2008年7月 7日

〈焦点〉攻撃準備へ本格的に動く米帝 イラン侵略戦争が超切迫

週刊『前進』08頁(2350号5面1)(2008/07/07)

〈焦点〉攻撃準備へ本格的に動く米帝
 イラン侵略戦争が超切迫

 米帝ブッシュ政権のイラン侵略戦争策動が激化している。6月11日、ブッシュは首脳会談のため訪問中のドイツで、「イランがウラン濃縮停止の要求を無視し続けるならば、さらなる経済封鎖が必要だ」と述べ、「すべての選択肢が用意されている」として、イラン攻撃の意志を表明した。
 これに先立ち6月3日にライス国務長官が「イランとの交渉の道は残すが、イランが交渉に応じなければ罰しなければならない」と公言している。また6月6日にはイスラエルのモファズ副首相・運輸相(元参謀総長・国防相)が「イランが核兵器開発を続ければわれわれは攻撃する」と発言、これと時を同じくして6月上旬、イスラエルは東地中海で戦闘機100機以上を投入し、イラン核施設攻撃の大規模演習を強行した。
 さらに5月以降、ブッシュのイスラエル訪問、オルメルト・イスラエル首相の訪米、マコネル米国家情報長官のイスラエル入りと、イラン攻撃をにらんだ米・イスラエルの連携した動きがあわただしい。しかも米国内では今、11月米大統領選を前後したブッシュ政権のイラン爆撃の可能性が「年末危機説」として公然とささやかれ始めている。また米帝ブッシュ政権がイラン攻撃のための秘密の行動を展開していることが、ニューヨーカー誌の記事で暴露された。
 しかもこうした動向と連動し、英首相ブラウンが、6月16日にイラン国営メリ銀行の資産凍結という制裁措置を発表した。米帝とイスラエルに英・仏などを加えた、イラン侵略戦争発動の帝国主義的な包囲陣形が構築されつつあることも、最近の重大事態である。
 以上のような米帝のイラン侵略戦争策動は、「イランの核開発阻止」と「イラク危機の背後にイランがいる」という強弁を口実にして急速に激化している。米帝の狙いは二つで、イラク侵略戦争の泥沼的危機の打開という反革命的願望と、イランの膨大な石油資源の帝国主義的強奪である。
 現在、ブッシュ政権はイラク・カイライ政権との協定締結によって、石油利権と80カ所に上る米軍基地を確保し、イラクを半永久的に植民地支配しようと狙っているが、マリキ政権との交渉はデッドロックにぶち当たっている。米帝との交渉に当たりマリキ首相がイランを訪問、それを背景に米帝の要求を拒否するというカイライ・マリキ政権のあり方に、米帝は今や“イランをたたく以外にない”と侵略戦争の拡大・激化への準備を本格化しているのである。
 この間の北朝鮮情勢、特に北朝鮮による「核申告」と米帝による「テロ国家指定解除」という新たな動向も、米帝が北朝鮮問題では当面、一定の融和的政策を取ってでも、イラクからイランへと侵略戦争を拡大することに全力をあげ始めていることとして、事態の本質をとらえておく必要がある。
 米帝のイラン侵略戦争切迫情勢は、日帝・福田のアフガニスタンやスーダンへの自衛隊派兵や派兵恒久法制定の策動を激化させている。労働者階級の団結と国際連帯の闘いの発展こそが、帝国主義の侵略戦争・世界戦争への攻撃を打ち破っていく最大の力である。