2008年8月18日

階級戦争と外への侵略 小泉改革=新自由主義攻撃の破産にあえぐ福田改造内閣

週刊『前進』06頁(2355号5面1)(2008/08/18)

階級戦争と外への侵略
 小泉改革=新自由主義攻撃の破産にあえぐ福田改造内閣
 階級的労働運動の力で打倒を

 8月2日に発足した福田改造内閣は、麻生太郎を幹事長に取り込んで、衆院解散・総選挙を完全ににらんだ、極めて反動的な政権だ。しかしそれが日帝ブルジョア政治委員会としての司令塔を欠いたボロボロの政権であり、また労働者階級人民の怒りに痛撃され、統治能力も喪失した危機的政権であることに、本質的に変わりはない。11月1万人大結集に向け、階級的労働運動を実践する動労千葉派こそが、今こそ福田政権打倒を真っ向から掲げて総決起すべき時だ。

 第1章 「骨太方針Ⅵ」は先送り

 そもそも福田政権の危機を根底で規定しているものは、小泉・安倍の構造改革路線--新自由主義攻撃とその破産である。
 資本主義・帝国主義の危機の爆発に対して、大企業・大銀行(金融独占資本)の利益と延命を最優先することでのりきろうとした小泉改革は、最末期帝国主義の新自由主義攻撃そのものであった。そしてその推進と破産が生み出したものは、労働者階級への民営化と労組破壊、無慈悲なリストラと賃下げ、非正規雇用化による貧困と格差の耐え難い拡大であり、医療・福祉と社会保障制度の解体、農業破壊と地方の崩壊であった。
 このすさまじい現実と労働者階級人民の怒りの爆発に、福田政権は痛撃されて、喘(あえ)ぎに喘いでいるのだ。そしてこの小泉改革を継承するのかどうかをめぐって、今や自民党と支配階級自身が分裂している。
 今回の内閣改造で、小泉路線を原理的に引き継ぐ「上げ潮派」なるものが排除されたり、郵政民営化の「造反組」2人が入閣したり、「2011年プライマリーバランス(国債の元利払い分と新規発行分を除いた基礎的財政収支)黒字化」(骨太方針Ⅵ)の先送り論が浮上したりという現実に、それははっきりと表れている。
 郵政民営化と並んで小泉改革を象徴するものが「骨太方針Ⅵ」である。これは日帝の未曽有の財政危機の中で、2011年までに「プライマリーバランス」を「黒字化」すると称して、国と地方で11・4兆円〜14・3兆円の歳出削減を強行し、特に社会保障費を毎年2200億円も削ることや(5年間で総額1兆1000億円)、公務員の大量首切り、公共事業費を削減することなどに核心があり、いわば「日帝再建の絶対綱領」ともいうべきものだった。
 しかし今や、これが世界金融大恐慌と景気後退・不況化に直撃されて、完全に吹き飛んでいる。それに何よりも社会保障費の削減が医療・福祉破壊をもたらし、後期高齢者医療制度は全人民的な大反乱にあっている。
 そもそも、昨年の7月参院選では金融独占資本本位の小泉改革に対する都市の青年労働者と地方の農民の反乱が巻き起こり、自民党(与党)が惨敗した。そして「ねじれ国会」で政策は遂行不能となり、結局は安倍政権自体がぶざまな形で打倒されたのだ。

 第2章 大恐慌と不況化が直撃

 この小泉改革の無残な破産の中で、福田改造内閣では幹事長・麻生や公明党を先頭に、「大型補正予算」「景気対策最優先」の大合唱が起こり、麻生などは「プライマリーバランス黒字化の先送り」を公然と唱え始めた。こうして「日帝再建綱領」としての「骨太方針Ⅵ」は崩壊がいよいよ進み、それと同時に中川秀直(元幹事長)ら「上げ潮派」との支配階級内の分裂が深刻化している。
 しかし世界金融大恐慌に直撃され、帝国主義の「最弱の環」としての日帝は、すでに昨年末から今年初めにかけ景気後退と不況に突入している。8月の月例経済報告で政府は「景気は弱含み」とそれを事実上認めた。また4〜6月期のGDP(国内総生産)速報値は年率で2・4%減と、マイナス成長に転落した。輸出も設備投資も個人消費も「総崩れ」になっている。 
 日帝は、02年2月以来の「戦後最長の大型景気」などと宣伝してきたが、その実態は一方での徹底的な対米・対中国輸出と、他方での無慈悲なリストラ、賃下げ、非正規雇用化で労働者からしぼり上げ、金融独占資本のみが均衡縮小的に「空前の高収益」をむさぼってきたものでしかなかった。だがそれも今や崩壊し、日本最大の製造業で高収益企業であるトヨタさえ、4〜6月期連結決算で営業利益が39%減という事態に陥っている。
 こうして恐慌・不況への突入の中で、支配階級の分裂も抱え込み、福田改造内閣の政権末期的な弱体ぶりはさらに深刻だ。「ねじれ国会」というガタガタのボナパルティズム的体制も打開しようがない。今や民主党・連合などの体制内勢力のどうしようもなさによってのみ、日帝・福田は支えられている。今こそ階級的労働運動の爆発的発展の力で、福田を革命的に打倒する時である。

 第3章 インフレと首切り攻撃

 政権末期的な危機にあえぎつつ日帝・福田がやろうとしていることは、一方で労働者階級人民への徹底的な階級戦争だ。
 福田は内閣改造で「増税派」(財政再建派)の与謝野(経財相)などを重用し、消費税大増税への攻撃を本格化しようとしている。社会保障費の毎年2200億円削減も貫くと言っている。世界的なインフレの爆発の中で石油や食料品の大幅値上げ攻勢にうって出ている。そして何よりも、公務員労働者に対する200万人の首切りや賃下げ、日本全体を丸ごと民営化する道州制導入攻撃を本格化しようとしている。その突破口となるのが、ファシスト府知事・橋下による「大阪維新」なる大攻撃だ。福田への怒りを今こそ爆発させなければならない。
 そして他方で福田の際立った超反動性は、外への侵略戦争攻撃である。福田はすでに宇宙基本法を成立させ、さらに「派兵恒久法」の制定に積極的だ。アフガニスタンやスーダンへの派兵も策動している。そして決定的なのが、来年1月で期限が切れる対テロ新特措法(給油新法)を衆院で「再可決」してでも延長し、インド洋に海自艦隊を派兵し続けようとする攻撃である。秋の臨時国会ではこれが大きな焦点、対決点となる。
 11月1万人総決起の決定的な課題として、階級的労働運動の力で日帝・福田政権を打倒し、プロレタリア革命をたぐり寄せるために総決起しよう。09春闘に向けて一律大幅賃上げ闘争の爆発、「生きさせろ!」のゼネストを実現するために闘おう。