達夫弁護士が「なぜ福田が倒れないのか。それはわれわれの力がまだ足りないからだ。攻めの改憲阻止闘争をやろう。一切の力をふりしぼり、福田打倒の11月労働者1万人集会へ! 『生きさせろ』ゼネストをやろう!」と熱烈に訴えた。
第3章 “一つの組織で闘おう” イジェヨン本部長の発言(要旨)
今日8月15日は、韓日両国でそれぞれの意味を持つ集会を行っています。韓国では、4月15日に子どもたちが公教育破壊に反対してロウソクを手にしてデモを開始してから100日を迎えた今日、6月10日、7月5日に続いて最大規模のロウソクデモが始まろうとしています。(写真下)
民主労総ソウル本部の本部長イジェヨンです。15万組合員を代表して同志たちに熱い心でごあいさつします。トゥジェン(闘争)!
イミョンバク大統領は昨年12月25日、60%台に迫る高い支持で当選しましたが、当選後7カ月たった今、10%以下の支持率に落ち込みました。
その理由は何か。国民の80%がBSE牛肉の輸入や大運河、異常な教育、公共部門の民営化に反対しているにもかかわらず、アメリカを訪問し、危険な部位も含めてすべて輸入することで合意したからです。「再交渉を行え」という国民の命令を受け付けず、自らの悪政を正当化するために、保守系新聞である朝鮮・中央・東亜日報を押し立てて国民を欺瞞(ぎまん)し、それでも足りず警察を動員し、盾、棍棒(こんぼう)、鉄骨、消火器や、催涙液の混ざった放水を、非暴力を叫ぶ市民に浴びせかけ、カトリックやプロテスタント、仏教の牧師や僧侶にまで暴力と弾圧を強行しているその姿が、過去の軍事独裁時代に戻ったことを示したからです。
韓国は、1997年12月のIMF事態以降、新自由主義の嵐の中で11年間、多くの労働者が構造調整によって職を失い、街角をさまようホームレスに転落したり、露天商として暮らすほかない辛い過去を経てきました。
しかし資本家は、IMFをとおして一層自己資本金を増やし、利益を得るために堂々と労働者の労働力を搾取する蛮行を行っています。
第1節 輸入阻止へゼネスト
イミョンバクは、一つの国の領主ではなくて、アメリカの牛肉を売りさばく肉屋にすぎず、財政状態が厳しいという理由で国家の公共企業をすべて民営化し、社会の公共性を破壊する商売人です。アメリカ・ブッシュの奴隷にすぎません。
これに対し民主労総は、市民の声に耳を傾け、市民の意に応えるために、米国産牛肉輸入を阻止するためのゼネスト闘争を展開しましたが、「不法ストだ」との理由でイミョンバク政府は、民主労総指導部3人と金属労組指導部3人に対する逮捕令状を出し、民主労総の首席副委員長を現在拘束しており、イソッケン委員長を含む5人は指名手配の状態にあり、民主労総の本部を警察車両と戦闘警察が取り囲んでいます。
韓国は今や過去の独裁政権に戻っています。「法と原則を守り、経済を立て直す」と豪語していたイミョンバクは、国の主権をアメリカにささげ、生活必需品の値段が日に日に跳ね上がり、労働者庶民の暮らしは困窮を極めているにもかかわらず、景気対策などどこ吹く風で労働者殺しに血眼になっています。
第2節 命がけの非正規職闘争
韓国では昨年7月、非正規職法が国会を通過しました。この法律が悪用されたイーランド・ニューコアやコスコムの非正規労働者の厳しい闘いについてご存じの方もいるかと思います。
でたらめな法律によって、1月9万円しかもらえなくても非正規労働者として生きなければならない労働者。その闘いは今も終わっていません。「不法派遣だ」という裁判所の判決が出ているにもかかわらず、4年間も現場に戻れず、鉄塔の上での籠城(ろうじょう)や今日で66日目を迎える断食籠城闘争を行っているキリュン電子の女性非正規職労働者がいます。
断食63日目の日、交渉は再び決裂し、使用者側に雇用についての反省がないため、分会長は塩と酵素すら断って、死に至りかねない状況です。
同志の皆さん。非正規労働者が路頭にほうり出され、自分の命を担保に資本や政権と闘わなければならない、こんなすさまじい現実がどこにあるでしょうか。
われわれは団結しなければなりません。いっときでも気を緩めてはならないことは、こうして闘う同志たちが示しているではありませんか。
労働組合を中心に団結の姿を示してこそ、われわれすべてが生きられるのだと思います。
誇るべき動労千葉、そして帝国主義の排外と新自由主義に反対して闘っているこの場のすべての同志たちに、尊敬と愛情を込めて深い感謝のあいさつを送ります。
第3節 動労千葉の同志と共に
私は、動労千葉から送られてくる映像などをとおして、同志たちが一つの波となって政権に立ち向かっている姿を見ました。本当にうれしかったです。闘う同志たちの姿を見て、民主労総も一層奮起しなければならないと思いました。
私は、小さな一歩から実践する同志たちの姿こそ、日韓両国の組織が交流してきた5年間の成果だと確信していますが、みなさんはどうでしょうか?
今後さらに一歩進んで、理念的交流を実践し、両国間の壁を越えて団結して闘えば、資本と政権による新自由主義の壁を打ち破れると確信します。
民主労総ソウル本部は、もっともっと現場の同志たちが学習し、資本家のための独裁政権を打ち倒せるよう持続的な闘いをつくりあげてゆきたいと思います。
それぞれの国のバラバラの組織ではなく、一つの組織として新たに生まれ変われるよう、より一層組織化に向けてがんばります。
こうした内容をスローガンにまとめました。力いっぱいこぶしを振り上げ、声を上げてください。
動労千葉を先頭に、新自由主義を打倒しよう!
労働者は一つになり、労働解放をかちとろう!
闘って闘って、帝国主義を粉砕しよう!