2008年7月28日

独島領有権主張を弾劾する 新学習指導要領解説書を撤回せよ 動労千葉が声明

週刊『前進』06頁(2353号3面2)(2008/07/28)

独島領有権主張を弾劾する
 日本政府は新学習指導要領解説書を撤回せよ
 動労千葉が日韓労働者連帯の声明

 文部科学省は14日、韓国の独島の領有権を主張する中学校の新学習指導要領の解説書を公表した。世界金融大恐慌への突入下で、日帝が排外主義と国益を扇動し、帝国主義的に領土の略奪に乗り出そうとする攻撃にほかならない。日韓労働者階級の団結こそがこれをうち破る力だ。動労千葉国際連帯委員会の弾劾声明が出されましたので紹介します。(編集局)
 日本政府は7月14日、韓国の独島(日本名「竹島」)を「日本固有の領土」と教えるよう求める新学習指導要領の解説書を発表した。これは、体制崩壊の危機に直面する日本政府が、帝国主義的領土略奪と国益主義・排外主義の扇動で危機を突破しようとする許し難い攻撃である。われわれはこれを労働者として、日韓労働者連帯の立場から、怒りを込めて弾劾する。日本政府は解説書を撤回し、今後一切、独島強奪策動を中止せよ。
 独島について学習指導要領の解説書で記述がなされるのは今回が初めてだ。解説書は「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ、北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である」としている。一方、千島列島南部4島に関しては「北方領土は我が国固有の領土」と明記している。 つまり、独島も「北方領土と同様、我が国固有の領土」と教えるよう教育労働者の仲間たちに強制するということなのだ。絶対に許すことはできない。

 第1章 ■労働者は「領土問題」にどういう態度をとるべきか

 われわれ労働者は、自国政府が叫ぶ「領土問題」にどういう態度をとるべきか。
 帝国主義国家が領土問題を持ち出す時、それはむき出しの領土再分割戦に乗り出すということであり、侵略戦争と帝国主義間戦争への突破口である。われわれ労働者階級は、「自国の領土」を叫ぶ支配者階級と同じ立場に立つことなどできない。とりわけ、侵略する側にある帝国主義国のもとで、その支配と闘っているわれわれ日本の労働者は、自分たちを支配する日本政府が「君たちもそう思うだろう」などと言ってくることに同調することなど絶対にできない。
 労働者や農民、漁民にとっての土地や海とは、労働と生活の場そのものであり、日本人も韓国人もない。それを勝手に線引きし、そこを生活の場とする民衆同士を争わせてきたのは帝国主義者どもだ。資本家階級だ。われわれは、そんな奴らと一緒になって韓国の労働者といがみ合うのか。このかん熱い労働者国際連帯の関係を築いてきた韓国の労働者と対立するのか。そんなことは絶対にありえない。
 ましてや戦争になれば直接殺し合うのは両国の労働者だ。われわれは韓国の労働者に銃を突きつけることを絶対に拒否する。

 第2章 ■独島は帝国主義戦争で日帝が朝鮮人民から略奪した島だ

 日本の帝国主義者が「歴史的経緯」を持ち出してくるのなら、われわれは歴史の真実を突き返してやろう。いつ、どういう経緯で独島が「日本の領土」になったのかを。
 19世紀の末より帝国主義国家への道を急速に突き進んできた日本は、朝鮮半島の勢力圏化をめぐってロシアとの間で戦争を引き起こし(日露戦争)、そのまっただ中の1905年、独島を「日本領土」と閣議決定して強奪し、島根県に編入した。
 この一点だけで真の歴史的経緯は明確だ。独島は、日本政府がどう言い逃れをしようとも、領土・勢力圏の再分割をめぐる帝国主義同士の戦争、朝鮮に対する侵略戦争によって日本政府が朝鮮人民から略奪した島なのだ。
 その後、サンフランシスコ条約などで独島の帰属がどうなったかは、アメリカのアジア支配の思惑なども重なりあって曖昧(あいまい)な点もあり、そのため論争も絶えない。しかしそもそも国際条約や国際法自体、帝国主義の支配を合法化するためのものであって、われわれ労働者とはあいいれない。帝国主義国の勝手な利害関係によって作られ、都合のいいように適用され解釈されているにすぎない国際法や国際条約の理屈など、われわれ労働者にとっては支配の論理そのものであり、何の正当性もないのだ。

