対角線 『蟹工船』情勢に水差す人
対角線
『蟹工船』情勢に水差す人
『蟹工船』ブームに水を差すような澤地久枝氏のインタビューが6月27日の毎日新聞夕刊に載った。
彼女は、蟹工船を読んで共感する若者に「もっと歴史を勉強しないと……小林多喜二がかわいそう」とお説教を垂れる。そして、戦後憲法のもとで組合やストライキ、団体交渉をやっても、「多喜二のように投獄されたり、殺されたりすることのない社会になった」「貴重な時代だ」と強調する。だから彼女は今、この憲法を守るために「9条の会」という「市民」運動の呼びかけ人の活動をやっている、という。
彼女が希望を見いだすのは、団結に目覚め、革命をめざして闘う青年労働者ではなく、9条を守る「市民」だ。労働者は歴史を勉強して革命じゃなく「市民社会」をめざしなさいと言っているように聞こえる。
だが「市民社会」とは資本主義社会のことだ。そこでは労働者階級と資本家階級への階級分裂が生じ、両階級が非和解的に対立し、階級闘争が闘われている。支配階級の資本家階級は国家権力を握り、労働者階級を暴力的に支配し、搾取を貫き、財産を増やす。その行き着いた果てが無制限の競争と搾取で戦争と貧困、失業をもたらす新自由主義だ。
こんな「市民社会」に未来はない。根本からひっくり返さなければ労働者階級は自由になれない。
革命を求めて虐殺された小林多喜二や戦後革命の敗北の歴史に本当に学ぶならば、戦後最大の革命情勢が来ている現在、今度こそ革命に勝利しようという結論になるはずだ。サミット決戦の大爆発に続き、夏の連続闘争で11月1万人決起への水路を開こう。
(K)