2008年8月 4日

〈焦点〉 金融大恐慌下でインフレ爆発 原油・食糧暴騰が生活直撃

週刊『前進』10頁(2354号3面1)(2008/08/04)

〈焦点〉 金融大恐慌下でインフレ爆発
 原油・食糧暴騰が生活直撃

 政府・総務省が25日に発表した6月の全国消費者物価指数(CPI、05年=100)は、生鮮食品を除くベースで102・0と、前年同月に比べて1・9%上昇した。これは、消費税率引き上げの影響で物価が上がった1998年1月以来、10年5カ月ぶりの高い上昇率で、消費増税の影響があった時期を除くと92年12月以来、15年6カ月ぶりの高さである。
 だがこの数字自身は労働者階級の生活への影響を正しく反映していない。ガソリンの24・2%、灯油の42・2%と大幅に値上がり、食料品もスパゲティが33・2%、チーズが27・3%、チョコレートが22・8%と軒並み値上がりしたことに示されるように、生活に直結する食料品や燃料代がより大幅に値上がりしているのだ。これは実質的な大幅賃下げにほかならない。しかも社会保障解体による保険料負担などが大幅に増大している。世界的な原油や食糧価格の暴騰は、150%、200%という激しさになっており、それが今、国内価格に転嫁され始めているのである。
 原油や穀物価格の高騰の原因は、米帝のイラク侵略戦争への突入・長期化とか、気候変動による干ばつやバイオエタノール生産のための穀物消費などに核心があるのではない。米住宅バブル崩壊で巨額の国際的投機資金が原油や穀物市場に流れ込んだことによる。また米政府の景気対策のための資金供給が投機の拡大をもたらした。米政府の昨年12月から今年5月までの緊急の資金供給枠だけで3000億㌦(32兆円)にも及ぶ。
 資本家が原油や穀物への投機で膨大な利益を手にする一方、労働者は実質的な賃金切り下げで、ますます貧困を強制されていくのだ。29日に総務省が発表した6月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり28万1951円と、実質で前年同月比1・8%減少した。4カ月連続のマイナスだ。政府の景気対策が物価上昇を拡大し、それが消費支出減となって資本に跳ね返る構造になっているのだ。
 今や帝国主義世界経済は歴史的破局に突入している。アメリカの住宅バブルが崩壊し、それがサブプライムローン問題を引き金に世界金融大恐慌へと拡大し、今や世界経済全体が恐るべき収縮過程に入ろうとしている。しかもインフレの爆発へと転化しているのだ。そうした中で帝国主義は、資源や市場をめぐる争奪戦に突入しており、すでに米帝は、イラク侵略戦争として危機を戦争によって突破し、他帝国主義をたたきつぶすことによって生き残る道へと踏み込んでいる。
 その一方で今、全世界で労働者階級が巨大な決起を開始し、ストライキの嵐がアメリカ、ヨーロッパ、アジア、中東、中南米、アフリカと全世界で巻き起こっている。日韓米3国労働者の国際連帯は、膨大に決起する労働者階級の国際的団結の最先端をなすものだ。今やプロレタリア世界革命が、原理的な確認や夢としてではなく、具体的な課題、具体的な目標として据えられる時代が来ているのだ。