 第3章 ■なぜ今日本政府は独島問題を持ち出してきたのか

 日本政府が今回、イミョンバク政権の反発を承知で敢えてこうした措置に踏み切ったのはなぜか。
 第一に、万策尽き果てた日本経済の崩壊的危機を乗り切るには、市場と資源を獲得するための領土再分割戦に打って出るしか道がなくなっているからだ。
 第二に、日本の労働者人民の怒りが沸点寸前に達している中、国益主義、排外主義をあおり立て、怒りの矛先を国外に向けなければならないところまで追いつめられているからだ。
 いま日本では、働いても働いても生きていけない青年労働者たちの怒りが沸点に達しようとしている。正規職も非正規職も、働き盛りの年代もお年寄りも、民営化と規制緩和、雇用破壊と社会保障制度の切り捨て、そしてうち続く物価高によって生活がずたずたに破壊されている。原油の高騰が漁民をはじめ全民衆の生活を直撃している。「これでどうやって生きていけというのか!」という怒りの声がうず巻いている。無差別的な殺傷事件などが毎日のように起こっていること自体、労働者の怒りが頂点に達し、資本主義の支配が成り立たなくなっていることを示している。この爆発寸前の怒りの矛先を卑劣にも国外に向けようとしているのだ。とりわけ独島領有権問題は、経済水域の問題とも絡んで、日韓の漁民が対立させられてきた問題だ。今回の事態は、原油高への政府対策を求めてストに立ちあがっている日本の漁民にたいする重大な攻撃でもあるのだ。

 第4章 ■国益主義・排外主義は団結破壊攻撃

 ここではっきりさせなくてはならないことは、国益主義や排外主義は、労働者階級の国際的団結を破壊しようとする支配階級の攻撃だということだ。日本政府は今回の問題で反日感情に敢えて火をつけ、日韓の労働者人民の間に分断のくさびを打ち込もうとしているのだ。
 いま日本では、韓国の100万ロウソク決起に感動し、「日本でもああいう闘いを実現したい」という声が高まっている。われわれ動労千葉は、韓国の100万決起と連帯し、帝国主義強盗どもの集まるサミットを粉砕するため、全国の仲間とともに東京と北海道で戦闘的デモをかちとった。日本の労働者の怒りと韓国の労働者の怒りが大きくひとつに結びつこうとしている。日本政府が何よりも恐れているのはこのことだ。だからこそ洞爺湖サミット粉砕に向け現地に向かおうとした韓国労働者・農民代表団の入国を異常なやり方で阻止し、そして今回、「領土」問題を使って分断を図ってきたのだ。イミョンバク政権もまた、韓国の100万決起の矛先を日本に向けるために今回の事態を利用しようとしていることは明らかだ。

 第5章 ■「われわれ労働者は国境を廃棄する」

 しかしこんな領土的野望と卑劣な排外主義扇動でわれわれの怒りをかわすことはできない。現代に生きる労働者は、帝国主義の歴史の中で何度もこのことに直面し、その中でことの本質をつかみ取ってきたからだ。
 「われわれ労働者は国境を廃棄します!」。一昨年の11月労働者集会に参加した民主労総ソウル地域本部の代表は高らかに宣言した。「戦争に反対し、平和を守るための労働者の闘いに国境は存在しません。新自由主義に反対し、労働者・農民の生存権をかちとる闘いのために国境を廃棄します。国境をのりこえる苛烈(かれつ)な連帯闘争で、労働者・農民が真の主人公となる世の中を作ってゆきます」 
 そうだ! これこそまさにわれわれ労働者の声だ。
 そして何よりも今、この声は現実のものとなりつつある。今年のメーデー、アメリカの労働者とイラクの労働者がイラク戦争反対ストで団結した。日韓米の戦闘的な現場労働者が11月集会で団結している。それぞれの国の、それぞれの現場での闘いを通して団結している。
 今やわれわれ労働者階級の立場は鮮明だ。敵が日韓労働者階級の間に分断のくさびを打ち込もうとするのなら、両国労働者階級の固い団結で応えてやろう。
 今年も8・15集会にソウル本部の仲間がやってくる。この情勢の中、今年の8・15は決定的に重要だ。日本敗戦の日である8月15日、なかのゼロホールで行われる集会に大結集し、戦争を阻む日韓労働者階級の団結をさらに打ち固めよう。
 かつて世界史が帝国主義段階に突入する時代、イギリスの資本家であり帝国主義者のセシル・ローズは言った。「帝国とは胃の腑(ふ)の問題である。労働者よ、お前達が内乱を欲しないなら、お前達は帝国主義者にならねばならない」と。いま日本政府がわれわれに言いたいことはこのことだ。だったらわれわれは答えてやろう。「しかり。労働者はこのままでは食っていけない。だから内乱を欲するのだ」と。
 2008年7月17日
国鉄千葉動力車労働組合動労千葉)国際連帯委員会