2008年6月23日

「大阪維新」叫ぶ橋下知事倒せ 「橋下はヒトラーだ」の怒り

週刊『前進』06頁(2348号4面1)(2008/06/23)

「大阪維新」叫ぶ橋下知事倒せ
 賃下げ・福祉破壊・治安強化 「橋下はヒトラーだ」の怒り

 第1章 自衛隊研修まで策動

 大阪府知事・橋下は「大阪維新」と称して、1100億円の財政カットと民営化攻撃に踏み込んできた。「大阪府は民間でいえば破産状態」「過去のしがらみや経過には一切とらわれない、大阪発の”自治体経営革命”を起こします」(「大阪維新プログラム」)——このようなファシスト的な言い方で自治体労働者の大幅賃下げを強行し、治安・警察関係だけは別扱いにして医療・福祉・教育など大阪府のあらゆる施策をゼロベースで見直そうとしている。
 「人件費削減案」によれば、通年で631億円のカット、1人平均15%以上の賃金カットで、退職金手当や諸手当まで削減の対象となっている。そして「1円たりともムダにしない取組姿勢を人事評価に反映させる」(同)と称して、全面的な査定給の導入を宣言している。極めつけは橋下の6月17日の発言だ。「40歳代くらいの職員を対象に自衛隊での研修を検討したい」。自治体労働者の団結を徹底的に破壊し、軍隊的忠誠心を強要するものだ。
 さらに「自己責任と互助」(同)と称し、福祉・医療の全面切り捨てを宣言している。「高齢者在宅生活総合支援事業の廃止」「障がい者就労支援事業の廃止」「地域就労支援事業の廃止」など、いわゆる「社会的弱者」の支援事業は全面的に廃止するとしている。
 教育については時間講師の縮減や教育事務補助員などを全面的に廃止することも打ち出している。30年間にわたって働き続けてきた労働者を問答無用で「クビを切る」という宣言だ。また「頑張る教員を応援」(同)などと称して「不適切教員」の切り捨てを盛り込んでいる。「指導力に問題のある教員は去っていただくべきだ」(橋下)——こんな言辞が許せるか! 教育労働者の中に分断を持ち込み、国家への忠誠心を持たない教育労働者を切り捨てる、と宣言しているのだ。
 実際に今年4月の入学式で、大阪府内で初めて門真市で「日の丸・君が代」強制の職務命令を出すなど、現場ではすでに攻撃が先行している。

 第2章 追いつめられる橋下

 「公務員は民間に比べて競争意識がなさすぎる」——。橋下の手法は、徹底して公務員労働者と民間労働者の間に分断を持ち込み、「破産会社にした責任のすべては公務員労働者の甘えにある」というキャンペーンで世論を扇動するやり方だ。まさに国鉄分割・民営化の時の「ヤミ・カラ」キャンペーンのより凶暴な再現であり、新自由主義の手法である。
 しかし5兆円といわれる借金をつくってきた責任は誰にあるのか。府財政を食い物にして資本家どもを徹底して肥え太らせてきたことが原因だ。その典型が関西新空港だ。りんくうタウンとコスモポリタン関係だけでも2700億円もの借金である。この上に関空会社に1400億円もの資金を出し続けている。その利子である70億円を金融資本に払い続け、関空会社には無利子で貸しているのだ。今回の「大阪維新プログラム」の中ではこうした支出については一切手をつけていない。まさに橋下は資本家階級そのものであり、その意志を全面的に体現している存在なのだ。
 労働者の中には怒りが渦巻いている。「橋下知事はヒトラーである」「われわれはあなたの奴隷ではありません」「マスゴミ(ママ)の世界へお帰りください」「兼業禁止、ストライキ権のはく奪の制度を改めよ」など府職労働者の中から怒りが噴出している。3月の青年労働者による橋下への反撃に続いて、6月12日には40代の労働者が朝礼で「公務員は兼業禁止なのに知事はテレビに出ている」と追及。これに対して橋下は「私のやり方が気に入らないなら職を変えてくれ」とわめき散らした。
 こうした現場の怒りの声をトコトン踏みにじり、現場の団結を破壊し、「財政再建」の補完物と成り果てているのが連合・府労連や全労連・府労組連などの腐り果てた幹部連中だ。

 第3章 連合・全労連は総屈服

 「真に実効ある府行政財政改革を」(府労連)「府民のくらし、福祉を守ることと両立できる大阪府財政再建、もう一つの道」(府労組連)などいかに大阪府の財政再建をやるのか、と敵の土俵で議論を進めている。「今こそストライキを」と呼びかける現場からの声に対しては、「処分が出るぞ」「逆効果だ」と脅して回っている。「財政破綻(はたん)は資本主義の破綻じゃないか」という現場労働者の職場でのビラまきに「団結を破壊するのか」と言って査問をしているのが体制内労働運動の指導部だ。
 こうした体制内労働運動指導部との対決こそ橋下を打倒する決定的ポイントだ。追いつめられているのは資本家階級であり、橋下だ。「破綻」しているのは資本主義社会そのものであり、労働者には責任もなければそのツケを背負わなければならない理由などひとつもない。いや、労働者の団結した力で橋下を打倒しよう。破綻した資本主義を葬り去ろう。