2008年7月14日

〈焦点〉 米帝が北朝鮮「テロ指定」解除 イラン攻撃の準備と連動

週刊『前進』06頁(2351号3面4)(2008/07/14)

〈焦点〉 米帝が北朝鮮「テロ指定」解除
 イラン攻撃の準備と連動

 G8洞爺湖サミットを目前にして、北朝鮮をめぐる情勢が急転回した。6月26日、北朝鮮が核計画の「申告書」を6者協議の議長国・中国に提出し、これを受けて米ブッシュ政権は同日、「見返り措置」として北朝鮮への「テロ支援国家指定解除」を決め、議会に通告するなどの措置を取ったのだ。6者協議は、7月10日から北京で9カ月ぶりに開催される。
 北朝鮮をめぐる核心的な問題が自分の頭越しに米中両国によって進められた日帝・福田政権は、危機感と焦りをむき出しにして、米政府に「拉致問題」での協調を迫るなどの対応に必死となった。
 だがここで進行している事態は、米帝の世界支配の危機、特にイラク侵略戦争が泥沼化する中で、米帝がイラン侵略戦争策動を強めていることと密接に関連している。米帝は出口のないイラク危機を反革命的に突破するために、今やイスラエルやイギリス帝国主義などと連携しつつ、イランへの戦争拡大の衝動を限りなく高めている。そのためにこそ、侵略戦争攻撃のアジアでの焦点である対北朝鮮政策では、一定の「宥和(ゆうわ)政策」に踏み切り、米帝の当面する利害にそって北朝鮮情勢をコントロールしようと具体的に動き出したのだ。
 これを「北朝鮮の思惑通りの展開」(日経)と、北朝鮮スターリン主義の揺さぶりに「根負け」したブッシュ政権が譲歩し、米帝が平和的に政策転換をしたかのように宣伝するブルジョア・マスコミの論調は、対北朝鮮政策でも日帝への争闘戦を露骨に貫く米帝に対する日帝ブルジョアジーの焦りの表れであり、同時に米帝—国際帝国主義の危機と侵略戦争・世界戦争への攻撃を労働者人民から隠蔽(いんぺい)する反動的デマゴギーである。
 米帝ブッシュ政権の対応は、単なる譲歩などではない。洞爺湖サミット前の6月に国務長官・ライスを中国に派遣し、北朝鮮「核申告問題」と6者協議再開のプロセスで合意を取り付け、今回の対応策を推進した事実は、明確に米帝がアジア情勢をもコントロールするという意思表示であった。
 対北朝鮮政策では米帝は、1994年の「米朝合意」を、米帝の側からの公約不履行(KEDOによる軽水炉建設のネグレクト)によって破綻(はたん)させてきた歴史がある。北朝鮮スターリン主義の「核武装宣言」(06年10月)は、これへの対抗的な瀬戸際政策だったが、以降の米帝の対北朝鮮政策は、中東・イラク情勢に規定されて進められてきたのだ。
 今回の問題は、7月8日のサミット政治問題首脳宣言が「北朝鮮・イランへの包囲網」を核心として出されたことで、鮮明になった。北朝鮮の「核申告」と「テロ支援国指定解除」決定は、イランへの軍事的攻撃をG8が承認することとセットであることが事実上、宣言されたのだ。
 日帝・福田政権のアフガニスタン・スーダン派兵や派兵恒久法制定の策動も、サミットを契機に一層強まっている。労働者階級の団結と階級的労働運動を発展させ、サミット決戦の爆発から日帝・福田政権打倒へ闘おう!