秋葉原事件と「派遣」の実態 新自由主義こそ事件の元凶 団結とり戻し資本と闘おう
秋葉原事件と「派遣」の実態
新自由主義こそ事件の元凶 団結とり戻し資本と闘おう
6月8日、25歳の青年が東京・秋葉原で起こした殺傷事件に対して、マスコミは「アキバ」「おたく」「心の闇」などと、事件の核心を塗り隠した非難キャンペーンを繰り返している。
だが、彼は偽装請負で名をはせた悪質派遣業者「日研総業」から派遣され、トヨタ系の「関東自動車工業」で働いていた。この一事に事件の本質が凝縮されている。
日本帝国主義ブルジョアジーは新自由主義政策をもって、民営化と労働者の非正規雇用化を推し進め、階級的団結を破壊し労組を解体することに血道を上げてきた。とりわけ派遣労働者は職場において極限的な疎外労働に従事させられ、絶望、孤立、屈辱感を植えつけられ、貧困と格差を強制されている。
低賃金、長時間労働、無権利、不安定雇用に追いやられ、将来への希望を奪われた青年労働者の置かれた現実の中から、事件は起こったのだ。
第1章 職場の反乱に脅える日帝
日帝はこの事態に根底的ダメージを受け、ますます凶暴化している。刃物の規制やネット監視強化による「再発防止」を呼号し、隣人を犯罪者と疑えと宣伝している。
鳩山邦夫法務大臣は12日に「幼女殺害事件」の宮崎勤死刑囚ら3人に死刑を執行し、大々的に発表した。鳩山は9日当日夜にも秋葉原事件について「人の命を奪うような人にはそれなりのものを負ってもらう」などと発言した。つまり鳩山は事実上、逮捕された青年に早々と「死刑」を宣告したのだ!
一方、舛添要一厚生労働相は13日の閣議後記者会見で、日雇い派遣労働について「あまりにも問題が多い。やめる方向で行くべき」と述べた。町村信孝官房長官は11日の記者会見で、「身分上の不安定さが犯行に駆りたてた」として派遣制度の見直しを示唆した。
日帝自身がこの派遣労働者のあまりにひどい現状を突き出され、反乱や決起が職場から続々と始まることに根底から脅え、動揺しているのだ。(実際に青年の当初の計画は、4㌧トラックを借りて勤務先の工場入り口を封鎖することだった)
第2章 労働者は部品ではないぞ!
日本では自殺者がこの10年間毎年3万人を上回っている! 秋葉原事件で爆発したのと同じ質の「もう生きられない現実」が民衆の上に重くのしかかっているのだ。
関東自動車工業は今回の事件で次のような声明を発表した。
「今後、人材派遣会社に対しては、このような不祥事が二度とないように、人材の確保、管理、監督について要請していきたいと思います」
つまり「派遣会社が寄こしたやつが不祥事を起こした」と言いたいのだ。悪徳人材派遣会社と組んで労働者を食い物にしてきたのは、関自=トヨタ資本よ、お前たちではないか!
実際この事件の直接的引き金になったのは、彼が6月いっぱいで雇い止めを通告され、さらに会社の都合で一転契約が3カ月延長されたことだった。いずれにしても全員が近い将来リストラされることは、関自のすべての契約社員の間では自明の認識になっていたという。まさにトヨタ資本は、在庫を極限的に減らす「ジャスト・イン・タイム方式」を推し進めた末に、労働者=人間そのものをも「部品」のように、必要な時に必要なだけ調達するものとして扱っているのである。
「別に俺が必要なんじゃなくて、新しい人がいないからとりあえず(クビ)延期なんだって」「派遣がやってた作業をやりたがる正社員なんているわけない」
青年はこのように憤りを込めて携帯のサイトに書き込みを行った。
われわれは言う。君こそが必要だ。誇りも尊厳も過酷な派遣労働の中でズタズタにされ、憤りに身もだえしている君と団結したいのだ、と。
第3章 5・29法大決起が希望の道だ
われわれは資本・企業にこき使われ捨てられるだけの存在なのか。絶対に違う。この世界は労働者が動かしている。労働者こそ社会の生産の担い手であり、この最末期帝国主義を打ち倒し新しい社会を建設する主体だ。
敵は資本、国家権力であり、労働者の血を吸って生き延びようとする資本主義=帝国主義体制だ。団結と誇りを取り戻し、革命をやろう。このことを全力で訴えよう。
その声が届いた時、労働者が置かれている状況は絶望から希望へとたちまち一変する。
5・29法政大での全学連の爆発的決起は、われわれの進むべき道を具体的に示した。国家権力は38人を逮捕しておきながら、獄中で強固な革命家へと成長する仲間たちをなすすべもなく見ているしかない。そして青年労働者を先頭に切り開いてきた階級的労働運動の力が、G8サミット粉砕へと躍動している。
生きよう! 手を結び立ち上がろう!
(田宮龍一)